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平沢唯獄中記

1: ◆685BYIgtsQ:2011/11/27(日) 20:38:53.32 ID:x3n909We0

私の名前は平沢唯。現在訳合ってひきこもり中。

毎日朝から眠りに就くまで自分の部屋ですごすのはとても退屈で、ときどき気が狂いそうになる。

食事は妹が支給してくれるので不自由しないが、私の部屋にある娯楽と言えばあいにく漫画くらいしかない。

あたらしい物を買いに行かない限り、すぐに飽きてしまう。

ひきこもりになった理由については、恐らくいじめにあったとか、怠け癖がついた

などということが思いつくだろう。しかし私はそのどちらにも該当しない。



引用元
平沢唯獄中記
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1322393933/
2: ◆685BYIgtsQ:2011/11/27(日) 20:40:05.64 ID:x3n909We0

なぜなら私は「引きこもらされている」のだから。

実の妹である平沢憂の手によって。考えても考えてもなぜそんなことをするのか、

明確な答えは浮かばない。

本人に聞いても「お姉ちゃんが心配なの」としか答えない。

それにしてもこれは異常である。



3: ◆685BYIgtsQ:2011/11/27(日) 20:42:37.23 ID:x3n909We0

妹は私に高校を退学させた。同時に妹も退学した。

妹はどんな時も私につきまとってくるのだ。

ご飯を食べる時も、出かける時も、トイレに入る時も。

「そこまでしなくていいよ」と私は何度か言ったが

「お姉ちゃんの事が心配なんだよ」

「なんでそんなこと言うの…?お姉ちゃんは私の事…嫌い…?」

今にも泣きだしそうな顔をしながらそんな言葉を返してくるので、

冷たく突き放すにはどうしてもためらいが生じた。



6: ◆685BYIgtsQ:2011/11/28(月) 20:28:20.55 ID:5kiKeMDx0

もっとも恐怖を抱いたのは、

高校時代の部活仲間が私を心配して

家に訪れてくれた時のことだった。

憂が追い返してしまわないか心配だったが、案外素直に家にあげてくれた。

しかし私達が会話を始めると、どこからかストップウォッチを持ち出し、

笑顔でこう言い放ったのだ



7: ◆685BYIgtsQ:2011/11/28(月) 20:30:23.46 ID:5kiKeMDx0

「五分たったら帰ってくださいね」

その場にいた私の仲間は唖然とするばかりで、私もどう説明していいか分からず

ただただ苦笑いするだけだった。

しかも憂は私のそばを離れることはなくすぐ隣に座り、

じっとストップウォッチを見つめ続けていたのだ。まるで刑務所の面会である。



8: ◆685BYIgtsQ:2011/11/28(月) 20:31:09.28 ID:5kiKeMDx0

仲間が帰ると私は即部屋に戻される。

基本的に部屋を出られるのは食事とトイレと入浴時だけである。



11: ◆685BYIgtsQ:2011/11/29(火) 21:12:27.62 ID:kYKYHdFu0

私も憂も通学やバイトはしていないため、定義上はニートに含まれるだろう。

しかし生活リズムは憂のおかげで世間一般が抱くイメージのそれとは違っていた。

無理やりニートにさせられた私が言うのもなんだが、ここだけは自慢したい。



12: ◆685BYIgtsQ:2011/11/29(火) 21:14:01.84 ID:kYKYHdFu0

もっと厳密に言うと、一日中朝起きて寝るまで自室にいるわけではなく

午前中から午後4時くらいまでは憂と付きっきりで勉強している。

元々成績が良くなかった私はともかく、憂はなぜか学力が衰えている様子が全くない。

夕方頃には外に散歩に出かけている。もちろん憂も一緒に。

刑務所でいえば、受刑者にも適度な運動をさせたほうがいいということなのだろうか。



14: ◆685BYIgtsQ:2011/11/29(火) 21:26:54.66 ID:kYKYHdFu0

「ムギちゃんに別荘借りてそこへ逃げればいいんだけどなあ~」

そう。逃げだすのはそう難しくはないはずだ。問題は逃げ出した後にある。

学校はもう退学しているし、軽音部の皆も毎日来れる場所じゃない。

学力も今は憂の管理で維持できているが、逃げだせば勉強なんてしなくなるだろう。

おそらく、行きつくのはその辺のニートと同じ地点だ。



15: ◆685BYIgtsQ:2011/11/29(火) 21:37:36.39 ID:kYKYHdFu0

私はもうこの思案を何度行なっただろうか。

毎晩毎晩同じ場所で同じことを考え、同じ結論に至っている気がする。

自室の窓から外を見ると、あたりは真っ暗で虫の鳴き声すら聞こえない。

街灯や周りの家の明かりも消えていた。

「寝ちゃおう、寝ちゃおう、寝ちゃおう」私は平淡な口調で言った。

返事をしてくれる者はもちろん、誰もいなかった。



16: ◆685BYIgtsQ:2011/11/30(水) 21:58:59.38 ID:P9raN64O0

次の日の朝、憂に起こされ朝食をとる。

いつもはぎりぎりで食べる朝ご飯。

憂に管理されるようになってからゆっくり味わって食べるようになった。

皮肉なものである。



