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唯「まちのあかり」

1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/05(日) 14:31:25.08 ID:i0RzppK+o

むかしむかしとある街に

唯ちゃんという浮浪者がおったそうな


唯「うう、お腹すいたよう……なにか食べもの落ちてないかなあ」ガサゴソ

唯「あっ、アイスのふた発見!」

唯「ぺろぺろ…ひさびさの甘いものだよう!」

唯「……ひもじい」

唯ちゃんはたいそう貧乏で

住むところもなくその

日暮らしの生活をしていました


唯「あと残ってるお金は小銭がいち、にい……たくさんと」

唯「せんえんと、いちまんえんさつが一枚」

唯「これだけあればアイスがお腹いっぱい……ごくり」

唯「はっ、だめだめ!このお金はもしもの時のために取って置く分なんだから!」グウウウ

唯「もうちょっと賑やかな街の方へ行って食べ物さがそ…」



引用元
唯「まちのあかり」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1307251884/
2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/05(日) 14:33:29.01 ID:i0RzppK+o

唯「やった、飲食店のゴミ箱発見!」

唯「うーん。お、おお?」ガサゴソ

唯「鳥の骨!まだお肉がけっこう残ってるよ!」

唯「いっただきまーす!!」

和「ちょっと、そこのあなた」ツンツン

唯「わひゃあ!あっ、チキン落としちゃったよ……どうしてくれるの!」

和「警察官に怒鳴りかかるとはいい度胸ね」

唯「お、お巡りさん。ごめんなさい、つい熱くなっちゃいまして…てへへ」

和「そんなことよりあなたこんなところで何やってるの?」

唯「う……(食べもの漁ってたなんて言えないよう…)」

和「名前は?職業は?住んでるところはどこなの?」

唯「いえ、そのー……」

和「きびきび答えないと逮捕するわよ」

唯「逮捕!? ご、ごめんなさーい!」ピュー

和「あっ、こら待ちなさーい!……まったくもう」



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/05(日) 14:34:29.49 ID:i0RzppK+o

唯「あぶないとこだった……お巡りさんには気をつけなくっちゃ。逮捕はされたくないもん」

唯「けっきょく食べ損なっちゃったし……まあ、どうにかなるかな!」

唯「くんくん……なんかこっちから良い匂いが」


梓「お花、お花はいりませんかー」


唯「なんだお花の匂いかあ……」

唯「だけどあのお花売りの女の子、かわいい子だなあ」


梓「お花はいかがですかー」


唯「(さっきから全然売れてないのに、あんなに声を張り上げて)」

唯「(きっとあの子も貧乏なんだろうな……わたしに同情されたくないだろうけど)」

唯「……」ボー

唯「だめだよ、私にはお花を買う余裕なんてないよ」

唯「でも、少しくらいなら……うん……お金もあるもん。だいじょうぶだいじょうぶ!」

梓「お花はいかがですかー?」



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/05(日) 14:35:29.96 ID:i0RzppK+o

唯「お嬢さん、お花を一つくださいな」おずおず

梓「はい!えっと、どちらからお声を?」

唯「こっちだよー」フリフリ

梓「あっ、すみません」

唯「!(この子、目が見えないんだ)」

梓「どうぞ。ひとつ400円です」

唯「(ぐ、けっこう高いね……こうなったら1000円札さまの出番だ!)」

唯ちゃんはポケットからなけなしのお金を取り出すと、花売りの手に握らせました

唯「はい。おつりはいらないよ!」ギュッ

梓「えっ? そんなの悪いですよ」

梓「しかもこれ10000円じゃあ……だめです!今すぐおつりを!」ワタワタ

唯「(ま、間違えて一万円渡しちゃったー!?)」

唯「(どどどどうしよう、いまさら返してなんて言えないし……)」

梓「お客さん!お客さん!もう行っちゃったのかな……どうしよう」

唯「(まだいるよ、お嬢さん!)」



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/05(日) 14:36:30.67 ID:i0RzppK+o

梓「すてきな声の人だったな……きっと綺麗なお金もちの女のひとなんだろな」

唯「……」

梓「どんな人なんだろう……」

梓「私なんかとは違って教養があって、かわいいお洋服を着てて……」

梓「やさしい人なんだろうな」

唯「(なんか夢見ちゃってるみたい)」

唯「(お金は惜しいけど、このまま居なくなった方がいいかもね)」

梓「あの方、また来てくれるかな」

唯「(機会があったら。ばいばい、かわいいお嬢さん)」



よる!

唯「今日は散々だったなあ。食べものにはありつけないし、お金はほとんど使っちゃうし」

唯「ふふっ、それにしてもあの子、私をお金もちと勘違いするなんて」

唯「やわっこくてあったかい手だったな……ひとに触れたのなんかいつぶりだろ」

唯「このお花、いいにおい」クンクン



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/05(日) 14:37:31.30 ID:i0RzppK+o

唯ちゃんはおなかこそ空いていたけれど興奮がおさまらず

寝床探しをかねて川沿いの道を散歩することとした

唯「きみを見てるといつもハートどきどきー♪」

唯「揺れる思いはましゅまろみたいにー」


歌う唯の目前をとぼとぼと歩く人影があった

街一番の金持ちの琴吹紬である

紬「はあ……」

この紬、今宵で命を絶つ決心をしていた

若くして良家のあるじとなることの精神的負担は想像にあまる。

おそらくは現代でいう鬱病の気があったのだろう


唯「あの人なにしてるんだろう……」

唯「岩と自分の体をロープに結んで、これって……自殺!?」



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/05(日) 14:38:31.67 ID:i0RzppK+o

紬「もう何もかもおしまいよ!そおれ!」

唯「ちょっと待ったー!」ガシッ

紬「いや!やめて!邪魔しないで、私は死ぬのよ!」

唯「だだだ、だだだだだ!」

紬「だだだってなに!」

唯「だめだよう!死ぬなんて、にんげん命あってのものだよ!」

紬「だからその命を捨てようって言ってるの!放して!」

唯「だめ!おちついて!」

紬「放してえ!」バシーン

唯「ひゃっ」


ぼちゃーん

紬「あら、なにもあの人が落ちることないのに・・・」

唯「おたすけー、わぷっひわあ」

唯ちゃんは泳げなかった



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/05(日) 14:39:32.10 ID:i0RzppK+o

紬「さあ、この手につかまって」

唯「ひいい・・・はぁっ、はぁっ、死ぬかと思った・・・」

紬「だいじょうぶ?」

唯「と、ともかく死ぬなんてだめだよ・・・!なにがあっても生きていくんだよ!」

紬「・・・」

唯「ねえ、私をごらん。一文無しで服もこんなにぼろぼろだけど、案外楽しくやっていけるよ」

唯「そりゃたまにはつらいことやくるしいこともあるけど」

唯「それでもさ、愛と勇気をもてば楽しく生きていけるんだよ!」

紬「・・・ぐすっ、でもわたし、もうどうしたらいいのかわからないのよ」

唯「ほんとにつらい時はさ、ちょっと休憩して歌でも歌えばいいんだよ!」

紬「歌?」

唯「うんっ!」



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/05(日) 14:40:32.48 ID:i0RzppK+o

