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勇者「……ハハッ。 ここまでか」

1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/07/25(月) 21:33:55.39 ID:98HSWio0o

王「……やはり、これは捨て置けぬな……」

伝令「失礼致します。 騎士殿が登城されました」

王「うむ。 通すがよい」

伝令「はっ」

男「男、王命により参じました」

王「参ったか。早速だが男、其方(そなた)に頼みたい事がある」

男「はっ、何なりと命じ下さい」

王「そう硬くなるな。事が事だけにコレは勅すことは出来ぬ」

男「……?」

王「故にこの話は内密で願いたい」

男「いえ、王の頼みとあらば私は……」

王「うむ、其方には苦労を掛けることになる、実は……」


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引用元
勇者「……ハハッ。 ここまでか」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1311597235/
2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/07/25(月) 21:37:17.54 ID:98HSWio0o

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男「……と、ここかな?」

  『孤高の風見鶏亭 / 本日のオススメの品:若鶏の香草煮』

男(店名は、──孤高の風見鶏亭──あってる)

男(昼時だし結構混んでるな……オススメの品か、いいな) コンコン、ギィィ

女将「いらっしゃい、一人かい? 今日は混んでてねカウンターでいいかい?」

男「ああ、構わないよ」

女将「じゃあこの席へどうぞ。 注文はどうする?」

男「本日のオススメとブリオーシュ(※1)、あとはヴァン(※2)を」

女将「あいよ、ちょっと待っておくんな」

男(……さて、待ち合わせはここで、との話だが……)


※1 ブリオーシュ(仏:brioche) 水の代わりに乳酪を使用た発酵パンの一種
※2 ヴァン(仏:Vin) 葡萄酒、いわゆるワイン



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/07/25(月) 21:41:07.44 ID:98HSWio0o

女「こんにちは、女将さんいらっしゃいますか?」

女将「はーい、あら? 女ちゃんいらっしゃい」

女「お久しぶりです、女将さん」

女将「ホントに久しぶりだね。 ゴメンね、混んでてカウンターでいいかい?」

女「はい、大丈夫です」

女将「じゃ、この席で。 お客さん、隣ゴメンよ」

男「ああ、構わない」

女「! 失礼致し、ます」

男(? ……!)

女「ええと。 ムスクラン(※1)とパンドメテイユ(※2)をお願い致します」

女将「あいよ、飲み物は?」

女「ええと、林檎の香りを付けた水、はありますでしょうか?」

女将「あるよ、少し待っててね」


※1 ムスクラン(仏:mesclun) 色々な種類の若菜を取り合わせたサラダ
※2 パンドメテイユ(仏:Pain de meteil) ライ麦パン



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/07/25(月) 21:45:39.84 ID:98HSWio0o

女「……ふうっ。 男君はどうしてここにいるのでしょうか?」

男「ははは、それはお互い様だと思うよ、女」

女「それもそうですね。 ……実は、ここの女将さんと私は知り合いなんですよ」

男「そうか。 女は、いま僧侶をやってるんだっけ? 教会絡みかな?」

女「ええ、神学校時代に、この教区の教会で実地訓練だったんです」

男「なるほどね。 じゃあ、今日ここに来たのも?」

女「……それは男君、あなたの方が良く知っていると思いますよ?」

男「孤高の風見鶏亭にて待機。 剣士殿と合流後、行動を共にし協力すること」

女「当たりです。 そして剣士殿というのが……」

男「うん、多分当たり。 僕のことだよ」

女将「はい、お待たせ。 お客さんのがこっち、女ちゃんのはこっちね」

女「……父よ、貴方の慈しみに感謝してこの食事を頂きます」

男「ここに用意された物を祝福し、私達の心と身体を支える糧として下さい」


  「「《斯く在れかし》」」



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/07/25(月) 21:49:30.66 ID:98HSWio0o

女「……それで、久しぶりに会った幼馴染の男君は、何故、今は剣士なのでしょう?」

男「端的に言えば、僕は今騎士じゃない」

女(!) アセアセ

男「ああ、心配はいらない。 クビにはなっていない。 これが終われば、復帰する」

女「……ビックリさせないで下さい」 フゥ

男「ゴメンゴメン。 王からの個人的な頼み事でね、表立って兵は動かせないんだ」

女「王様から……ですか?」

男「ああ。 しかも聊か厄介な頼み事でもある。 大っぴらには出来ないな」

女(?)

男「……《勇者》の調査を行う。 必要があれば捕縛を行う」

女「! 《勇者》様を……ですか?」

男「ああ。 最悪の場合……抹[ピーーー]ることも視野に入れている」

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6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/07/25(月) 21:51:13.62 ID:98HSWio0o

誤 - 男「ああ。 最悪の場合……抹[ピーーー]ることも視野に入れている」

正 - 男「ああ。 最悪の場合……抹殺することも視野に入れている」


肝心なところで俺ってやつは……orz



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/07/25(月) 21:53:54.01 ID:98HSWio0o

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王「其方の騎士資格を一時剥奪する。 これからは剣士となるがよい」

男(!!)

王「案ずるな。 其方には秘密裏に動いてもらいたい、故に一度資格を剥奪するのだ」

男「秘密裏……ですか?」

王「うむ。 先ずは、この資料に目を通して欲しい」 バサッ

男「拝謁致します……」


  ・・・・・


男(……各町、村の犯罪発生の統計だな……)

男(……どこも一時的、それも極短期間だけ急激に犯罪発生率が上昇している……)

男(……強姦、姦通、窃盗、傷害、殺人も含むか。 変動が顕著だ……)


  ・・・・・



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/07/25(月) 21:58:08.09 ID:98HSWio0o

男「……拝謁賜りました」

王「どう思う?」

男「どこも、ある時期だけ異常に治安が悪化しています」

王「その通りだ。 何れもが、そこに《勇者》殿が滞在していた時期と重なっている」

男(!!)