17: ◆685BYIgtsQ:2011/11/30(水) 22:00:46.59 ID:P9raN64O0

「食べたら少し休憩して勉強だからね」

憂の柔和な笑顔に、恐怖を感じる。私は以前

「勉強させるならなんで学校やめさせたの?」と

声を荒げ、憂に逆らったことがある。すると憂は何も答えず踵を返し

なんとキッチンから包丁を持ち出してきたのだ。



19: ◆685BYIgtsQ:2011/11/30(水) 22:25:01.04 ID:P9raN64O0

いきなりの事なので状況が把握できなかった私は

座ったまま動くことができなかった。憂は、刃を下に向けるように包丁を持ち、

ゆっくりと私に近づくと、後ろからはがいじめにし、羽交い絞めにし

頸動脈の部分に刃を突き付けながら

「まだわからないの…?…お姉ちゃんは私の目の届く場所にいないと心配なの…
家にいるのがいやなら一緒に天国行こっか…?」

私の耳元で囁いた。



20: ◆685BYIgtsQ:2011/11/30(水) 22:30:46.10 ID:P9raN64O0

今でも、思い出すだけで体中が震える。

それ以来、憂との会話には慎重に言葉を選ぶようになった。

いつも、誰に対しても、笑顔で献身的だった憂も怒らせると怖い。

私はそれを身を持って知ったのだった。



22: ◆685BYIgtsQ:2011/12/01(木) 21:35:05.13 ID:gzrOUN1u0

そして現在、朝食を食べ終わり休憩も終了、ただいま憂と勉強中である。

具体的なスケジュールは学校の時間に合わせているので,

学校に行っているのとなんら変わりはない。

私はそれを指摘したまでなのにあの仕打ちだ。憂はこんなに面倒くさい性格だっただろうか。



23: ◆685BYIgtsQ:2011/12/01(木) 21:47:16.18 ID:gzrOUN1u0

「で、これがこうだから…お姉ちゃん聞いてる?」

「あっ…ごめん 聞いてるよ憂」

私は脱線していた思考を戻す。とりあえず、勉強だけはして置かなくちゃ。

って私こんなに将来の事考える性格だったっけ?

高校生の頃はかなりの刹那主義者だった気がする。



24: ◆685BYIgtsQ:2011/12/01(木) 21:48:17.09 ID:gzrOUN1u0

「お姉ちゃん!」憂がさっきより大きなトーンで言った。

「ひっ…ごめん ちゃんとするから怒らないで!」

「別に怒ってないよ。私はそのくらいでは怒らない」

その言い方だと怒ってるように聞こえるんだけど。

「今日の午前中はこれで終ろっか。お姉ちゃんを疲れさせたくないし。」



25: ◆685BYIgtsQ:2011/12/01(木) 21:58:55.28 ID:gzrOUN1u0

私はすでにこの生活に疲れています。主にあなたのせいで。

そんなこんなで午後から勉強。

夕方頃に散歩に出かけ

あとは外出さえしなければ自由だ。

私はもっぱら、テレビをダラダラと見てすごしている。

ギターはもう演奏する機会はないのでモチベーションが上がらない。



27: ◆685BYIgtsQ:2011/12/02(金) 21:36:42.77 ID:5EZFkWXb0

「なんでやねん!アホか!」

「………」

「ハハハハハハッ」

「………」

リビングには、テレビタレントと観覧客の笑い声が虚しく響く。

憂はというと、私の隣にいるのに一言も喋らない。



28: ◆685BYIgtsQ:2011/12/02(金) 21:39:27.54 ID:5EZFkWXb0

言ってることと、やってることが違うのではないか?

結局テレビを見始めてからずっと、沈黙が続き

時間的にも精神的にも切り上げ時かと思った私は

そろそろ部屋に戻ることにした。

「おやすみ憂」面倒だけど、しないと怒るので挨拶。

「うん。おやすみお姉ちゃん」



29: ◆685BYIgtsQ:2011/12/02(金) 22:13:12.91 ID:5EZFkWXb0

部屋の中に戻った私は、ベットにダイブし、シーツに顔を押し付けた。

なぜか今日は気まずかった。いつもなら、憂と長時間沈黙ですごしても全然気にならないのに。

やっぱり何か変わっている。

憂はともかく、私までもが。こんなときに気軽に話せる相手がいれば楽になるはずだろう。



30: ◆685BYIgtsQ:2011/12/02(金) 22:16:37.34 ID:5EZFkWXb0

軽音部の仲間が適任だが

携帯電話は憂によって解約されてしまったため、もはや電話ではなく時計である。

彼らは、憂が盛大にやらかしてくれたおかげでもう家にはこないだろう。

しかし、私は葛藤に悩まされているだけで、どうしたいのか分からない。

相談にのってもらったとしても何の意味もないかもしれない。



44: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/06(火) 21:05:47.52 ID:UIAAtikd0

ひとまず今夜のところは部屋の明かりを消して。

楽しかったころの夢を見られるように寝ることにしよう。

ふとんがひどく冷たく感じる。

家のふとんって、こんなに冷たかったのかな。

夢。最近どんな夢みたっけかな。まるで覚えてない。



45: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/06(火) 21:06:39.30 ID:UIAAtikd0