唯「きみをみてるといつもハートどきどき♪」

唯「ゆれる思いはましゅまろみたいにふーわふわっ」

紬「ふふ、なんだか楽しい歌ね(でもどうしてこのタイミングで恋の歌なのかしら・・・)」

紬「分かったわ!わたし、自殺なんてもうよすわ!」

唯「! よかったー」

唯「さ、それじゃそんなロープなんてもう外しちゃって」グルグル

紬「ありがとう、あなたは命の恩人ね」

唯「えへへ、それほどでも・・・あれ、このロープなんかむずかしい・・・」

紬「いいえ、ぜひお礼がしたいわ!」

唯「いいよお、そんなの」テレテレ

紬「私の気が済まないの、おねがい。・・・こんな岩とはもうおさらばよ、えいっ」

唯「ちょっ、まっ、私の手にロープがからんでひゃああ」


どぼん

紬「あら?」
唯「ひえええええ」バシャバシャ



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/05(日) 17:23:31.26 ID:i0RzppK+o

……

ともあれふたりは意気投合し街へと繰り出したのであった

紬と唯は身分こそ違えどすっかり気があい、

大いに飲み、大いに食べ、笑いあい小粋な歌を歌って一晩を明かした



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/05(日) 17:24:32.44 ID:i0RzppK+o

あさのまち!


ぶろろろろろ・・・

唯「ふうう、私たちたいそう飲んだねー」

紬「飲んだわー」

カッチカッチカッチ

唯「ところでムギちゃん?」

紬「なあにい」プップー

唯「そんなに酔ってて運転平気なの?」

紬「あらあら、ほんとう?この自動車私が運転してるのー?」

唯「!?」

きききききぃ!

唯「ままま、前見て!あぶない!」

紬「うふふ」

唯「待ってムギちゃん!私が運転するから、危ない!」

紬「ありがとー唯ちゃん」

唯「ハンドルから手ー放さないで、アクセル踏みすぎ!」



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/05(日) 17:25:33.25 ID:i0RzppK+o

紬「ここが私の家よー」

唯「ふう、死ぬかと思った・・・あれ、ここって」

唯「あの子が花を売ってた通りの近くだ……」

紬「ういーっ。唯ちゃん、どうかした?」

唯「う、ううん。なんでもないよ、ムギちゃん。この車いいクルマだね!」

紬「気に入ったならあげるわ」

唯「えっ、悪いよお」

紬「うふふふふ、おーい、斎藤ー?私が帰ったわよー」


がちゃり

斎藤「お帰りなさいませ、紬お嬢様」

紬「うふふーたーだーいーまー。私の留守中に電話とかあったかしら」

斎藤「ありません。お嬢様、ずいぶんお酒をお召しになったようで・・・」

紬「ほほ」



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/05(日) 17:26:33.78 ID:i0RzppK+o

唯「お、お邪魔しまーす」

斎藤「・・・どなたでございましょう」ジロジロ

唯「へ?えっとわたしムギちゃんのお友達でー」

斎藤「お引き取り下さい」

唯「え?で、でもムギちゃんが」

斎藤「お引き取り下さい」

唯「で」

斎藤「お引き取り下さい」

唯「・・・」



菫「お嬢様お帰りなさい。昨晩はどこで―」

紬「まあ、すみれちゃあん!」ガバッ

菫「きゃっ!? ・・・お嬢様お酒くさい」

紬「菫ちゃんはいいにおいよ」クンカクンカ

菫「お嬢様また酔ってぴゃあああ///」

紬「結婚しよ?ね?結婚しちゃお、す・み・れ?」モゾモゾ

菫「やめてだめですお嬢さあああああっ!?」



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/05(日) 17:27:34.20 ID:i0RzppK+o

……

斎藤「お引き取り下さい」

唯「けちんぼ、もういいよ!」


唯「・・・ちぇっ」

がっかりして踵を返した唯ちゃんの耳に

覚えのある声が聴こえてきた


お花はいりませんかー…


唯「この声!」


それは昨日の少女だった

梓「綺麗なお花はいかがですか?」

唯「(あの子、今日もここに来てたんだ)」

唯「(えへへ、やっぱりかわいい子だなあ……)」

梓「お花はいりませんかー」


唯「そうだ、ムギちゃんに頼んで……!」



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/05(日) 17:28:34.62 ID:i0RzppK+o

……

菫「オヨメニイケナイ・・・」

紬「すっきりしたわー」ピッカー

菫「あはは・・・」

紬「ところですみれちゃん、私のお客さんは?」

菫「お客さん?ですか?」

紬「ええ、私の命の恩人で友達なんだから!」

菫「さあ、私は見てませんけど・・・」



唯「ムギちゃんの家ー、ムギちゃんの家ー」

唯「あ、でもあの執事さんが入れてくれるかな……」


「サッイトオオオオオオオオオオオオ!」ドオオオン


唯「わっ!?びっくりした、今のなに!?怪獣!?」


「私の友達をどこにやったのおおおおおおおおおおお!!」

「しかしお嬢様……」

「今すぐいれてさしあげなさい!今すぐよ!」

「しかし」

「サイトオオオオオオオオオっ!?」


唯「……」



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/05(日) 17:29:35.08 ID:i0RzppK+o

がちゃり

斎藤「失礼。平沢様、お嬢様がお呼びです」

唯「あ、はい……」オズオズ

斎藤「……」

唯「……(ムギちゃんは怒らせないようにしよう)」


紬「唯ちゃーん!!会いたかったわああ」ガバッ

唯「えへへ、さっき別れたばっかだよう」

紬「ねえ、唯ちゃん、私と結婚しましょ?ね?」

菫「え……」

唯「結婚はしないけど・・・」

唯「ねえ、それより、その頼みづらいんだけど……そのう」

紬「なあに?」

唯「花を買いに行くから、お金を貸してくれる?」

紬「お安いごようよー。このくらいで足りるかしら?」

唯「こんなに!?充分だよ、ありがとう!じゃあちょっと行ってくるねえ」

紬「はあい、行ってらっしゃ~い♪」

唯「あっ、そうだ。車もちょっと借りていい?」

紬「いいわよお……なんだか私ねむくなってきたわ」

唯「ありがとうムギちゃーん!!」



25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/08(水) 00:25:34.64 ID:nGA6CKMgo

……

たったったったっ ぴたり


唯「やあ、お嬢さん。ご機嫌うるわしう」

梓「その声は……昨日のお花を買ってくれた方?」

唯「えへへ」

梓「ごめんなさい、昨日お釣りを渡しそびれちゃって」

梓「今すぐ用意します!えっと、あれ、ここに財布が、あれ?」ワタワタ

唯「お釣りはいいから、今日はこのお金で買えるだけの花を売って欲しいのだけど、いいかな?」

梓「えっ、そんなこんなに……」

唯「だめかな?」

梓「だめなんてそんな!もう全部持ってちゃってください!」

梓はカゴいっぱいの花をすべて唯に渡した

唯「わあっ、ありがとう!」



26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/08(水) 00:27:01.50 ID:nGA6CKMgo