王「《勇者》殿とその仲間の方々には、王国より特権を与えておる、即ち……」

男「《勇者》とその同行者に従い、協力すること。 これに異を唱えた者を罰す」

王「……然り。 しかし、この特権を与えた事を余は後悔しておる」

王「余は現《勇者》、見窄らしい身形のあの者が城に訪れた時、一時は疑った」

王「この者は何か変だ、何かが食い違っている、とな」

王「しかし、自らを《勇者》だと評するあの者を、余は無下には出来なかった」

王「力量を試す為に闘技場で魔物と模擬戦をさせたが、彼の者は雷霆を振った」

王「あの雷霆の力──雷呪は《勇者》所縁の神威であると伝承は謳っておる」

王「それ故、一時は疑った余も、あやつを《勇者》と認め特権を与えたのだ」



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/07/25(月) 22:04:51.35 ID:98HSWio0o

誤 - 男「《勇者》とその同行者に従い、協力すること。 これに異を唱えた者を罰す」

正 - 男「何人も、《勇者》とその同行者に従い、協力せよ。 これに異を唱えた者を罰す」



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/07/25(月) 22:06:06.32 ID:98HSWio0o

王「確かに、あの雷呪は《勇者》の血筋で無ければ使えないだろう」

王「しかし、《勇者》の血筋の誰もが、常に高潔であると誰が保証するのであろう?」

男「陛下、それは……」

王「よい。 過ぎ去りし日は帰らぬ。 しかし、行く末を変えることはできよう」

王「剣士、其方への頼みだ。 《勇者》を抑えて欲しい」

王「本来であれば、兵を動かし抑えるべきであろう」

王「しかし、民草は《勇者》への期待も持っているのだ、これを無視することはできん」

王「それ故、表立って兵を動かすことも、《特権》を消すことも出来ぬ」

王「だが、捨て置くこともできぬ。 よって最悪の場合、魔族に見せかけ《勇者》を討つ」

王「其方への負担はかなりのものとなろう。 断っても構わぬ」

王「だが、この通りだ。 男よ、《勇者》を止めて欲しい」

男「……ご下命、確と賜りました」

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14:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/25(月) 22:39:01.67 ID:98HSWio0o

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女「……あの《勇者》様が……」

男「うん。 まあ、信じにくい内容だとは思う」

女「正直、眉唾ものに感じます」

男「その辺りを含めて、先ずは調査しないとね。 それで女?」

女「はい?」

男「君はどうする? 《勇者》を裁くと言っても僕じゃ限界がある」

男「司法は教会の分野だしね、協力して欲しい、というのが正直なところ」

男「勿論、断ってくれてもいい。 僕としては一緒に来てくれると嬉しいけど……」

女「……わかりました。 お付き合いさせて頂きます」

男「よかった。 じゃあ、これからよろしく、女」

女「よろしくおねがいします、男君」



17:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/25(月) 22:48:05.61 ID:98HSWio0o

男「それにしても……」

女(?)

男「久しぶりだね、女。 僕が騎士見習いで城勤めするようになってからだから……」

女「8年ですよ。 男君が私を置いていってしまわれてから」

男「……ゴメン」

女「いいえ。 あの時は結構泣いてしまいましたが、今はもう大丈夫です」

男「女……」

女「男君は、私との約束を守ろうとしてくれた。 そういうこと、にしておきましょう」

男(……)

女「私が約束を守れなくなってしまっただけ。 ……それだけですよ」

男「女、僕は……」

女「この話はお終いにしましょう。 さ、具体的にどうするか、を話し合いましょう?」

男(……女)

女(……今更、ですしね。 それに男君には……)



18:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/25(月) 22:55:46.80 ID:98HSWio0o

男「先ずは、情報収集。 その後は《勇者》のいるポイントに向けて移動しようと思う」

男「付近の町に着いたら、実態を把握するために再度情報収集を行う」

男「得られた情報を分析の上、司法判断をすることになる」

女「私の役割は、情報収集と司法判断ということですね?」

男「うん、僕は各役所や酒場などを廻ることになると思う」

男「それと、僕達の関係だけど、巡礼の夫婦か恋人同士、ということにさせてもらう」

女「! ちょっとm」 / 男「異論は認めない!」

男「巡礼としておけば、長期間の移動が必要になるし、多少の武具は怪しまれずに済む」

男「次に僕達が扱う情報は、かなり際どい。 それ故に情報交換できる環境が限られる」

男「かといって、年頃の男女が一部屋に入れば怪しまれてしまう」

男「そこで夫婦か恋人だ。 これなら男女が一部屋でも問題ない。 アツアツでOKだ」

男(……ちょっと、強引だったかな? ……でも……)

女(……困りました、ある意味正論ではあるので反論が難しいです……)

女「……うー。 わかりました」



19:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/25(月) 23:00:29.83 ID:98HSWio0o

男「さて、先ずは調査だ。 この街で調べられることは調べておこう」

男「《勇者》と相対するに当たって僕達に不足しているものは情報だ」

男「僕達が、《勇者》について識っていることは、あまりにも少な過ぎる」

男「《魔王》や魔族についても情報は少ないけど、《勇者》についてはその比じゃない」

男「魔族は存在すると断言できる。 実際、彼らとの交戦は王国黎明期から続いている」

男「また、彼らの行動様式から《魔王》という存在が類推されている」

男「魔族は野生動物の一種見る説もあった。 すぐに否定されたけどね」

男「彼らの行動様式は人間のソレに近く、類似、いや酷似した組織形態をしている」

男「従って、彼らの頂点には《魔王》がいるであろう予測が成り立っている」

男「しかし、《勇者》は別だ。 それは吟遊詩人の吟ずる詩に語られる伝承だった」

男「伝説は伝説。 不確かなものを信じるほど僕達は楽天的ではないはずだ」

男「だが、一旦蓋を開けてみたら、その伝承の存在が現れてみたらどうなったか」



20:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/25(月) 23:05:50.49 ID:98HSWio0o

男「王がそうであったように《勇者》という名前だけで、僕達は何かに縛られてしまう

男「《魔王》すら凌げるかもしれない、と僕達は過度の期待を抱いてしまうんだ」

男「そして、《勇者》は絶対的な、何かとても凄いものと錯覚してしまう」

男「だからこそ、得体の知れない《勇者》とは何か? そこを知ることが大切だ」

女「では、私は一度教会に戻って、司祭様に報告をしておこうと思います」

女「そして、《勇者》について調べてみたいと思います」

女「男君の話では、現《勇者》は元は流浪人のようなものだったそうですから」

女「旅に出る前後、彼は教会に寄られているかもしれません」

男「うん。 よろしく頼むよ、女」

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31:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/26(火) 09:42:55.68 ID:2gEvNcZLo

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【 王都 大聖堂 奥祭壇 】


女「司祭様!」

司祭「おや、女君。 剣士殿とは会えましたか?」

女「ええ。 それよりお話したいことがあります」

司祭「宮廷付き待祭から話を聞いています。 男君も貧乏籤を引きましたね」

女「! ご存じだったんですね。 ……まさか、司祭様?」

司祭「はい、独断と偏見で人選させて貰いました。 ……嬉しいでしょう?」

  パァン!