朝だ。やっぱりどんな夢を見ていたのか思い出せない。

さっき憂が起こしにきたから早く起きないと。

退学してからというもの、朝起きるのはさほどつらくはない。

早く起きなければならないというモチベーションも無い。



46: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/06(火) 21:07:50.62 ID:UIAAtikd0

それでも早く起きようとする理由はひとつだけ。憂だ。

憂が最初に起こしにくるときは普通。二度目は笑顔。

だが三度目になると、その表情がまるで消えている。

まるで能面のようなその表情は、底知れない不安を感じさせてくれる。

憂は笑顔の方がかわいい。だから早く起きる。



47: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/06(火) 21:08:16.47 ID:UIAAtikd0

良くも悪くも、今の私の生活のリズムは憂を中心に流れている。

いや、憂の意思を中心にして流れているのか。

彼女は何を考えているのだろう。

何がやりたくて、何が目的で、何が。



48: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/06(火) 21:08:48.11 ID:UIAAtikd0

「お姉ちゃん、今日の朝ご飯はスクランブルエッグだよ」

「おいしいねぇ」

「……」

「ん?なに?」

「明日は日曜日だからお出かけしようよ。お姉ちゃん」

「え?」



49: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/07(水) 02:27:55.64 ID:5alkvBPm0

本当に久しぶりの遠出だ。とても天気が良くて気持ちいい。

憂は行き先を教えてくれなかったけど、目的地について納得した。

お父さんとお母さんのお墓。今日は二人の命日。

二人は旅行中に交通事故で死んじゃった。

時計としての機能しかない携帯電話でお墓の写真を撮った。



50: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/07(水) 02:28:40.61 ID:5alkvBPm0

事故当時のことはあまり思い出せない。

きっと脳が記憶を拒否しているからだと思う。

憂のおかげで、少しは頭が良くなった今ならわかる。

ただただ、ひたすら悲しかった。その感情しか思い出せない。

久しぶりに、少しだけ涙が流れた。でも少しだけしか流れない。



51: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/07(水) 02:29:25.42 ID:5alkvBPm0

今日は疲れた。本当に疲れた。

憂の機嫌が良かったから、精神的にはラクだったけど。

引きこもりがたまに長時間外出すると、こうも疲労するものなのかと。

憂におやすみの挨拶をして、部屋に戻った。

お父さんとお母さんの夢を見られると良いな。

携帯電話を枕の下に入れて、冷たいふとんに潜り込む。



52: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/07(水) 02:29:55.75 ID:5alkvBPm0

朝。いつものように目が覚めた。

お父さんとお母さんは夢にはでてきてくれなかった。

いつものように夢は覚えていない。まくらが少し濡れていた。

もしかしたら、本当は夢を見ていたのかもしれないな。

思い返せば、憂がおかしくなったのは二人が死んでしまってから。

いや憂だけじゃないか。私も、おかしくなっているのかも。



53: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/07(水) 02:30:26.41 ID:5alkvBPm0

珍しい来客があったみたい。

憂は教えてくれなかったけど、あの声はさわちゃん先生に違いない。

何やら口論しているようにも聞こえたのが心配だけど。

とにかく憂の機嫌が悪い。とばっちりだ。私は何も悪くないのに。

お父さんとお母さんの夢を見られるのはいつだろう。



54: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/07(水) 07:20:24.88 ID:5alkvBPm0

憂の機嫌がなおらない。機嫌が悪いときの憂は本当に怖い。

いつもなら、少なくとも食事中には会話があるのに、全く何もしゃべってくれない。

試しに話しかけてみたけれど、完全に無視されてしまったよ。

まるで何も聞こえていないかのようだった。



55: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/07(水) 07:21:02.36 ID:5alkvBPm0

少し昔のことを思い出した。

みおちゃん、りっちゃんの二人は本当に仲良しだったっけ。

ムギちゃんは今もバイトを続けているのかな。

あずにゃんのほっぺた、またフニフニしたいな。

さわちゃん先生、このあいだ何しに来たんだろう。

私も会いたかった。お話ししたかったな。



56: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/07(水) 07:21:36.71 ID:5alkvBPm0

不機嫌だった憂を、さらに怒らせてしまった。

トイレに行こうとしたら、ドアのところに手帳が落ちてた。

それを拾って憂に渡したら、ものすごく怒られた。

拾ってあげただけなのに。怒られ損だよ。

どうせ怒られるなら中身を見てしまえば良かった。

次に見つけたら中身を見ることにしよう。そうしよう。



57: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/07(水) 07:22:13.87 ID:5alkvBPm0

怒った憂は全然相手をしてくれないので、久しぶりにギー太を弾いてみた。

憂に文句を言われるかと思ったけど、そんなことなかった。

それどころか、一緒に練習までした。

憂は楽譜をちゃんと読める。私よりうまい。くやしいなぁ。

ちょっと練習を続けてみようかな。



58: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/07(水) 07:22:49.77 ID:5alkvBPm0

憂の機嫌がなおったみたい。

すごくご機嫌で、食事中も勉強中もよくしゃべる。

なんだか、久しぶりに普通の姉妹みたいだった。

実際のところ本当に姉妹なんだけれども。

普通の姉妹だったはずなんだけれども。



59: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/07(水) 21:26:27.27 ID:5alkvBPm0