唯「ねえ、名前をきいてもいい? 私は唯っていうんだ」

梓「あ……わたし、中野梓と言います」

唯「うーん、あずさ……あずにゃん、って呼んでもいーい?」

梓「にゃん!?」

唯「うん、なんか猫みたいだからあずにゃん」

梓「ね、猫って……恥ずかしいです……」

唯「あずにゃんは照れ屋さんなんだ」

梓「そのあずにゃんって呼ぶのやめてくださいよう!」

唯「照れちゃってかーわいい!」ぎゅっ

梓「ひゃっあ!なにしてるんですか!?」

唯「あずにゃんに抱きついてるんだよ?」

梓「や、やめてください!(ううう///ちょっとこの人へんな人なのかも……)」

唯「ちぇー」

梓「……ふう」

唯「ねえ、あずにゃんさん、もしよかったらで良いんだけど」



27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/08(水) 00:28:21.38 ID:nGA6CKMgo

梓「はい?」

唯「あのね、私は車を持ってるの!」

梓「は、はい。……なんのお話ですか?」

唯「そう、それでね、もしあずにゃんがよかったらでいいんだけど」

唯「もうお花売りの仕事がこれでおしまいなら、あずにゃんのお家まで私の車で送っていってあげたいなって思うんだけど……どうかな」

梓「だめなんてそんな!でもいいんですか?」

唯「えへへ、私があずにゃんとドライブしたいんだよー」

梓「えっと……じゃあ、よろしくお願いします」

唯「やった!きまりだね!」

梓「その……」

唯「ん?」

梓「すごくうれしいです、唯さん。ありがとうございます」

唯「へへ。それではお嬢さん、お手を拝借。車を置いたとこまで連れてってあげるからね」



28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/08(水) 00:34:27.26 ID:nGA6CKMgo

唯ちゃんはおずおずと出された梓の手を掴んで、紬の屋敷へ引き返した

唯「(やっぱりあったかい♪)」


唯「あずにゃんは何歳?」

梓「17です」

唯「じゃあ私が一個上なんだ」

梓「そうなんですか? もっと上かと思ってました」

唯「ええ~っ、私の声ってそんなに老けてるかなあ」

梓「ちがっ…!その、唯さんは大人っぽいから……」

唯「そーかなー」

梓「(あれ?あんまりおとなっぽくないかも……)」

唯「あずにゃんより私の方が年上だから唯先輩って呼んでもいいよ」

梓「……唯さんって変わった方ですね」

唯「唯先輩って呼んでくれない……」ガーン



29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/08(水) 00:35:19.30 ID:nGA6CKMgo

紬ちゃんのやしき!

斎藤「これは平沢様」

唯「うむ。斎藤君。」

斎藤「…?」

唯「この花を花瓶に挿しておいてくれたまえ。私はこれからこの車でこちらのお嬢さんを家まで送って差し上げる。」

唯「ではよろしくたのんだよ執事の斎藤君」エッヘン

斎藤「……」


梓「(す、すごい。お家に執事さんまでいるんだ……)」


唯「さ、あずにゃん行こっ」

梓「はい。私、車に乗るのってはじめてです」

唯「怖くないからねー、あずにゃん」

梓「怖くなんてありません」

唯「そう?じゃあ行っくよー!」



30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/08(水) 00:36:01.88 ID:nGA6CKMgo

……

唯「――さ、着いたよ。」

梓「もう着いたんですか?」

唯「ではもう一度お手を拝借、降りるとき気を付けてね」

梓「はい、大丈夫です」

唯「あずにゃんの手は小さくてかわいいね」

梓「びっくりしますから、へんなこと言わないでください!」

唯「ここがあずにゃんの家かあ。素敵なとこだね」

梓「狭いアパートですけど、唯さんみたいなお金もちの人とは住む世界が違いますから……」

唯「ぎくっ」

梓「?」

唯「あはははは……」



31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/08(水) 00:36:29.21 ID:nGA6CKMgo

梓「唯さん、今日は本当にありがとうございました」

唯「ううん、それより時々ここに会いに来てもいい?」

梓「唯さんが来てくれたらうれしいです」

唯「ほんとう?」

梓「もちろんです!」


二人は何度も何度もさよならを言って

それから梓はアパートの階段を上って自分の部屋へと帰っていった



32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/08(水) 00:37:27.20 ID:nGA6CKMgo

梓「憂お母さん、ただいま」

憂「おかえり、梓ちゃん。今日はずいぶん早かったんだね」

梓「ねえお母さん!私またあの素敵な女の人に会ったんだよ!」

憂「昨日梓ちゃんが言ってた人?」

梓「うん!その人がここまで車で送って来てくれたの!」

憂「梓ちゃん、よっぽど嬉しかったんだね」ニコニコ

憂「恋する乙女の顔になってるよ?」

梓「にゃっ///? もう、なに言ってるのお母さん!そんなんじゃないもん!」

憂「えー?」

梓「いい人だけど、なんかちょっと変わった人なんだ」

梓「…………やさしい声で…」

憂「(やっぱり梓ちゃん恋してる)」



貧しい親子が和やかな会話を交わす家の外

唯ちゃんはひとり罪悪感に萎れていた……

唯「嘘ついちゃった……」



33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/10(金) 18:49:47.00 ID:711AQ9w7o

唯「なんであんなに見栄はっちゃったんだろう……」

唯「もし私がただのホームレスだってばれたら、きっとあずにゃん軽蔑するよね……」

唯「……」


……

紬の家

菫「紬お嬢様、起きてください。お嬢様」ユサユサ

紬「ん……ふあぁ……菫ちゃんおはよう」

菫「おはようございます。そろそろお出かけの時間ですよ」

紬「わかったわ。ありがとう……ん、なんだか頭が痛いわ。風邪かしら……」

菫「お嬢様、お酒が……」

紬「菫ちゃん、首のとこにアザみたいのが出来てるわよ。どこかにぶつけたの?」

菫「!」サッ

菫「これは、えっと、紬お嬢様がぁ…///」ゴニョゴニョ

紬「? 大丈夫、痛くない?」

菫「はい、痛かったというか嬉しかったというかむしろ気持ち…なんでもないです!」



34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/10(金) 18:50:47.88 ID:711AQ9w7o

紬「気を付けないとダメよ、女の子なんだから」

菫「あ、はい(……この様子だと寝る前のことは覚えてなさそうだなあ)」ハア

紬「着替えを手伝ってくれる?」

菫「はい!よろこんで!」

斎藤「いえ、ここは私が」

紬「あなたはさがってなさい」



35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/10(金) 18:51:48.56 ID:711AQ9w7o

がちゃり

紬「……それにしても頭が痛いわ」ズキズキ


唯「はー……」


紬「え?私の車に知らない人が乗ってる…!?」

唯「あ、ムギちゃーん!車ここに置いとくねー」

紬「あの……どちらさまでしょう?」

唯「やだなあ、私だよー。ムギちゃん忘れちゃったのー?」

紬「どなたかは存じませんが私はこれから出かけますので……」

唯「……ムギちゃん?」

紬「ともかく私の車から降りなさい!」

唯「うん……ごめん」


あぜんとする唯を残して紬の運転する車は慌ただしく発進した


唯「ムギちゃん、どうしたんだろう……」



36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/10(金) 18:52:49.62 ID:711AQ9w7o