司祭「女君、いくら図星とはいえ、手を上げるのは感心出来ませんね」

女「次はメイスの一撃がよろしいですか?」 ニッコリ

司祭「謹んでご遠慮申し上げます」



32:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/26(火) 09:46:22.88 ID:2gEvNcZLo

司祭「では、お詫びと言っては難ですが、地下書庫の立ち入りを許可します」

司祭「《勇者》について、存分に調べてみるといいでしょう」

女「……ありがとうございます、司祭様」 グヌヌ…


  ・・・・・・


女(《勇者》とは何か──)

女(伝承の一説によれば、《勇者》は天界の住人の系譜に連なるといいます)

女(つまり人の身でありながら、神に近しい存在、と言えるでしょう)

女(加えて、精霊の祝福によって守られている、と伝えられています)

女(各教会や祠・祭壇にある法術陣を神域とすることができるみたいです)

女(これによって、悪意ある何かによる致傷では、《勇者》を害せません)

女(一時は斃れるかもしれませんが、法術陣に転移し蘇生、治癒するようです)

女(正直、同じ人間とは思えません)

女(何より特徴的なのが、雷呪──雷霆を振う能力です)



33:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/26(火) 09:50:27.27 ID:2gEvNcZLo

女(『其ノ者、同胞(はらから)ノ想ヒヲ束ネ、天カラ雷霆ヲ喚ビ示ス』ですか……)

女(電撃系の呪文に限らず、法術を除いた全ての魔法は、魔族由来と聞きます)

女(《勇者》の使う雷呪も、魔族由来の奇蹟術なのでしょうか?)

女(でも、私たち僧侶・神官が使う奇蹟術は、神の御業を借り受ける法術です)

女(《勇者》も神に近しい身とされるならば、その力は法術に近いのでは……?)

女(……ここにある書物には、そのあたりの記述は見当たりませんね……)


  ・・・・・・


司祭「おや、女君。 何かわかりましたか?」

女「いいえ、司祭様。 残念ながらめぼしい収穫はありませんでした」

司祭「それはお気の毒に……そうそう、《勇者》について面白い話がありますよ」

司祭「《勇者》 彼はね、旅に出てから一度も教会に立ち寄っていないんです」

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35:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/26(火) 09:56:07.50 ID:2gEvNcZLo

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【 王城 内郭回廊 】


?「あらぁ? 誰かと思えば男じゃない」

男「君か。 ……相変わらず、のようだね戦士」

戦士「んふふ、この姿は私を最も輝かせるのよ」

男「……いや、もはや何も言うまい」 ハァ

戦士「何よ、もう。 花も恥じらう『男の娘』なのよ、私は」

男「頼むから、自分で『男の娘』と曰うのは止めて下さい」 ゲンナリ

戦士「そんなこと言いつつ、この私に首ったけ?」

男「アリエマセン。 全く、王国随一の戦士がコレというのは……」 ブツブツ

戦士「んふふ、冗談はこれくらいにして……男、行くのね?」

男「ああ。 孰(いづ)れは、誰かがやらなければならないことだしね」



36:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/26(火) 10:01:19.57 ID:2gEvNcZLo

戦士「相手はあの《勇者》よ、大丈夫なの?」

男「正直、不確定要素が多すぎる。 現段階では大丈夫とは言い切れないな」

戦士「王国が誇る聖堂騎士のあなたが、そう言うってことは……実はヤバ目?」

男「かもしれないね」 ハハハ…

戦士「あたしがついて行ければいいのd」 / ?「男様」

男「姫様! このようなところまで」

姫「男様が旅立たれると聞き、居ても立ってもいられず……せめてお顔をと……」

姫「そうだ、男様。 これをお持ち下さい」

姫「王家に伝わる魔除けの首飾りです。 妾の代わりと思って下さいまし」

男「あ、ありがとうございます」

侍従「姫様、ここにいらっしゃいましたか。 ご公務のお時間でございます」

姫「わかりました。 男様、どうかご無事で……」

男「はっ」

戦士「……なんというか、罪作りな男よね、貴男って」 ボソ



37:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/26(火) 10:06:14.84 ID:2gEvNcZLo

戦士「で? 何か策はあるの?」

男「書庫に向かおうと思っている」

戦士「書庫?」

男「先ずは情報収集から」

戦士「成程ね。 あたしは文字読んでると頭痛くなるからパスだわ」

男「それは残念。 書架をひとつ任せようと思ったのに」

戦士「ゲー、勘弁してよね。 でも、《勇者》について調べるのはいいと思うわよ」

男「ハハハ。 まあ、先ずは行ってみるよ」

戦士「頑張って。 ……あ、男ぉ」

男「何だい?」

戦士「今、思い出したんだけど、この国の王族も《勇者》の血筋、って噂があるわ」

男(!!)

戦士「手がかりになるかは分からないけどね」

男「ああ、それも含めて調べてみるよ。 ありがとう戦士」



38:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/26(火) 10:09:35.24 ID:2gEvNcZLo

【 王城 書庫 】


男(王家も《勇者》の系譜とはな……まさか系図に記されているとは思わなかった)

男(遙か昔、王家の祖とかつての《勇者》は旅を倶にし、当時の《魔王》を斃した)

男(後に王家の祖と《勇者》は結婚し、現在の王族に繋がる)

男(《勇者》伝承は、当時の《勇者》の逸話が一人歩きしたもの)

男(極端に誇張された表現も多いが、雷呪については真)

男(それ故に、王は《勇者》を認めざるを得なかった)

男(しかし、雷呪は《勇者》の血であっても、無条件で受け継がれないようだ)

男(自らも《勇者》に連なる血脈のお方だ、雷呪をご覧になった際の心中察せられるな)



39:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/26(火) 10:13:16.86 ID:2gEvNcZLo

男(当時の《勇者》は女性。 髪は黝(あおぐろ)、この大陸では珍しい色合いだ)

男(この髪の色は、現在の王族に受け継がれている。 瞳の色も同様)