最近、部屋の窓からいつも同じノラネコの姿が見える。

白黒鉢割れで、あずにゃんに似てる気がするな。

あずにゃん3号と名付けよう。

あずにゃん3号はいつも一匹でいる。

私も、いつも一人でいる。



60: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/07(水) 21:26:53.48 ID:5alkvBPm0

久しぶりにギー太をさわり始めたら止まらなくなっちゃった。

やっぱり軽音部が好きだった。ギターが好きだった。

今日は憂は部屋に来なかった。

あまり調子にのってうるさくしても後が怖い。

だから手袋をはめて演奏する練習をしてみた。

全然うまくいかない。



61: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/07(水) 21:27:29.86 ID:5alkvBPm0

信じられないことが起きた。

なんとムギちゃんとりっちゃんが遊びに来た。

前回、あれだけ憂がやらかしたのに。

手袋はめてギターの練習していることを話したら笑ってくれた。

私も笑った。おみやげのケーキが美味しかったな。

憂は笑顔でストップウォッチを手にしていた。



62: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/07(水) 21:28:08.72 ID:5alkvBPm0

ムギちゃんとりっちゃんが帰った後、憂が手紙をくれた。

軽音部のメンバーからの手紙だとのこと。

封が切られていた。検閲済みということね。取り上げられないだけマシか。

ムギちゃん、りっちゃん、みおちゃん、さわちゃん先生、みんな元気そう。

でも、あずにゃんからの手紙は無かった。



63: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/07(水) 21:28:48.98 ID:5alkvBPm0

予想通り、憂の機嫌が悪くなってしまった。

仲間に会えて楽しかったぶん、今はとてもツライ。

気をまぎらわすためにアルバムを見てみた。

涙が止まらなくて、よけいにツライよ。見るんじゃなかった。

憂には風邪気味で体調が悪いからと言って、早めに寝る。



64: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 03:13:20.44 ID:3ujAJ9A30

本当に体調が悪くなってしまったよ。

憂が三回起こしに来てそれでも起きられなくて殺されるかと思った。

でも病気だとわかるとすごく丁寧に看病してくれた。

少しだけふとんが暖かいような気がした。

熱のせいかもしれないけれど。

何にせよ、暖かいふとんは気持ちがいいよね。



65: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 03:13:51.44 ID:3ujAJ9A30

憂が言うにはどうやら食あたりみたい。熱で意識がもうろうとする。

閉じたまぶたの向こうから、看病してくれる憂の気配を感じる。

憂は、ごめんなさいごめんなさいと、泣いてあやまりながら看病してくれる。

ごめんなさい?なんで?憂は怖いけど優しいよ?



66: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 03:14:25.66 ID:3ujAJ9A30

憂の懇親的な看病のおかげで、体調も良くなってきたみたい。

窓から外を見ると、あずにゃん3号と目があった気がした。

心配してくれているのかな。

手元がふるえて、コップからスープをこぼしちゃった。

憂に怒られないといいな。憂は優しいけど怖いよ。



67: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 03:14:59.48 ID:3ujAJ9A30

部屋を汚してしまったけど憂は怒らなかった。

そう言えば、憂は逆らわない限りは怒らないんだったっけ。

でも、ベッドわきに置いておいた手紙が汚れちゃった。

軽音部のみんなからもらった手紙が汚れちゃった。

この手紙があればあの頃に戻れるかと思って大事にしていたのに。

自分で汚しちゃった。



68: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 03:15:43.52 ID:3ujAJ9A30

体調が戻ったので久しぶりに夕方のお散歩。もちろん憂の監視付き。

あずにゃん3号をモフモフできた。話相手になってくれないかな。

首輪はしてなかった。憂もなでてた。

あずにゃん3号だよって教えてあげたら、憂はなでるのをやめた。

腕をぐいぐいと引っぱられて、お散歩終了。



69: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:11:15.01 ID:3ujAJ9A30

憂が何やら夢中になって携帯メールを打っていた。

後ろから携帯画面をチラ見したら、そこにはのどかちゃんの名前があった。

なんで?憂は何をしているの?