がちゃり

菫「あ……平沢様、でしたよね」ペコリ

唯「うん。キミはムギちゃんの妹さん?」

菫「妹だなんてそんな!私はただの召し使いです」

唯「そうなんだ(服かわいいなー)」

菫「それより、お嬢様がなにか変なこと仰りませんでしたか」

唯「あ、そうなんだよ!ムギちゃんったら昨日あんなに仲良くなったのに、なんだか急によそよそしくなっちゃって」

菫「やっぱり」

唯「やっぱり?」

菫「はい……紬お嬢様はお酒を飲むと人が変わったようになってしまって
  いろんなことをやらかすんですけど、酔いが覚めるとなにもかもすっかり忘れてしまう
  という癖の持ち主なんです」

唯「それってかなり危ないんじゃ……」

菫「そういうわけで今のお嬢様は平沢様のことを覚えてらっしゃらないのではないかと」

唯「せっかく友達になれたのになあ」



37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/10(金) 18:53:50.10 ID:711AQ9w7o

菫「すみません平沢様……」

唯「様なんてつけないでよー、えっと……」

菫「菫と申します」

唯「菫ちゃん、かわいい名前だね」

菫「!?(かっかかかかわいいだなんて…もしかして私口説かれてる!?)」

唯「見たところおんなじくらいの歳なんだし敬語も使わなくていいよお」

菫「いっ、いえ!そんなわけには行きません!平沢様はお嬢様の命の恩人です!」

唯「命の恩人……」

菫「お嬢様から聞きました。お嬢様の恩人なら私にとっても大の恩人です」

唯「そんな大層な人間じゃないよ私……」

唯「むしろひどい人なんだよ……どぶの中のヘドロのような女なのさ…あはは」



38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/10(金) 18:54:50.76 ID:711AQ9w7o

菫「あの、なにかあったのですか?私でよければ相談に乗りますけど……」


唯ちゃんは経緯を菫に話した

貧しい花売りの梓と出会ったこと

身分を偽って彼女に近づいたこと

唯「――と、こういうわけなんだ」

菫「そうだったのですか……」

唯「ほんとの私はただのニートのホームレスなのに……ムギちゃんの車でお金もちの振りなんかして」

唯「あはは、ばかみたいだよねー……」

菫「平沢様……」

唯「……」はあ

菫「……」



39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/10(金) 18:55:51.19 ID:711AQ9w7o

唯「(わたし、このままじゃダメだ)」

しばしの沈黙のあと、唯ちゃんは立ち上がった

唯「……わたし、働くよ!」

唯「働いてほんとのお金もちになるんだ!」

菫「唯さん、その意気です!」

唯「おお!やるぞお!…………でも働くってどうすればいいんだろう?」

菫「琴吹家の力で仕事を紹介してあげられるかもしれません」

唯「ほんと?菫ちゃんありがとー!ぎゅーっ!」

菫「ひゃあっ!?平沢様いけません!私にはお嬢様という人が……はあん///」

唯「!?」



こうして唯ちゃんは働き始めたのだった



40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/10(金) 18:56:51.61 ID:711AQ9w7o

職場と梓の家を往復する生活が始まった

愛する少女のためとはいえ、しごとは楽ではない


唯「ちこくちこくー!」ドタバタ

澪「またかお前は……」

唯「ごめんなさい上司の澪ちゃん」

澪「まったく!次遅刻したらクビだからな!」

唯「はあい……もう、澪ちゃんったらかわいいんだから怒んないでよ……」

澪「か、かわいいってそんな///」

唯「?」

どうやら唯の声には魔力のようなものがあって

そのスウィートボイスをささやかれると思わずきゅんっとなってしまう作用があるようだが

しかしそんなことはこの話にはなんら関係がない


澪「とっ、ともかく!さっさと仕事だ仕事!」

唯「はーい」



41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/10(金) 18:57:52.10 ID:711AQ9w7o

職場は市の嘱託を受けた清掃局

唯は毎日そこから荷車を曳いて、市内の塵芥馬糞人糞犬の糞に屁の河童を回収してまわる

なんとも鼻の曲がる話であるがロマンスにあらずもがなの情景はつきものと御了解願いたい


唯「ううっ、ひどいにおいだよ~」

唯「お馬さんはどうしてこんなにウンチをするのかな、ちょっと食べすぎなのかな」

唯「それにこんなにあちこちしていかなくってもいいのに!」プンプン

唯「せめてどっか一か所に決めてくれれば……」

唯「そうだ!いいこと思いついたよ!」


ウマ「ヒヒーン」パカラッパカラッ

唯「こうして馬車を牽くお馬さんの後ろについて……」

御者「あのー……」

唯「あっ、お気になさらずです!」

御者「……」

ウマ「ヒヒヒヒーン」パカラッパカラッ



42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/10(金) 18:58:52.54 ID:711AQ9w7o

唯「まだかなー、まだかなー……」

ウマ「ヒヒーン……」ブルッ

唯「――――――いまっ!」


馬がそのかすかな「徴候」を示した瞬間を唯ちゃんは見逃さず

卓球のラケットを返すような仕草で馬の肛門の真下にゴミ袋をあてがった

神技である

ウマ「ヒヒーン……////」プリプリプリ

ウマが排泄を終えるころには どっしり とした重量が収まるべきところに収まったのだった


唯「上手くいったよ!やった!……って手にちょっとついてるひゃああ!」

ウマ「ヒヒーン!」



43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/10(金) 18:59:52.95 ID:711AQ9w7o

おひる!

唯「ふいーやっと午前中の仕事が終わったあ…」

澪「お疲れ様」

唯「あっ、澪ちゃん上司!平沢唯はただいまからお昼休憩のお出かけに参ります!」

澪「ちゃんと午後の仕事までには帰ってこいよ」

唯「了解であります!」


唯「へへっ、あっずにゃ~ん♪待っててねー!」


……

梓の家

梓「ねえお母さん、やっぱり私が仕事に出るよ」

憂「めっ、梓ちゃんは休んでないとダメだよ!風邪ひいてるんだから!」

梓「もう治ったのにー」

憂「風邪は引き始めと直りかけが肝心なの。いいから大人しくしてなさい」



44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/10(金) 19:00:53.45 ID:711AQ9w7o

梓「でも……それに今日はあの人が来るのに」

憂「梓ちゃんの愛しの王子様?」

梓「そ!そんなんじゃないってば!」

憂「どうしてその人私たちに親切にしてくれるんだろうね」

梓「わかんない……でも、憂お母さんにも唯先輩に会って欲しいの…」

憂「ふふ、また今度ね。王子様が来てくれるんだったら、なおさら梓ちゃんが家にいないとだめじゃない?」

憂「きっと梓ちゃんに会いに来てくれるんだろうから……ふふっ」

梓「!も、もう!分かったから早く出てって!」

憂「はーい、じゃあ行ってきまーす」

がちゃ ばたん

憂「……はあ」

憂「私が隠し事してるの、梓ちゃんにバレなかったよね」

憂「だめだめ!私が暗くなってちゃ!今日中にお金をなんとかしなくちゃいけないんだから!」



45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/10(金) 19:01:53.97 ID:711AQ9w7o