男(出自は、やはり不明。 その髪の色と能力から魔族と疑われたこともある)

男(……現段階で分かるのはこんなところ。 封印書庫に何かあるかもしれないが……)

男(そう易々と立ち入り許可が出るなら、封印されている意味はないな)

男(一旦女と合流しよう、向こうで何か分ったかもしれない)

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45:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 09:06:31.39 ID:7VQtedjco

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【 西方辺境伯領 交易都市メルカド 中央市場 道具屋 】


?「おじさん、これいくら?」

店主「マルグラーヴェ記念銅貨3枚……と言いたいが、そのまま持ってってくれよ」

?「えっ、いいの?」 キョトーン

店主「ああ、少しでも役に立ててくれるなら、お代は結構だぜ」

?「うわぁ、ありがとう! ……でも、なんか悪いなぁ」

店主「いやいや、《勇者》様に金を払わせたなんて言ったら、却って聞こえが悪いんさ」

店主「その代わりといっちゃ難だが、《勇者》様御用達とか適当に宣伝させて貰うさ」

勇者「そっか、じゃあ遠慮無く。 えへへ、ありがとねおじさん!」 ニパー

店主「おう。 頑張ってくれよ《勇者》様」

勇者「……よし。 これで、買い物はオッケーだね。 宿に戻ろー」 レッツゴー



46:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 09:17:54.80 ID:7VQtedjco

【 西方辺境伯領 交易都市メルカド 中央市場 宿屋 】


魔術師「お帰りなさいませ、《勇者》様」

格闘家「おwかwえwりwwwww」

祈祷師「привет(おかえり)」

勇者「祈祷師さんが、何を言ってるか解らないけど、ただいまー」

勇者「買い出ししてきたよー」 ドッサリ

魔術師「いつもすみません、《勇者》様」

勇者「ううん、気にしないー。 あと……はい、辺境伯からの認可証」

格闘家「うはwww認可証マジパネェwwwwwこれで勝つるwwwww」

勇者「何に勝つのか解らないけど、これでこの街で《勇者》として活動できるね」

格闘家「うはwwwみwなwぎwっwてwきwたwーwwwww」

祈祷師「Я не кажутся нам только дурак(馬鹿ばっかり)」

勇者「だから解らないってばー」 コマッタ



47:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 09:25:15.16 ID:7VQtedjco

勇者「それにしても、大分遠くに来たね」

魔術師「そうですね。 実質的な距離は王都から然程離れてはいないですが……」

格闘家「うぇwうぇw色んなコトに顔を突っ込みすぎだからなwwwww」

祈祷師「Люди не помочь?(お前は困っている人を捨て置けるのか?)」

格闘家「そこまでは言ってないwwwでも、ヤリ杉じゃね?wwww」

魔術師「……何故、会話が成立しているように見えるのでしょうか……?」

勇者「なんでだろーねー(ふわぁ)」 ネムネム

魔術師「あら? 《勇者》様。 お休みになられますか?」

勇者「えへへ、今日は疲れちゃった。 もう寝るね」

魔術師「お部屋の準備は出来ております。 ゆっくりお休み下さい」

勇者「うん、ありがとー魔術師。 おやすみー」

祈祷師「Спокойной ноч(おやすみ)」



48:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 09:39:19.57 ID:7VQtedjco

格闘家「…………クヒwクヒヒヒwwwさぁて、やっと来たぜ俺達の夜がなぁ!wwwww」

祈祷師「ここの領主からの認可証も得たし、遠慮する必要はねーわなwww」

格闘家「普通に喋った!?wwwwwwwww」

魔術師「あんまヤリ過ぎんじゃないわよー?www」

格闘家「わーてるって、俺ぁカワイ娘ちゃんとニャンニャンできればいいのさ」

魔術師「これまでニャンニャンした結果、相手はどうなったっけ?」

祈祷師「そりゃもう。 ガッバガバにされちまってたな!wwwww」

魔術師「アハハハ、サイっテー。 さって、んじゃアタシも稼いで来ますかねぇ?」

格闘家「まったギャンブルかよwww」

魔術師「路銀は稼がないとねーwwwww」

祈祷師「なーにが路銀だよwww 負けまくった後、男欺して貢いで貰ってんだろぉ?」

魔術師「いいじゃない、その代わりちょっとイイ思いさせてあげてるんだからwww」

格闘家「費用対効果が釣り合わないけどなーwwwww」



49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/27(水) 09:40:59.44 ID:PwAfVbtto

まさか勇者の周りがクズだとは・・・



50:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 09:45:57.59 ID:7VQtedjco

魔術師「それにしても、流石《勇者》様よねーwww」

格闘家「王都の酒場で会った時は、何だこのガキぐらいにしか思ってなかったけどなw」

祈祷師「『何人も、《勇者》とその同行者に従い、協力せよ』 うっは、超便利www」

魔術師「いちいち領主に認可して貰う必要はあんけどねー」

祈祷師「認可さえ貰えれば、後はパラダイス! 呑んでよし喰ってよし買ってよぉし」

格闘家「買ってない買ってないw その変のカワイ娘ちゃん引っかけてるだけwww」

魔術師「ひっかける? あんたの場合、引き摺り混んでるだけでしょ、ラチカンキーン」

格闘家「監禁はしてねぇwwwww」

祈祷師「あ、拉致は否定しないでやんのwwwww」

格闘家「うっせwうっせwww」

魔術師「アハハハwww ヤッパ、サイテー」

祈祷師「Начало фестиваля!(さあ、祭りの始まりだ!)」

格闘家「だっから、わっかんねーってwwwww」

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51:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 10:13:15.12 ID:7VQtedjco

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【 王都 北街区 孤高の風見鶏亭 】


男「や。 何か判ったかい?」

女「残念ながら……ただ、《勇者》はこれまで一度も教会に寄っていないようです」

男「一度も寄っていない? 支部も含めて?」

女「はい」

男「でもそれじゃあ……」

女「そうですね、法術陣を利用した聖域魔法が使えません」

男「《勇者》の能力を使わない、か……よくわからないね」

女「はい。 ……あの、男君の方は何か判りましたか?」

男「うん、僕の方もめぼしい情報は無いんだよ」

男「そうだな、現在の王家も《勇者》の血脈であることが判っただけだ」



52:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 10:21:48.50 ID:7VQtedjco