さわちゃん先生が来たことを隠して、内緒でのどかちゃんとメールして。

後ろから覗き込んだのはやっぱりばれて怒られた。



70: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:11:54.63 ID:3ujAJ9A30

「お姉ちゃんを守るためにしているの」 はい。

「お願いだから余計な邪魔はしないで」 ごめんなさい。

「お姉ちゃんに理解してもらえるとは、もう期待していない」 そうですか。

ひどい言われようだ。怖くて反論もできない。

でも、憂は何から私を守ろうとしているんだろう。

憂に嫌われたくない。もう私には憂しかいないから。



71: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:12:30.47 ID:3ujAJ9A30

夕方のお散歩の回数が減らされてしまった。

携帯画面をのぞきこんだからかと聞いたら、「そんなんじゃない」と言われた。

でも、今の私にしてみれば、お散歩の回数が減ったことはラッキーだったかも。

もう仲間とも自由に遊べない今の私には、外の世界はあまり意味が無い。

家でダラダラしているほうが、よっぽど幸せだよ。



72: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:13:00.52 ID:3ujAJ9A30

引きこもりの生活にどんどん馴染んでいくのがわかる。

そう言えばのどかちゃんから「こうやってニートができあがっていくのか」と言われたっけ。

まさか本当に引きこもることになるなんて思ってなかった。

でも、今こうして引きこもりの生活に。

憂がいてくれればなんとかなる。今の私は憂に生かされている。

憂のためだけに生きてる。



73: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:13:29.55 ID:3ujAJ9A30

学校ではそろそろ期末試験の時期。だから私も試験勉強。

今まで勉強してきたことを復習しつつ、残りの試験範囲を進めていく。

何してんだろ。試験なんかないのに。

でも憂が試験勉強と言うのだから逆らうわけにはいかない。

憂はとても優しい。憂のためにも勉強をがんばらないと。



74: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:13:59.93 ID:3ujAJ9A30

さすが憂は頭が良い。憂が教えてくれていると勉強もはかどる。

昔は勉強が苦手だったけど、こうして他にやることが無いと、そんなにツラくないかも。

「やればできる子」と言われたこともあったっけ。

勉強しているときの憂は優しい。勉強が楽しいって、初めて思った。

これも憂のおかげだね。ありがとう、憂。



75: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:14:38.53 ID:3ujAJ9A30

(ん?)

「お姉ちゃん」

「……」

「お姉ちゃん?」

「あ、ごめん。何?」

「今日の勉強はもうこのへんにしよう」

「そ、そう?」



76: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:15:10.93 ID:3ujAJ9A30

夕方のお散歩のあと、すぐに部屋に戻った。

勉強しているときにノートのはしっこに何かメモが見えた。

これ、わたしの恋はホッチキスの歌詞だ。初めての新歓ライブで歌った曲。

歌いだしで歌詞を忘れちゃった。みおちゃんが助けてくれた。



77: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:15:45.89 ID:3ujAJ9A30

あのライブの後、あずにゃんが入部してくれたんだっけ。

懐かしいな。みんな期末試験ちゃんとできてるかな。

放課後 TeaTime のギターはあずにゃんがいれば心配ないよね。

自分がいなくても。

もう、あの頃には戻れない。

今の私は憂のためだけに生きている。今はそれで満足。



78: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:16:12.21 ID:3ujAJ9A30

憂が風邪をひいて寝込んでしまった。たいへんだ、看病しないと。

久しぶりに冷蔵庫のドアを開けてみた。

食材は揃ってる。さすが憂だ。

憂のために料理を作るのなんていつ以来だろう。

よし、おかゆ作るぞ。

おかゆだけだと栄養が足りないから、目玉焼きをのせよう。



79: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:16:43.18 ID:3ujAJ9A30

憂、大丈夫かな。やさしい、やさしい憂。

大切な、大事なもの。

いつもそばにいてくれる。

でも、それが当たり前になっていると気づかない。

今まで気づけなかったよ。ごめんね、憂。



80: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:17:09.58 ID:3ujAJ9A30

私は憂がいないと何もできないよ。

私は憂のごはんが食べたいよ。

私は憂の声が聞きたいよ。

私は憂の笑顔が見たいよ。

私にはもう憂しかいないんだ。



81: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:22:21.57 ID:3ujAJ9A30

玄関のチャイムが鳴った。お客さん?

私が出ようとしたけど、やっぱり憂に止められた。

憂がフラフラになりながら様子を見に行ってくれた。

誰もいなかったみたい。いたずら?

憂の顔がいつも以上に怖かった。

私の憂を怒らせるなんてひどい。そんな人は許さない。



82: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:22:47.78 ID:3ujAJ9A30

憂の体調はだいぶ良くなってきた。

私のことが心配みたいで無理矢理起きてくる。

それを寝かしつけて、いつものお返しをがんばる。

大好きな憂のために食事を作って、お洗濯して、アイロンかけて。



83: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:23:15.38 ID:3ujAJ9A30

お部屋の掃除もしっかりしないと。

お台所を片付けて、居間に掃除機をかけて、玄関の靴をきれいに並べて。

でも食材の残りが少なくなってきた。

憂に相談したら、買い物に行く必要はない、通信販売で買うと言っていた。

さすが憂だ。私は外出しなくて良いんだ。

しっかりしている。やさしくて頭の良い私の大事な妹。



84: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:23:42.61 ID:3ujAJ9A30

憂が元気になってきた。

しばらく止まっていた勉強を再開するのかと聞いたら、もう夏休みだって。

そうか、夏休みか。何して遊ぼう。

憂とふたりきりの夏休み。とても楽しみだな。



85: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:24:10.51 ID:3ujAJ9A30

玄関を掃除していたら、郵便受けの隅に小さなメモが入っているのを見つけた。

何かと思ったら、SIMカードが一緒になっていた。

あずにゃんの字で「唯先輩へ」って小さく書いてあった。

いつのまにこんなものが。

そっと手にとって部屋に持って帰った。



86: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:24:42.72 ID:3ujAJ9A30

SIMカードを携帯に入れると、私の携帯が通話可能になった。

SIMカードのメモリに、ひとつだけメールアドレスが記憶されてた。

試しに「あずにゃん?」ってメール送信。

すぐに返事が来た。

『そうです。唯先輩を助けてあげます』だって。

あずにゃんは何を言っているんだろう。私を何から助けるの?