……

コンコン

唯「あずにゃ~ん、いる~?」

梓「あっ、はーい!」

唯「こんにちはー、愛しの唯先輩だよー」

梓「ふざけてないで中入ってください」

唯「へへ、怒られちった」

梓「その…来てくれてありがとうございます」

唯「あずにゃんに会うためなら地球の裏側からだってくるよ!」

梓「へんなことばっかり言わないでください…」

唯「そうだ、今日もいっぱいお土産持ってきたよ!」ガサゴソ

唯「はい、これはリンゴ!」

と言って、梓の手に袋から取り出したリンゴを握らせる

唯「このリンゴはねー、なんと歩いてたら空から落ちてきたんだよー。すごいでしょ」

梓「ほんとですか~?」クスクス



46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/10(金) 19:02:54.42 ID:711AQ9w7o

唯「はいっ!それからこっちは、ジャガイモー、玉ねぎー、キャベツー、人参にブロッコリーだよ」

梓「こんなにいっぱい…」

唯「あずにゃん病みあがりなんだからいっぱい食べて栄養付けないとね!」

梓「これもぜんぶ空から落ちてきたんですか?」

唯「そうなんだよ、不思議だよねー」

梓「唯先輩がお店で買ってきてくれたんじゃないんですか?」

唯「ちがうよお、何言ってるのー、えへへ」

唯「それでねー、とっておきはこれ!チキンだよ!」

唯「これはね、たまたま私が山を歩いてる時に空を飛んでるのをみつけたから、
  すかさず、『バーン!』と鉄砲で撃って捕まえたんだよ」

梓「(ニワトリは空を飛ばないけど黙っておこう)」

唯「戸棚のとこに置いとくねー」

梓「はい、ありがとうございます」



47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/10(金) 19:03:54.88 ID:711AQ9w7o

唯「よいっしょっと………………ねえ、あずにゃん」

梓「はい」

唯「抱きついてもいい?」

梓「ダメって言ってもするんですよね」

唯「よくわかってるね」

梓「じゃあ私がどう答えたって同じじゃないですか」

唯「同じではないよ、えいっ」

梓「………」

唯「最初は手をにぎるだけでも真っ赤になってたのに最近は落ち着いてるね」

梓「恥ずかしいですけど、もう慣れました」

唯「私は慣れないよ。いつもあずにゃんに抱きつくとどきどきしてる」

梓「にゃっ///」

唯「おっ、ちょっとあずにゃんもどきどきし始めた―?」

梓「してません」

唯「してるよー」

梓「してます、けど」

唯「あずにゃん、あったかーい」



53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:01:04.75 ID:joOriU5No

梓「もういいですか。ちょっと苦しいです」

唯「はーい」

梓「唯先輩、机の上の箱をとってくれますか?」

唯「この棒と毛糸玉が入ってる箱のこと?」

梓「はい、それです。編み棒と毛糸を私の手の上に乗っけてください」

唯「編み物してるの?」

梓「……」

梓「唯先輩、私の悩み、聞いてくれますか?」

梓「これは私の大切な人にマフラーを作って差し上げようと思ってるんです」

唯「それってあずにゃんのお母さん?」

梓「その人、すっごく変な人なんです」

唯「ふーん」

梓「人に抱きつくのが好きで、いつも変な冗談ばっかり言ってて」

唯「それって……」

梓「その人はなぜか私にとてもやさしくしてくれるんですけど」

梓「でもどうしてその人がそんなによくしてくれるのかわからなくって」

唯「………」

梓「どうしてなんでしょう」

唯「きっとその人があずにゃんさんのこと好きだからじゃないかな」



54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:02:05.45 ID:joOriU5No

梓「そんなことありません」

唯「あるよ」

梓「だって、私なんて、物も知らないし、こんな体だし……いいところないです」

唯「あずにゃんはあったかくていい子だよ」

唯「ねえ、あずにゃん。もし誰か、いつも淋しくって友達が欲しいと思ってる人が
  あずにゃんみたいな子と出会ったら、その人はきっとあずにゃんのこと好きになっちゃうと思うんだ、
  すぐにだよ。そしてあずにゃんのこともっともっと好きになりたいと思うよ」

梓「……」

唯「レコードでもかけよっか」

梓「私も……」

唯「ん?」

梓「私も、その人のことが好きかも知れません」ボソッ

唯「えっ、なーにー?」

梓「なんでもありません!」



55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:03:06.28 ID:joOriU5No

~♪

唯「(しまった、結婚行進曲なんてかけてしまった! 気まずい!)」

唯「あずにゃんが編み物してるので私は新聞を読むね!」ワタワタッ

梓「えっ、あ、はいどうぞ。どうしてそんなに慌ててるんですか?」

唯「あはは」

唯「ふーむ、相変わらず景気が悪いなー」

唯「! これって……」

唯「………あ、あずにゃん!聞いて聞いて!すごいニュースをみつけたよ!」

梓「どうしました?」

唯「読むよ?」


 『ドイツの医師、盲人を治療する手術法を開発』


梓「……!」

唯「この手術を受ければあずにゃんも目が見えるようになるよ!すごいすごい!」

梓「信じられない……」



56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:04:07.29 ID:joOriU5No

唯「ね、もし目が見えるようになったら、何を最初に見たい?」

梓「唯先輩の顔を見たいです」

唯「わたし?」

梓「はい、それが私の見たいものです」

唯「あずにゃん……」


唯「(もしあずにゃんの目が見えるようになったら)」

唯「(私がほんとのお金もちなんかじゃなくって)」

唯「(あずにゃんに、ずっと嘘をついてたってことがきっとばれちゃう)」


梓「唯先輩?どうかしましたか?」

唯「うっ、ううん、なんでもないよ」フラッ

どさどさ

唯「あっ、ごめん本を倒しちゃったよ」

梓「きっとお母さんの本です」

唯「ごめんね、今すぐ直すから……あれ、こんなとこに手紙が……一緒に落としちゃったのかな」



57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:05:08.24 ID:joOriU5No

梓「手紙?」

唯「うん、宛名にあずにゃんの名前が書いてあるよ」

梓「私の?唯先輩、読んでくれますか」

唯「なになに、えっと……
 『最終通告、翌朝までに滞納中の家賃30万をお払いいただけない場合は
  即刻退去していただきます 大家より』……!」

梓「そ、そんな……!」

唯「あ、あずにゃん……」

梓「どうしよう……お母さん、わたしに内緒にしてたんだ……ああ、どうしよう!」

唯「あずにゃん、心配しないで!」

梓「でも……」

唯「大丈夫。あずにゃん、お金なら明日の朝までに私がかならず持って来るから、だから、ねっ、落ち着いて」

唯「じゃあ私は行くね。安心して待ってるんだよ!」

梓「待ってください! 唯せんぱ……」


ばたん



58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:06:11.70 ID:joOriU5No

たたたたた

唯「(あずにゃんにはああ言ったけど、30万なんて大金どうやって用意しよう)」

唯「……お給料前借りするしか…………澪ちゃんゆるしてくれるかな……」


唯「みおちゃーん!」

澪「こらっ! 30分も遅刻だぞ!!」

唯「ひゃっ!? ご、ごめんなさーい!」

澪「午後の仕事までには帰ってこいとあれだけクドクドクドクド」

唯「その、あの、つい……」

澪「つい、じゃない! だいたいお前は最初っからクドクドクドクド!!」

唯「(やばい、このお説教は一時間コースだ……!)」

澪「クドクドクドクド、あーだこーだ!」



59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:07:12.60 ID:joOriU5No

唯「澪ちゃん、ストップ!」

澪「なんだよ?」イライラ

唯「遅刻は遅刻として、上司の澪ちゃんにお願いしたいことがあるのですがー」モジモジ

澪「言ってみろ」

唯「じつはお給料前借りしたいんだけど、……2カ月分」

澪「…………あっはっはー。そうかそうか」

唯「……だめ?」

澪「ダメに決まってんだろ!!!」


結局その日は勤務時間いっぱいまで怒られたのでした



60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:08:13.06 ID:joOriU5No

ゆうがた!