女「王族の方々も《勇者》の系譜であられたと? でもそれでは……」

男「うん、王を含めて王族の方々は、雷呪を操ることも聖域魔法も使えない」

女「血筋だからといって、当代の《勇者》にはなれないということですか……」

男「そういうことになるね。 ……そうだ、気になる話を聞いたんだ」

女「気になる話……ですか?」

男「ああ。 王は雷呪を使えるが故に《勇者》の特権をお認めになられたが」

男「あの賢明な王のこと、それだけでは特権をお認めになることはない」

男「《勇者》と相対し、人と成りに触れてお認めになることにしたそうだ」

女「でもそれならば……」

男「ああ、もし《勇者》が王が認めるほどの人格者だとするなら」

女「今の《勇者》は、全くの別人のように見えるということですね」

男「王が言うには、当時の《勇者》は、高潔で純粋で無垢に見えたそうだ」

女「……それはもしかして、とても欺され易いのではないでしょうか?」

男「あ゛……」



53:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 10:30:35.27 ID:7VQtedjco

男「と、とにかく。 先ずは《勇者》のいるところへ行こうと思う」

女「こ、ここで悩んでいても仕方ないですしね」

男「今、《勇者》は西方辺境伯領にいるはずだ」

女「そう遠くないですね。 出発はいつになさいますか?」

男「明日で大丈夫かい? じゃあ、西門前広場に明日曙の刻で」

女「わかりました」

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  ・・・・・・


Taip, gerai. I?likti budr?s. (そうか、わかった。 一応警戒はしておく)

Kfukfu...Dabar, Tampa ?domesnis (フフッ、これはこれで。 面白くなってキたね)

Taigi, k? j?s vykdant ji? (さてさて、どうなるかな?)


  ・・・・・・



62:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 14:19:55.92 ID:7VQtedjco

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  アンバルータ
【 琥珀街道 西方辺境伯領 東部領域境界線 関所 】


男「街道閉鎖?」

兵士「ああ、申し訳ないが。 今はここを通すわけにはいかない」

女「あの、兵士様。 理由をお聞かせ頂けないでしょうか?」

兵士「3日ほど前の事だ。 この先にある交易都市メルカドで事件が発生した」

兵士「強姦、そして傷害窃盗だ。 未だ犯人は捕まっていない」

兵士「後者についてメルカドでは余り珍しいものではないが、前者は別だ」

兵士「辺境伯領法で強姦は重罪、即刻犯人を捕まえ罰せねばならん」

兵士「その為、犯人を領外へ逃さぬよう、通商路を閉鎖している状態だ」

男「次に関所が開く予定は分りますか?」

兵士「正直、分らんね」



63:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 14:21:48.22 ID:7VQtedjco

早速ミスorz

誤 - 兵士「後者についてメルカドでは余り珍しいものではないが、前者は別だ」
正 - 兵士「後者についてはメルカドでは余り珍しいものではないが、前者は別だ」



64:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 14:30:35.64 ID:7VQtedjco

男「これは困った」

女「とりあえず、先に宿を取りませんか? 引き返すことはしないのでしょう?」

男「ああ、数日の内に開通する可能性もあるしね」

女「なら急ぎましょう。 街道が閉鎖されていると関所付近に人が集まります。」

女「空き室がある内が華です。 まさかの野宿なんてことになりかねません」


  ・・・・・・


宿主「すまない、街道閉鎖の影響か混んでてね。 一部屋しかないけどいいかい?」

女(なんということでしょう……まさかの同室ですか? そんな危険な……)

男「ああ、それで構わない」

女(えええぇぇぇ!?) ガーン

宿主「ハッハッハ、こんな見目麗しいお嬢さんと同室とは羨ましいねぇ。 コレかい?」

男「ええ、今度結婚するんです。 新婚旅行を兼た巡礼を、と思いまして」

店主「おうっ、そいつぁめでてぇ話だな。 兄ちゃん、幸せにしてやんなよ?」



65:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 14:39:34.27 ID:7VQtedjco

女(うわぁ! 何か、話が勝手に進んでいってしまわれてるようなぁ!?)

男「じゃ、女。 部屋行こうか?」

女「あ、あ、え、ええ、そうね。 い、行きましょう、お、男君?」 アセアセ

店主「かー、初々しいじゃねーか! 今晩はお楽しみだな? お楽しみなんだな?」

男(ぐっ!) サムズアップ

女(えええぇぇぇ!?//////) カオマッカ

店主「チクショー!!」


  ・・・・・・


男「……二人っきりだね?」

女(な、なんでしょう、この甘ったるいシチュエーションはぁ!?) ドキドキ

女(狭い部屋、夕暮れ時、ベッドに腰掛ける私と男……ダメ、ダメよ女。 でも……)

男「女……」

女(ちょ、顔っ。 顔が近いですよ男君っ!//////)



66:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 14:49:38.34 ID:7VQtedjco

男「……なんてな」

女「ふぇ?」

男「いや、ゴメン。 夫婦を装わなきゃいけなかったから……」

女「え、あ、あう」

男「ちょっとやり過ぎかと思ったけど、極端な方が怪しまれないかと思ったんだ」

女「うー」

男「でもあれだなー。 さっきの女、照れてるのスッゲー可愛かったな」

女「……バ……」

男「ば?」

女「バカーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

  ズンッ──!!

店主「おおう、激しいねぇ……」 ニヤニヤ

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67:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 15:01:02.28 ID:7VQtedjco

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【 西方辺境伯領 交易都市メルカド 裏路地 】


  パンッ!パンッ!パンッ!パンッ! ア、ヤベッ!!