87: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:25:11.33 ID:3ujAJ9A30

『本当に唯先輩ですか?』

「そうだよ」

『じゃぁ、私のギターの名前を答えてください』

「むったん」

『良かった。本当に唯先輩なのですね』

いったい何なの?



88: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:25:39.89 ID:3ujAJ9A30

「私には憂がいるから、助けてくれなくても大丈夫だよ」と送信。

『違います。憂から助けてあげるんです』

私を憂から助ける?あずにゃんは何を言っているの?

続けてメールが。

『携帯はマナーモードにしておいてください。憂に気づかれるとまずいです』



89: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:26:10.25 ID:3ujAJ9A30

あずにゃんが何を言っているのか意味がわからない。

今の私は憂がいないと何もできないというのに。

「憂を私から取り上げるの?」

返信が来た。

『結果的にそうなってしまうかもしれません』



90: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:26:45.48 ID:3ujAJ9A30

信じられない。あずにゃんがこんなこと言うなんて。

あずにゃんは、私のかわいい後輩で、憂の大切な友達だったはずなのに。

ひどい。

こんなこと言うあずにゃんはキライだよ。

もう、あずにゃんのことはキライ。

携帯からSIMカードを引き抜いてゴミ箱に捨てた。



91: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:27:18.68 ID:3ujAJ9A30

今日も部屋の窓からあずにゃん3号が見えた。

あずにゃんに似ている。

見ているだけでイライラする。

そこにいると思うだけでイライラする。



92: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:27:51.02 ID:3ujAJ9A30

あずにゃんは、もう昔のあずにゃんじゃない。

大キライ。

私から憂を奪おうとしているなんて。

私の大事なたったひとりの家族を奪おうとしているなんて。

あずにゃんなんて大キライ。



93: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:28:24.78 ID:3ujAJ9A30

ゴミ箱に捨てたSIMカードが憂に見つかってしまった。

憂は泣きながら怒っていた。

私はただひたすら謝った。ごめんなさい。黙っていてごめんなさい。

憂に嫌われたくない。



94: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:28:59.27 ID:3ujAJ9A30

ごめんなさい。

ごめんなさい。

ごめんなさい。

ごめんなさい。

ごめんなさい。

私のことを嫌いにならないでください。



95: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:29:30.74 ID:3ujAJ9A30

憂はなんとか許してくれた。

だけど少しだけぎくしゃくしてしまった。

これもあずにゃんが余計なことをしたせいだ。

もう、軽音の仲間とも会いたくない。憂がそう望んでいるから。

私には憂がいてくれれば、それでじゅうぶん幸せ。



96: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:30:05.47 ID:3ujAJ9A30

憂がようやく元気に戻ってくれた。

食事中テレビを見ながら会話も楽しかった。

夕方のお散歩は私のほうから断った。

憂に余計な心配をさせたくないから。

生活用品のお買い物は通販で全て済ませている。

もう、外に行く必要なんて、なにも無いよ。



97: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:30:37.58 ID:3ujAJ9A30

憂が私に手紙をくれた。軽音部のみんなからの手紙。

封は切ってある。憂が私のために安全かどうか確かめてくれたんだ。

私はもういらないと断ったんだけど、憂はせっかくだから読んだほうが良いよ、だって。

憂が言うならしかたない。たいして興味も無いけれど、部屋で読むことにした。

内容はつまらない毎日のことばかり。試験がどうだったとか、学園祭の準備が進んでいないとか。

今の私にはどうでも良い話ばかり。



98: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:31:08.53 ID:3ujAJ9A30

手紙を読んで捨てようと思ったら、封筒の内側にメモがあるのを見つけた。

あずにゃんの字だ。「郵便受けに新しいSIMを入れてあります」だって。

憂に言いつけようかとも思ったけど、自分で取りに行った。

何度も繰り返されても迷惑だから、はっきりと迷惑だと伝えようと思って。

あとで憂に言いつけるために、封筒はとっておこう。

SIMカードを携帯にセットしたら、さっそくメールを受信した。



99: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:31:45.35 ID:3ujAJ9A30

『私のギターの名前を答えてください』

「むったん」

すぐに返信が来た。

『唯先輩、私の話を聞いてください』

「迷惑だからもうやめて」

『学園祭まで何ヶ月も残されていません。戻って来てください』



100: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:32:29.53 ID:3ujAJ9A30

身体に電気が走った気がした。

メールには添付ファイルが付いていた。2年生のときの学園祭の写真。

想い出がいっきにあふれてきた。なんで今まで忘れていたんだろう。

メールには「あとで返事する」とだけ返して、携帯の電源を切った。

わけがわからない。頭が痛い。気持ち悪い。もう、今日は寝よう。



101: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:33:05.95 ID:3ujAJ9A30

みおちゃんと、りっちゃんが会いに来てくれた。

憂には私は会いたくないと言ったのだけど、それじゃ失礼でしょと怒られた。

憂に嫌われるわけにはいかないので、しぶしぶ会うことに。

ムギちゃんは海外旅行の真っ最中とのこと。

学園祭の曲目リストを渡された。

いらないと言おうと思ったけど、憂が先に「ありがとうございます」と言って受け取ってしまった。



126: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 20:43:52.70 ID:3ujAJ9A30