唯「どうしよう、結局お給料借りられなかった……
  それにしても澪ちゃんったら、あんなに怒んなくてもいいのに…」

唯「このままじゃあずにゃんがお家を追い出されちゃうよ……」

唯「どうやってお金を用意しよう……」トボトボ


律「ちょいちょい、そこのお姉ちゃん」

唯「ほえ? 私?」

律「アンタ以外に誰がいるんだよ。なあ、うまい話があるんだけど、興味ないか?」

唯「うまい話って……なにか奢ってくれるの!?」

律「そのうまいじゃねーし!うまい話ってのは、美味しい話ってことだよ」

唯「???」

律「いや、美味しいじゃなくって……簡単にできる金儲けってことだ」

唯「!」

律「こんな話、興味ないか?」

唯「ある!!!」ズイッ

律「おおっと、近い!顔が近い!」



61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:09:15.40 ID:joOriU5No

話しかけてきたのは街の小悪党、律でした

律は唯ちゃんにちょっとした詐欺を持ちかけたのです――


律「いいか、そこのボクシング場ではアマチュアの賭け試合がやってるんだ」

唯「うん」

律「それに出て勝てば賞金がでる。」

唯「ってそんなの勝てるわけないよー! それに痛いのとかやだし……」

律「最後まで聞け! もし、私とお前がしめし合わせて戦ったとすると、どうだ?」

唯「それって、八百ちょムグ!」

律「しーっ!声がでかい! 大丈夫、うまくやればバレやしないよ。そんで賞金は山分け。
  な? 美味しい話だろ?」

唯「やるよ私!」

律「いよっし、じゃあ交渉成立だ!」



62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:10:15.95 ID:joOriU5No

控室!

唯「うー、緊張してきた」キョロキョロ


エリ「くくく、今日こそアカネの面をこの拳で潰してやる……」

アカネ「エリの顔面をセンターに入れてジャブ、エリの顔面をセンターに入れてストレート……」ブツブツ


唯「……なんか怖い人ばっかりだし」ぞわっ

律「おい、打ち合わせするぞ」ヒソヒソ

唯「あ、うん」

律「最初の1分は軽くパンチしあって、私が合図してジャブを入れたらKOしたフリしろよ」ヒソヒソ

唯「おっけー!」

律「声がでかい」ヒソヒソ

唯「はーい」ヒソヒソ

唯「……あんまり痛くしないでね」ヒソヒソ

律「了解。これ以上くっついてると怪しまれるから、ちょっとあっち行ってるぞー。
  恐くなって逃げんなよ」

唯「そっちこそ」


律「ふー、やれやれ。ん、あいつは……」


いちご「……」



63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:11:16.66 ID:joOriU5No

エリ「あれ刑事の若王子さん、こんなとこでどうしたんですか?」

いちご「ここら辺にお尋ね物の田井中律がいるはずなんだけど」ボソッ

アカネ「田井中……?」

律「(や、やべー!)」コソコソ

いちご「そう。詐欺窃盗万引き未成年者飲酒と覗きに下着泥で指名手配中」ボソッ

律「(最後の二つは断じてやってねーよ!)」

いちご「ちなみにこれが人相書き」

エリ「あれ、こいつさっき……」

律「……」スタコラサッサ

アカネ「あっ、そいつだ!」

律「うわははは!捕まえられるもんなら捕まえてみなー!」

いちご「……待ちなさい下着泥棒」

律「やってねーよそれは!!」

いちご「ついでに私の心も盗んでいった」ボソッ

律「えっ」


律はそのまま薄暗い街へ逃亡していってしまいました



64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:12:17.17 ID:joOriU5No

困ったのはボクシング場の支配人です


支配人「試合前に逃亡しやがって……これじゃ試合が一つ空いちまう」

支配人「どこかにちょうどいいやつは……」

信代「……」ドシーンドシーン

支配人「へい、そこのいかしたねーちゃん」

信代「ああん?」ギロッ

支配人「ボクシングの試合に出ないかい?」

信代「わかった」クッチャクッチャ


そんなこととはつゆ知らぬ唯ちゃんは……

唯「あれー? りっちゃんどこ行ったんだろう?」

支配人「変更があった。お前の相手はこいつだ」

信代「よろしく」ズシーン

唯「!?」



65:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:13:18.17 ID:joOriU5No

信代「フーンフフーンフーン♪」ズシーン!

唯「(ええええええええ!?)」

信代「ホホイホッホイ」ズシーン!ズシーン!

唯「あのー……」オズオズ

信代「ああ?」

唯「賞金は山分けにしようねっ」ニコー

信代「ガハハハハ!……失せろ」ギロッ

唯「ひいいいいいいい!」

信代「ガハハ、いっちょ四股でも踏むか!」ズシーン!



66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:14:18.81 ID:joOriU5No

唯「ああああんな人と戦ったらぺちゃんこにされちゃうよ」ガクガクガク

唯「いや、スポーツなんだしいくらなんでもそこまで……」


カンカンカンカーン!

「おい! そこ空けろ! けが人だ」

アカネ「骨がー!骨がー!」

「おいおい、いったいどうしたんだ」

「12倍の威力のトリプルクロスカウンターが決まったらしい」

アカネ「死ぬー!死んじゃうよー!」

エリ「アカネー! 死ぬなー!」

アカネ「もうだめ……グッバイマイフレンド」ガクッ

エリ「アカネー!!!」

「救急車呼べ! 医者だ医者!」


唯「………………………………………」

信代「フン!」ズシーン!ズシーン!



67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:15:20.32 ID:joOriU5No

唯「だだだだだめだ! 確実に殺されてしまう!」

唯「ににに逃げないと!……」ガタッ


梓(唯先輩)


唯「はっ、あずにゃん……」

唯「(そうだ。私、あずにゃんのためにここに来たんだった)」

唯「(もし私が勝たなかったら、あずにゃんは……)」

唯「……つらい時も、愛と勇気があれば」

唯「あずにゃん! 私やるよ! ぜったい勝つよ!」フンス



68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:16:20.72 ID:joOriU5No

カーン!