格闘家「うあっイクっ……ウッ! ……ふうっ、よかったよネーちゃん」

祈祷師「うはwスゲェ、真っ白じゃねーかwww出し過ぎwwwww」

格闘家「ばっか、これぐらい普通だっつーのwwwな、ネーちゃん?」

町娘「……あ……う?……」

祈祷師「うっわ、ブッ飛んでるしwwwオネイサン~ここで寝てるとヤられちゃうよ?」

格闘家「主に俺にwww」

祈祷師「まだヤんのかよwwwどんだけだよwwwww」

巡邏兵「おい、お前ら五月蠅いぞ、もう夜半過ぎだ、静かに……こ、これはっ!!」

格闘家「あ゛? なんかウゼぇのが来たな」



68:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 15:12:19.79 ID:7VQtedjco

巡邏兵「お前ら、ここを西方辺境伯領と知っての狼藉だろうな?」 ギロリ

祈祷師「ヤベェwww兵隊さん超気合い入ってるしwwwww」

巡邏兵「嘗めやがって。 ここ数日の強姦事案もお前らだな? 逮捕する!」

格闘家「あー? うっせぇよ。 オラ、これ見やがれ」

巡邏兵「なっ! 辺境伯の認可証だと? ……まさか《勇者》様の?」

祈祷師「王国法附則八拾参。 『何人も、《勇者》とその同行者に従い、協力せよ』」

格闘家「『これに異を唱えた者を罰す』……だったよなぁ?」

巡邏兵「ぐっ」

格闘家「彼女は、『好意により俺っちの性欲処理に協力』して貰ってんだぜ」

祈祷師「何でしたら、見学されていきますか? 彼とこの娘のカラミを」

格闘家「よっしゃ、ノってきた。 いくぜぇ~」 パンパンパンパン

巡邏兵「クソッ!」 タッタッタ……

祈祷師「あー、逃げたか。 彼のケツ、いい按排そうだったのになぁ……」

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71:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 17:04:30.37 ID:7VQtedjco

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  アンバルータ
【 琥珀街道 西方辺境伯領 東部領域境界線 門前町 宿屋 】


女(眠れません……)

女(そもそも、男女が同室なんてありえません。 ベッドもひとつですし……)

女(……今回は、今回だけは特別です。 ……そう、特別……)

女(……男君は。 ……私の事をどう思っているのでしょうか……?)

女(……噂では……男君は姫様と良い仲と聞きます……)

女(別に婚約が発表されたといったことは無いのですけれどね……)

女(でも事実なら……諦めなきゃ……そう思ってたんですが……)

女(どうしてでしょう……男君のことを考えると胸が落ち着きません)

女(……なんか嫌です。 男君なんか……男君……)

女(……小さい頃のこと。 男君は覚えているんでしょうか……?)



72:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 17:14:13.31 ID:7VQtedjco

  ・・・・・・

幼女「ねー。男君~」

幼男「なにー?」

幼女「わたしのこと、すきー?」

幼男「うん、すきだよー!」

幼女「ホントっ!?」

幼男「うん、女ちゃんだいすきー!」

幼女「エヘヘ、わたしもー!」

幼女「あ、そだー。 男君はナイトさまになってよ」

幼男「ナイトさま?」

幼女「そう。 わたしのナイトさまになって、ずっとわたしのそばにいてね?」

幼男「うん。 僕ナイトになる、ナイトになってずっと女ちゃんのそばにいるよ!」

幼女「じゃ、やくそくー。 ゆーびきーりげーんまーん……」

  ・・・・・・



73:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 17:24:48.08 ID:7VQtedjco

男(……女は、小さい頃のこと覚えてるかな? ……覚えてるといいな)

男(……今の僕があるのは、女のおかげだ)

男(辛いときも苦しいときも、女の騎士様になりたい……そう思えば乗り越えられた)

男(いつの間にか、聖堂騎士なんてご大層な称号で呼ばれるようになって)

男(王から姫様のことを紹介されて……ああ、そういえば姫様の事、どうしよう)

男(断る、のは確かなんだけど……相手が王族というのが……) アタマイタイ

男(ああ、どうしよう……うーん)

男(いっそ女と……女は僕のこと、どう思っているんだろう……?)

男(……そういえば、さっきの女。 可愛かったなぁ……)

  ギシッ

男(! お、女ぁ!? なんで僕のソファに!?)

女「むにゅ……おと……こ……くぅん……」 ZZZzzz

男(ちょ、女。 ダメだよ、破壊力が、破壊力がっ!) ドキドキ

女(わ、私は、一体何をしようとしているの!?)

男/女(ど、どうしよう……!?)



74:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 17:35:31.30 ID:7VQtedjco

宿主「おはよう、ご両人。 昨晩はお楽しみでしたな」

男/女「……」 クマー

宿主「しかしその様子だと、いささか頑張りすぎでないかい?」

女(な、なんとでも言って下さい……)

宿主「まー、若いんだし。 アツアツならしょうがないか。 ま、ホドホドにな」

宿主「さて、兵士さんから連絡があったよ。 今日にでも街道封鎖が解除されるそうだ」

男「! ホントですか」

女「よかったですね、男君」

男「ああ。 それにしても随分と早い解除ですね。 辺境伯領の兵士は優秀だな」

宿主「ま、何にせよ大事にならんでよかったってこった」

女「そうですね」

男「じゃあ、行こうか。 女」

女「はい、男君」

宿主(くー、若いっていいなぁ……)



75:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 17:43:41.64 ID:7VQtedjco

  アンバルータ
【 琥珀街道 西方辺境伯領 東部領域境界線 関所 】


男「こんにちは」

兵士「ああ、あんたたちか。 もう通って大丈夫だよ」

男「はい、ありがとうございます。 それにしても、解決まで早かったですね」

兵士「いや、解決はしていないよ」

女「? どういうことでしょうか?」

兵士「犯人が犯人ではなかった。 いや、犯人に出来なかった、かな」

男「それは一体……?」

兵士「王国法附則のおかげだよ。 ……《勇者》様の同行者だったんだ、犯人が」

男(!) ギリッ…

兵士「おっと、パニックになるといけないから、この情報は極秘でお願いしますよ」

男「その極秘情報を、僕達に話してしまってよかったんですか?」

兵士「なに、聖堂騎士殿なら構わないでしょう。 それに女僧侶様もね?」

男「バレてましたか……」

女「あ、あはは、はは……」

兵士「それにしても、罪を罪として償わせられないとは……我々も落魄(おちぶ)れたもんです」

男「……」

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76:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 17:53:08.01 ID:7VQtedjco

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【 西方辺境伯領 交易都市メルカド 解放交易所 】


勇者「所長さん、何か依頼ってあるかなー?」

所長「ああ《勇者》殿か、そっちの掲示板を確認してもらっていいかな?」

所長「何か気に入った依頼があったら、依頼番号を俺んとこへ持って来てくれ」

勇者「わかったよー。 ね、魔術師。 どれがいいかな?」

魔術師「畑の水やり、煙突掃除……魔族が絡んでそうな依頼はありませんね」

勇者「そっか、じゃあ困ってそうなところを片っ端からかな?」

魔術師(!)