>>101ではその目論みは失敗し、澪は唯と会いました。
あずにゃんにしてみれば、澪があずにゃんよりも唯を選んだと感じたことでしょう。
それで切れて、あのメール連続送信に至ります。



102: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:34:11.24 ID:3ujAJ9A30

憂は曲目リストを取り上げるつもりかと思ったら、夜には私にくれた。

何だろう。何だかよくわからない。

私は憂に退学させられて、引きこもりになって。

考えれば考えるほどよくわからない。

憂は何をしようとしているの?私にどうしてほしいの?

頭が痛い。携帯の電源は入れずに、今日も早めに寝る。



103: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:34:41.01 ID:3ujAJ9A30

朝、目が覚めて携帯の電源を入れると、何通もメールが来ていた。

『唯先輩、大丈夫ですか?』

『唯先輩、返事ください』

『このSIMカードも憂に見つかってしまいましたか?』

『澪先輩が会いに行きましたね?何を話しましたか?』

『●月●日に窓の外を見てください』

もう我慢できない。



104: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:35:19.57 ID:3ujAJ9A30

携帯電話を持って憂に相談した。

怒られるかもと思ってたけど、憂は怒らなかった。

それどころか顔面蒼白になって、すぐにどこかに電話していた。

それから荷造りをして、旅行にでかけると言われた。

ムギちゃんの別荘を借りるとのことだった。

ギー太を忘れないように言われた。なんで?



105: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:35:48.90 ID:3ujAJ9A30

ムギちゃんの別荘に着くと、軽音部のみんなが待っていた。

りっちゃん、みおちゃん、そして旅行中だったはずのムギちゃん。わざわざ帰国してくれたみたい。

あずにゃんはいなかった。

さわちゃん先生が疲れた顔をしていたけど、私のことをぎゅっと抱きしめてくれた。

それから昔みたいに遊んだり、練習したり。すごく楽しい。

憂はストップウォッチを持っていなかった。



106: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:36:16.28 ID:3ujAJ9A30

久しぶりの合宿から帰ると、警察の事情聴取があった。

あずにゃんが逮捕された。

容疑は、私のお父さんとお母さんに対する殺人未遂。

え?殺人未遂?

お父さんとお母さんが生きている!

あの事故で死んでなかったんだ!



107: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:36:50.71 ID:3ujAJ9A30

携帯電話と手紙は証拠物件として警察に預けてきた。

あずにゃんは私を誘い出して殺そうとしていたとのこと。

メールにあった●月●日に家の周囲で警察に確保されたらしい。

事情聴取では、私の存在が邪魔だったと言っていたらしい。

警察はそれ以上のことは教えてくれなかった。



108: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:37:21.87 ID:3ujAJ9A30

でも憂がいろいろ教えてくれた。

あずにゃんは、みおちゃんみたいなお姉さんが欲しかった。

でも、軽音部には私がいて、みんなからかわいがられている。

輪の中心にいるのは、いつも私だったように見えたらしい。

同じギター担当で、みおちゃんに気にされてばかりの私は、あずにゃんにとって邪魔者だったようだ。

それで私を軽音部から追い出すために、お父さんとお母さんを事故を装って殺そうとしたらしい。



109: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:37:51.38 ID:3ujAJ9A30

それで私は退学して、あずにゃんの思惑通り軽音部からいなくなった。

けれど、軽音部のみんなは私のことを気にしてばかり。

いつまでたっても部室には私の気配が残っていた。

さらにみおちゃんが私のお見舞いに来てくれたのを知って、私を直接狙うことを決めたみたい。

すごくショックを受けた。かわいい後輩だと思っていたのに。

勘違いもあったけど、昨年の学園祭の写真まで送ってくれたのに。

それが私を殺すためだったなんて。信じたくない。



110: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:38:30.33 ID:3ujAJ9A30

事故の当初から警察は事件性を疑っていて、憂がその話を聞いていた。

お父さんとお母さんを守るためにムギちゃんの協力で海外の病院に入院させてもらった。

ふたりが死んだと発表したのは、犯人に狙われる危険を避けるため。

私はまんまと騙されたわけだ。あずにゃんも騙されてたけど。

お墓まで用意したのは、お父さんのアイディアだったみたい。やりすぎでしょ。



111: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:39:13.99 ID:3ujAJ9A30

憂からものすごく謝られた。私は気にしていない、ありがとうと応えた。

軽音部のみんなから遠ざけるふりをしていたのも、私と軽音部のみんなを守るためだったんだね。

私なんかより、本当のことを言えなかった憂はもっともっとつらかったんだと思う。

憂は泣いていた。私は久しぶりに憂をぎゅっと抱きしめた。

さわちゃん先生が家に来たとき、学校のことについて話し合っていたとのこと。

実は退学じゃなくて休学扱いだった。

それで、復学するときに、学年をどうするかでもめていたみたい。



112: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:39:47.47 ID:3ujAJ9A30

結局、私はみんなより1つ学年が下。憂は優秀だから、そのまま復学する。

憂は私もみんなと一緒の学年に戻れるよう、先生と口論していたらしい。

そのために勉強もしっかりと教えてくれていた。

のどかちゃんにも復学の件で相談していたみたい。あのメールはそういうことか。

でも私はこれで良いと思ってる。だって、大好きな憂と同級生になれるんだから!