「KO!」

唯「はにゃーん」

信代「ガハハハハ!」

あっという間に負けました



69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:17:21.51 ID:joOriU5No

……


唯「いてててて……はぁ……」

唯「もう夜になっちゃってる……こんなんじゃとても明日の朝までには……」

唯「あずにゃん……ごめんね」ぐすっ

「ひっく!すっかり酔っちゃったわー」

唯「あ……あれは」


菫「お嬢様、しっかりなさってください」

紬「どうして菫ちゃんが二人いるのー?」

菫「しっかりしてください!」

紬「まあ! 唯ちゃんじゃない!」

唯「!」

菫「あ、平沢様! これはどうも」

紬「唯ちゃーん!!会いたかったわああ」ガバッ

唯「わっ、ムギちゃん記憶が戻ったんだね!」



70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:18:22.49 ID:joOriU5No

紬「へ? きおく?」

唯「あはは、なんでもない(お酒でとほんとに人が変わるんだな……)」

紬「そんなことより、ね、私とっても幸せなの。唯ちゃん私と結婚しましょ?」

唯「あ、あはは……」

菫「……チッ」

唯「!?」

紬「また会えるなんて思ってなかったわー、せっかくだからね、私のお家で一緒にパーティーしましょ」

唯「うん……」

紬「唯ちゃん、元気ないわ……何かあったの?」

唯「ううん、なんでもな――」

唯「(そうだ、もしかしたらムギちゃんならなんとかしてくれるかも……でもそんな風に頼るなんてよくないかな……
  ううん! これもあずにゃんのためだもん!)」



71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:19:22.89 ID:joOriU5No

紬「唯ちゃん?」

唯「実はね……」

唯ちゃんは今までの経緯を紬達に話しました



72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:20:23.29 ID:joOriU5No

……

紬の家

紬「そんな事情があったなんてー!」ズビズブババ

菫「お嬢様、鼻水と鼻血が……はい、ちーん」

紬「ちーん。ぐすっぐすっ……唯ちゃん、お金のことなら任せて!」

唯「ほ!ほんとうに!?」

紬「もちろんよ! 他ならぬ唯ちゃんの頼みだもの!」

唯「ありがとうムギちゃん! このお金はきっと働いて返すから!」ぎゅー

紬「あらあら、そんなのいいのよ」

唯「でも……」

紬「その代わり唯ちゃんには私と結婚してもらおうかしら」

唯「え」

菫「え!?」

紬「うふふ、なーんて冗談よー。唯ちゃんにはもう心に決めた人がいるみたいだし」

唯「なんだーびっくりしたー……って、心に決めた人って……///」

紬「そういうことなんでしょ?うふふ」

唯「て、照れるよー///」

菫「ほっ……」



73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:21:30.16 ID:joOriU5No

紬「大変! もう夜明けまでに時間がないわ!」

唯「もうそんな時間なの!?」

紬「菫ちゃん、金庫からお金を取って来てちょうだい」

菫「はっ、はい!」


唯「ほんとにこのお礼はなんて言ったらいいか……」

紬「水くさいこと言わないで。唯ちゃんは命の恩人じゃない。困ったことがあればいつでも助けるわ」

唯「ムギちゃん……(この前は忘れられてたけど)」

紬「それにしても菫ちゃん時間かかるのね……そろそろ戻って来てもいいころなのに」


「キャアアアアアアアアアア」


唯紬「!?」



74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:22:30.59 ID:joOriU5No

唯「菫ちゃん!! いったい何が!?」

?「ちっ。でかい声だしやがって……」

唯「あ、あなたは……りっちゃん!」

律「ん、お前はさっきの……なんでこんなとこにいるんだ」

唯「りっちゃん、悪い人だったんだね!」

律「おうよ! ってかなんだ今さら!」

唯「さっきはりっちゃんが逃げたせいで大変だったんだからねー!」

律「わっはっはー、そんなこと言われても悪党の心はひとつも痛まぬわー」

唯「む~っ!」



75:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:23:35.00 ID:joOriU5No

律「おっと、動くなよ! このピストルが目に入らないのか!」

紬「菫を!菫をどうしたの!」

律「へへ、金を貰おうとしたら騒ぐんでちょいと黙らしてやったのだ。
  これだけあれば100年はカチューシャ買う金に困らないな、はっはっはー」

唯「おのれー! 怪盗カチューシャマンめ!」

律「勝手な名前つけるな」

唯「ぐぬぬ……」

律「やれやれ、ここの主人は毎晩家を空けてるはずだから忍び込んだってのにこんなに人がいるとはついてないぜ。
  こうなっちまったもんはしかたがない。おい、そこのお嬢さん、もっと金を出しな!」

紬「ふんす!」ガバッ

唯「ムギちゃん!?」

紬「私がこいつを抑えてるうちに警察を呼んで!早く!」

律「ちくしょっ、離せ! うわっ、すごい馬鹿力あいたたたた!!」

唯「あわわわわ110番110番!」



76:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:24:35.57 ID:joOriU5No

唯「強盗がピストルでお金がムギちゃんの菫ちゃんでとにかく早く来てください!」

律「このっ、離せってば!撃つぞ!」

紬「撃ってごらんなさい!私にそんなものが効くと思ってるの!」

律「いや、効くだろ!」

唯「ムギちゃん! 警察に電話したよ!」

律「あっ、ちくしょ! 離れろって言ってんだろ!」

バキューン!バキューン!

唯「うひゃああっ!?」

紬「きゃっ!?」

「何事です!?お嬢様、帰ってられるのですか!!」

律「しまった、更に人を呼んでしまった! おい、お前離せ、次は当てるぞ!」

紬「むぎゅぎゅぎゅぎゅ、やられるもんですかあ!」

律「えーい! 手刀!」

紬「あうっ」

唯「ムギちゃん!」



77:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:25:36.05 ID:joOriU5No

紬「むぎゅ~……」

唯「ムギちゃん! ムギちゃん!」ユサユサ

律「今のうちに……あーばよっ!」

唯「あっ、待て怪盗カチューシャ!」


斎藤「お嬢様!?これは一体……」

唯「執事の斎藤さん! 実は……」

斎藤「貴様がお嬢様を……!」

唯「ええええ!? ち、ちがうよお!?」


和「そこまでよ!」

いちご「警察が来たからにはもう悪党どもの好き勝手にはさせない」ボソボソ

和「強盗はどこなの!」

斎藤「そこの女です!」

唯「ええええええええっ!!?」



78:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:26:36.67 ID:joOriU5No

いちご「こいつ田井中律とつるんでたやつ」

和「筋がね入りの悪党ってやつね」

斎藤「やはり!」

唯「ごごごご誤解です!!私じゃありません!強盗なんてそんな!」

和「ならその右手にある札束はなによ!」

いちご「動かぬ証拠」ボソボソ

唯「いっ、いつのまに私の手に!?
  あいやっ、これはちがくて、もともとムギちゃんが私に貸してくれるって!」

和「下手な言い訳はよすのね!抵抗すると撃つわよ!」

唯「私とムギちゃんは友達なんです!!」

和「友達……? あの話は本当なの?」

斎藤「嘘です」

和「嘘だったのね!! 撃つわ!」

唯「うわあああああっ、ムギちゃんにも聞いてみてよお!!」



79:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:27:37.01 ID:joOriU5No

いちご「たしかに、本人に訊いてみなければわからないかも」

和「一理ありそうね」

唯「ねえ、ムギちゃん、ムギちゃん!」

紬「う、ううーん……ここは……」

唯「ねえ、私たちが友達だって言ってやってよ!」

和「あの女が友人だというのは本当ですか」

紬「……だれ? あんな人知らないわ……頭が痛い……」

唯「ムギちゃんまた記憶が……!?」

斎藤「おのれえええ!」

いちご「逮捕ね」

和「逮捕するわ!おとなしくなさい!」

唯「そ、そんなああああっ(ここで捕まったらあずにゃんとの約束守れなくなっちゃう……!
  もうこうなったら………………)」


唯「………………………………逃げる!」

和「あっ、待ちなさーい!!!」

唯「ごめんねムギちゃーん!!」


唯ちゃんは札束を握りしめたままその場を逃げ出しました



80:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:28:37.46 ID:joOriU5No

梓の家


コンコンコンコン!