勇者「どしたの?」 キョトン

魔術師「いえ、珍しい類の依頼があったものですから……」

魔術師「番号13592、破落戸(ならずもの)の退治です」

祈祷師「сомнительный ждать(待て、何か怪しいぞそれは)」



78:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 18:05:58.95 ID:7VQtedjco

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依頼番号:13592

依頼件名:破落戸の退治

依頼種別:偵察・討伐業務

概要:
 琥珀街道経由で、破落戸がメルカドに向かっているとの情報を得た。
 情報の真偽を含め、威力偵察を行い、必要あらば排除して欲しい。
 目標は、剣士タイプと魔法タイプの2名。 巡礼者を装っている。
 剣士タイプの目標が男性、魔法タイプの目標が女性となる。

報酬:王国標準金貨50枚

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魔術師「威力偵察が主業務としては、聊か報酬が高すぎますが……」

勇者「偵察! 楽しそう~」

魔術師「では、まずはコレにしますか」

祈祷師「Слушайте люди говорят(人の話を聞けよ)」

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80:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 18:15:04.41 ID:7VQtedjco

Taip, kaip tai padaryti. Tai tampa idomus.
  ──そうだ、これでいい。 これで面白くなる。

Na, as leiskite man visiskai megautis savo muzikos scenoje.
  ──さあ、舞台の駒たちよ存分に楽しませてくれ。

Sokiu, dainuoti anksciau, gimdos.
  ──踊れ、詠え、舞え、胎内で。

Taigi, blogio iscios
  ──悪意の胎内で。

Mano vardas...Ka mes...
  ──我が名は……我こそは……



87:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 21:01:21.60 ID:7VQtedjco

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  アンバルータ
【 琥珀街道 西方辺境伯領内 】


男「交易都市メルカドまで2レグア(※1)か、今日中には着けそうだな」

女「2レグアですか? 聞き慣れない単語なのですが……」

男「西方辺境伯領では、カステリャーノ(※2)も表記公用語で使うんだ」

男「会話は、オイル(※3)をそのまま使うから、ちょっと混乱するけどね」

男「レグアは、リュー(※4)に相当する距離の単位だよ。 もうちょっと長いけどね」

女「む、難しいです……」


※1 レグア(西:legua) 1レグア = 3マイル相当(4.828032Km)
※2 カステリャーノ(西:castellano) スペイン語
※3 オイル(仏:d'oil) 北部フランス語
※4 リュー(仏:lieue) 1リュー = 3マイル相当(4.444Km)



88:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 21:10:28.33 ID:7VQtedjco

男「地方によって、表記公用語や口語公用語が変わることは、結構ザラにある」

男「例えば、北部山岳侯領では表記公用語にホッフドイシュ(※1)を用いる」

男「困ったことにオイルが使えず、口語公用語はネーデルドイシュ(※2)だ」

女「……実は、語学は苦手なんです。 勘弁して下さいまし」 ウワーン


  ・・・・・・


格闘家「おっ?w アレじゃね?www」

魔術師「見た限り、とても破落戸とは見えないのですが……」

魔術師「虎の巣に入らなければ虎の子は手に入りません。 直接相対してみましょう」

魔術師「皆さんは、宿屋で待っていて下さい。 私が接触してみます」

勇者「大丈夫?」

魔術師「大丈夫です、問題ありません。 どうかお任せ下さい《勇者》様」


※1 ホッフドイシュ(独:Hochdeutsch) 高地ドイツ語(現ドイツ語表記法源流)
※2 ネーデルドイシュ(独:Niederdeutsch) 低地ドイツ語(現ドイツ語発音法源流)



89:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 21:19:23.71 ID:7VQtedjco

男「女が語学苦手とは、結構意外だったな」

女「そうなんですか?」

男「ああ。 小さい頃、女は良く本を読んでいたしな」

女「……ええと。 実は挿絵を眺めてるだけ、だったりするのですが……あら?」

女「男君、あれを……」

男「! これはいけない。」 タッ

女「いきましょう」 タッ

男「もし、ご婦人。 大丈夫ですか?」

魔術師「……うっ。 ……お、お腹が……」

男「お腹? お腹がどうしましたか?」

女「まずは、ゆっくり深呼吸して下さいね。 痛みはありますか?」

魔術師(こいつら、根っからの善人じゃない。 どこが破落戸なのよ……)

魔術師「……お腹が空きました……」

男/女「は?」



90:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 21:28:50.62 ID:7VQtedjco

  アンバルータ
【 琥珀街道 西方辺境伯領内 街道沿いの休憩所兼食堂 】


  ハグハグ モグモグ ゴッゴッゴッ フゥー

魔術師「……ごちそうさまでした」

  空の大皿×16枚、小皿×21枚、串×45本、樽(コップ小)×24杯

女「……お、お粗末様でした」 ポカーン

魔術師「本当にありがとうございます、男さん。 食事まで奢って頂いて……」 ヒシッ

男「い、いえ。 病気や怪我で無いようで安心しました」

女「道に伏せられていましたからね、驚きました」 ナンデオトコノテヲニギッテルノ?

魔術師「実は薬草を摘みに森に入ったのはいいのですが、数日彷徨ってしまい……」

魔術師「何とか街道までは戻ったものの、そこで……」

魔術師「でも、男さんのようなステキな男性に巡り逢えたから、神様に感謝しなくっちゃ」

男「い、いや、僕は当然のことをしたまでで……」 タジタジ

女(まさか、食欲の次は色欲なんでしょうか、この方は……) ムッ



91:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/27(水) 21:38:45.22 ID:7VQtedjco

魔術師「何か男さんにお礼をしたいところですが……」 ナガシメ

男「と、とんでもない、お礼なんて結構ですよ」 アセアセ

魔術師「あら、謙虚ですのね。 そんなところもステキ……」 クスクス

男(お、女ぁ……助けて)

女(知りません) プイッ

魔術師「そうだ、私の仲間に是非お会い下さい。 メルカドに居ますの」

魔術師「お礼にはならないとは思いますが、一緒に夕食でもいかがかしら?」

女(……それぐらいならいいですよ) ムッスー

男(あ、ありがとう。 女)

男「ま、まあ、それぐらいなら……ご相伴に預からせて頂いても……」

魔術師「では、ご招待させて下さい! あ、そちらのお嬢さんもどうぞ」

女(私はオマケということなんですね? そうなんですね?) プンスコ

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102:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/28(木) 20:22:34.38 ID:CCHGmAF/o