そう言うと、憂はまた泣いた。私はまた抱きしめた。



113: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:40:19.42 ID:3ujAJ9A30

あずにゃんは警察病院に入院することになったみたい。

逮捕されたショックからか記憶障害もあって、事件のことをほとんど覚えていないとのこと。

あずにゃんにとっては思い出さない方が幸せだと思う。

できれば、あずにゃんにも戻って来て欲しいな。

そのためにも忘れたままでいて欲しいよ。



114: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:40:46.17 ID:3ujAJ9A30

今、みんなで学園祭の準備を進めている。

なんと、憂が新メンバーとして軽音部に入部してくれた。

たまに髪型を入れ替えて遊んだりしてる。

覚えなくちゃいけない新曲もあるからたいへんだけど。すごく楽しい。

新しい曲、タイトルは、「U&I」


~完~



115: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 07:41:25.00 ID:3ujAJ9A30

少し速いかもですが、ひとまず完結できました。
引き継いだSSがいつまでたっても完結しないと、初代の方は不安でしょうし。
このSSでは、当初読んでいたときの私の考えていた予想ストーリーを書き起こしてみました。

やむを得ずあずにゃんが不幸になってしまいましたが。
しかし彼女は記憶喪失になっているので、ある意味全員ハッピーエンドです。

バッドエンド、キライなんですよ。

ちなみに、最後にひとつだけ修正です。

>>49
誤:お父さんとお母さんのお墓。今日は二人の命日。
正:お父さんとお母さんのお墓。今日は二人の月命日。

こうしないと矛盾しちゃいます。ポカミスしました。申し訳ありません。m(__)m



116:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/08(木) 07:42:10.24 ID:UMs9VW5/o

驚きの急展開だったけど乙



117:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/08(木) 07:42:42.32 ID:1nrq6je6o





121:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/08(木) 17:35:01.59 ID:RYpt935AO


俺の憂ちゃんはやはり優しい憂ちゃんだった



123:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/08(木) 19:44:34.33 ID:8GzP9u0zo


他メンバーとの会話が五分しかダメだったのは何でなんだぜ



125: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 20:32:02.27 ID:3ujAJ9A30

>>123
乙ありがとうございます。m(__)m

その疑問に対する理由はいろいろあります。
完全一人称形式のSSなので、伏線を伏線のままにして、あえてSS中で明記しなかった部分もあります。なので、私が作成した設定から説明します。

まず、憂ちゃんは、犯人があずにゃんである可能性を当初から聞かされていました。
あずにゃんもそれに気づいていました。だから憂ちゃんの目の前で唯との接触を試みることを避けていました。

あずにゃんの目的は、軽音部と唯の交流断絶でした。
そんな状況で、軽音部の仲間が頻繁に唯に会いに来てしまっては、あずにゃんの目的が果たされません。
もしかしたら逆切れしたあずにゃんのターゲットが他のメンバーに及ぶかもしれないと憂ちゃんは考えました。
しかし、事件解決後の復学を念頭に置いている憂ちゃんにしてみれば、大事な繋がりを完全に遮断するのもためらわれました。
そこで、憂ちゃんは時間制限付きの面会という方法をとりました。唯のために自分を悪者とすることを選びました。

このさじ加減は、憂ちゃんにしてみればやむを得ないギリギリの選択だったことでしょう。結果的に復学がスムーズに進んだので良かったとも言えます。

しかし、その反面、唯には「ストックホルム症候群」ともとれる症状が出始めて、憂ちゃんは、ものすごく悩んだことだと思われます。

ちなみに、憂ちゃんの努力にも関わらず、あずにゃんは、いつまでも部室にただよう唯の気配に我慢できませんでした。
実は手紙を検閲した際、その中にはあずにゃんからの手紙もありましたが、憂ちゃんが取りのぞいていました。何かの暗号が隠されていることを危惧したためです。
その結果、あずにゃんの行動はエスカレートして、ピンポンダッシュしてメモを残すなどの強引な方法を取ってまで唯との接触を試みました。
このあずにゃんのエスカレートが、夕方のお散歩の回数が減らされた本当の理由です。



126: ◆0Cw1O/qGmE:2011/12/08(木) 20:43:52.70 ID:3ujAJ9A30

ちなみに、>>61で、澪が家に来なかったのは、あずにゃんの仕業です。
強引な理由を付けて、唯と澪との接触を阻止しました。

しかし、>>101ではその目論みは失敗し、澪は唯と会いました。
あずにゃんにしてみれば、澪があずにゃんよりも唯を選んだと感じたことでしょう。
それで切れて、あのメール連続送信に至ります。



引用元
平沢唯獄中記
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1322393933/
[ 2012/10/10 12:00 ] けいおんSS | TB(0) | CM(0)
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