ガチャ

梓「はい、ゆいせんぱ…きゃっ!」

唯「あずにゃん!お金持ってきたよ! はいこれ!」ギュッ

梓「えっ、こんなにいっぱい……」

唯「これは家賃と、それからあずにゃんの眼を治すのに使うんだよ!」

梓「唯先輩、でもこれ……」

唯「いい?わかったね。それから、……それから、私はしばらくここには来れないから」

梓「……遠くに行ってしまうんですか?」

唯「うん……ずっと遠く。だから、お別れだよ」

梓「お別れしても、また会えますよね?」

唯「たぶんね」

梓「たぶんなんて嫌です! 約束してください!」

唯「……」

梓「どうして黙ってるんです?」



81:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:29:38.03 ID:joOriU5No

唯「あずにゃん泣かないで」

梓「泣いてません。」

唯「うん……」

梓「急に、お別れだなんて……そんなのないです。
  これで唯先輩ともう会えないくらいなら、こんなお金いりません!」

唯「あずにゃん。このお金は受け取って?」

梓「いやです」

唯「きっとまた会いに来るから。あずにゃんの眼が見えるようになったら、その時はいっしょに外をお散歩しよう?」

梓「…………やくそく、ですよ」

唯「うん、やくそくする!」

梓「約束破ったら、針千本飲ませますから」

唯「えへへ、あずにゃんこわーい」

梓「もう…………ふふ」

唯「ふふ……じゃあ、あずにゃん。もう行くね」

梓「! 唯先輩、待ってください! 私まだなんにもお礼を……!」

バタン


憂「梓ちゃん……? 誰か来てたの?」

梓「唯先輩…………」



82:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:30:38.61 ID:joOriU5No

唯「…………」

和「見つけたわよ! もう逃がさないわ」

いちご「逮捕」

ガチャン

唯「…………」



83:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:31:39.03 ID:joOriU5No

それから、数か月後


かつて二人が出会った街の一角に

一軒の花屋が出来ていた


純「梓ー、この花はどこに置くのー?」

梓「それはそこの奥に」

純「なるほど、奥に置くのか」

梓「ふざけてないで働きなさい。お給料出さないよ」

純「ちぇー、ちゃんとやってるじゃーん」

憂「純ちゃん、それ終わったらお茶用意してあるから」

純「やったー!」

梓「やれやれ…………」



84:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:32:39.42 ID:joOriU5No

憂「梓ちゃん、私お届けもの行ってくるねー」

梓「はーい、お母さん!」

梓「…………はあ」

純「どうしたの、梓店長。せっかく念願のお花屋が開けたっていうのに、浮かない顔じゃん」

梓「なんでもない」

純「前に話してくれた『唯先輩』のこと?」

梓「唯先輩……もうずいぶん経つのに、あれから手紙の一枚もくれない」

純「きっとすぐに会いに来てくれるって。元気だしなよ」

梓「うん」

純「っていうか私が会いたい。きっとかっこいい人なんだろうなー」

梓「純はだめ! なんか失礼しそうだから……」

純「がーん!」



唯「はあ……」トボトボ



85:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:33:39.80 ID:joOriU5No

唯ちゃんは既に釈放され、懐かしい街をあてもなく歩いていた

唯「ずいぶん経っちゃったけど、ここら辺はあんまり変わんないなあ……」

唯「変ったと言えば私の方か……前よりますますボロボロになっちゃって」

唯「そういえば、ここであずにゃんに出会ったんだ」

唯「あずにゃん…………会いたいよ…………」


純「あっ、店長、乞食ですよ!」


唯「!」


梓「もうっ、純ちゃんと仕事してってば……」

唯「あっ……(あずにゃん!)」



86:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:34:40.42 ID:joOriU5No

唯「(あずにゃん、眼が見えるようになったんだ……!)」

梓「……?」

唯「あず……!」

純「あの乞食、ずっと店長のこと見てますね。店長に惚れちゃったんじゃないのー?」

梓「馬鹿なこと言ってないの」

唯「(あ…………)」



87:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:35:49.96 ID:joOriU5No

唯「(私のこと、わからないんだ……)」

唯「(……そうだよ、当たり前じゃん……私はあずにゃんの知ってる『唯先輩』じゃない……
  本当の私は、お金もちでもなんでもない、みすぼらしいかっこした乞食なんだもん)」

唯「(…………行こう。私はあずにゃんに会っていい人間じゃない)」

梓「待って! ……純、お金を持ってきて!」

純「ほいほーい」


梓「待って、そこの人!」

唯「…………!」



88:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:36:51.54 ID:joOriU5No

梓「このお金で服と食べものを買ってください」

唯「……」フルフル

梓「私が困ってた時、ある人が助けてくれたんです。その人は今いないけど、……」ギュッ

そう言って、梓は

首を横に振る唯ちゃんの手にむりやりお金を握らせた

梓「もし、同じように困ってる人がいたら、あの人がしてくれたのと同じように助けてあげようって決め、て……」

純「梓? どうしたの?」

梓「………………!(この手……)」



89:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:37:52.06 ID:joOriU5No

唯「(あずにゃんの手、あの時と同じあったかさ……………)」

梓「あなた、だったんですね…………」

唯「………………」

梓「ずっと、お待ちしてたんですよ……?」ぽろぽろ

唯「………………」ニコッ

梓「お帰りなさい、唯先輩」ぎゅっ

 ただいま、あずにゃん




それから二人がどうなったかは

みなさんの御想像にお任せします

END



91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/10(水) 22:49:16.95 ID:joOriU5No

そういうわけで舞台がいつのどこなのかよくわからんのも気にしないでください
もう書き忘れたことないよな



93:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/11(木) 01:15:35.23 ID:VC4cerSDO

面白かった!!乙!



94:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/11(木) 02:19:51.50 ID:NOZEoggDO


若王子警部はカチューシャ(ウー)マンを捕まえられたのだろうか
仕事的にも恋愛的にも



96:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/21(日) 21:06:27.40 ID:0vlyX4yIO

良かったよ!



引用元
唯「まちのあかり」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1307251884/
[ 2012/09/25 18:00 ] けいおんSS | TB(0) | CM(1)
名無し
原作映画だと、最後女が複雑な顔をするんだよな
ずっと自分のヒーローだったチャップリンが、実は薄汚い浮浪者だと知って
2012年09月25日 18時56分
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