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【 西方辺境伯領 交易都市メルカド 中央市場 宿屋 】


勇者「ねー、格闘家。 魔術師大丈夫かなー?」

格闘家「あー?w あの姉御がどうにかなるわけないっしょwww」

勇者「でも、破落戸なんでしょー?」

祈祷師「Они видны злодея(そうは見えなかったが……)」

勇者「んー、わからないよぉ。 普通にしゃべろ? ね?」

祈祷師「…………彼らは破落戸にはとても見えなかった」

格闘家「うおっwww普通にしゃべったwwwww」

勇者「あはー。 祈祷師とお話久しぶりー」 ワーイ

祈祷師「……この依頼はどこか変だ。 用心した方がいい……」

勇者「んー。 気をつけた方がいいのかな?」

格闘家「考えすぎっしょwwwww」

勇者「ところで、破落戸って何?」

格闘家「ちょwおまっwww今更wwwww」

祈祷師「Но мы(俺達のコトさ)」



103:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/28(木) 20:33:24.21 ID:CCHGmAF/o

勇者「魔術師、遅いねー」 タイクツ

格闘家(ターゲットのネーちゃんとヤりたいwww うはっw俺wサイテーwww)

祈祷師(格闘家の顔がDQNモードになった……)

勇者(パカッ) タンスオープン

格闘家(まどむあぜる、この俺と一夜のあばんちゅーるを過ごさないかい?) キリッ

祈祷師(……うわー、雰囲気イケメンで実は逝け面が、直視出来ない顔に……)

勇者(勇者はステテコパンツをてにいれた!)

格闘家(素直になってごらんwww 『……あっ? ダメぇっ』wwwww) ニヨニヨ

祈祷師(……顔芸の域を超えてるだろ、これは……)

勇者(……いらない) ポイッ

格闘家「フヒヒヒヒヒヒヒヒwwwww」

勇者/祈祷師(びくっ!!)

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104:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/28(木) 20:43:34.84 ID:CCHGmAF/o

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【 西方辺境伯領 交易都市メルカド 中央市場 宿屋前 】


魔術師「男さん、こちらです。 この宿ですの」

男「これは……」

女「まあ。 随分と大きな宿屋にお泊まりなのですね」

魔術師「ええ、こちらを貸し切っているんです。ささ、中へどうぞ」

男(か、貸し切り!?)

女(あ、ありえません……)

?「フヒヒヒヒヒヒヒヒwwwww」

男/女(びくっ!!)

男「い、今のは……?」

魔術師「……な、何でもありません」 ヒクヒク



105:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/28(木) 20:46:35.40 ID:CCHGmAF/o

【 西方辺境伯領 交易都市メルカド 中央市場 宿屋 】


魔術師「只今、戻りました」

勇者「あー、魔術師おかえりー」

男「突然の来訪、失礼します」

女「お、おじゃまします」

格闘家「俺の嫁キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!wwwww」

女「ヒッ!」

祈祷師「Смерть к тебе(死ね)」 ドスッ!!

格闘家「ぐっwwwパネェw……」 バタッ

男「……え、ええと……」

魔術師「き、気にしないで下さい……」

男「で、でも……」

魔術師「キニシナイデクダサイ!」

男「は、はい……」



106:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/28(木) 20:49:48.07 ID:CCHGmAF/o

魔術師「……で、では気を取り直して……ようこそ、私のパーティへ」

魔術師「そこでグッタリしてるのが格闘家、グッタリさせたのが祈祷師」

魔術師「そして、そちらにおられるのが……」

勇者「あはー。 《勇者》だよー」 ニッコリ

男/女(!!)

魔術師「うふふ、驚いたみたいですね」

男「……い、いや、ビックリしました。 あの《勇者》様とは」

女「……こ、こんなところでお目にかかれるとは、思ってもおりませんでした」

勇者「ええと……」

男「おっと、これは失礼。 僕は男と申します、《勇者》様」

女「お、女です」

勇者「男さんに女さんだね、よろしくー!」

男「よ、よろしく」

女「よろしくお願い致します」



107:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/28(木) 20:51:32.14 ID:CCHGmAF/o

魔術師「さあ、ひとしきり驚いてもらったところで、食事にしましょうか」

女(ま、まだ食べるのですか……?)

勇者「わーい。 ごっはん、ごっはん♪ ……破落戸さんたちも食べるの?」

男(!?)

女(な、ならずもの……)

魔術師「あ、あはは……あはははは……」 ダメダコリャ

勇者「んー? どうしたの?」

魔術師「ゆ、《勇者》様。 破落戸を日常的に使ってはいけません」

勇者「ふぇ? どうしてー?」

魔術師「破落戸は、破落戸以外の方に不愉快なイメージがあるからです」

勇者「そっかー、じゃあ謝らないとね……」

勇者「破落戸さん、破落戸って言ってごめんなさい」

男/女「……」

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109:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/28(木) 21:44:10.62 ID:CCHGmAF/o

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【 西方辺境伯領 交易都市メルカド 東居住区 宿屋 】


男「まさか、ね」

女「メルカドに着いて早々、《勇者》に会ってしまうとは……」

男「神の悪戯なのか、悪魔の祝福なのか、偶然とは怖いな」

女「ええ。 幸運なのか不運なのか判別はしかねますけれども」

男「ここは幸運としておこう、こちらも顔は割れてしまったが、直接相対できたのは大きい」

女「それにしても、あれが当代の《勇者》とは」

男「ああ、確かに『純粋で無垢』だったな」

女「あれでは、確かに利用されてしまうはずです」

男「女も気付いていたか。 あのパーティ何かあるぞ」



110:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/28(木) 21:55:37.08 ID:CCHGmAF/o

  ・・・・・・


祈祷師「──Разве что(──ということなんです)」

男「──Что такое(──なんですか)」

女「男君。 祈祷師さんと一体何を話されてるんですか?」

男「ああ、ゴメンゴメン。 興味深い話だったもんで、つい……」

魔術師「祈祷師とまともに会話が出来るなんて……」

男「ああ、彼は下位魔族語(ルスキー)が母語なんだそうだ」

女「ちょっと待って下さい。 男君、あなた何故魔族の言葉を話せるんですか?」

男「……なんで女は話せないんだ? 神学校で習ったと思うけど……」

魔術師「神からの言葉、いわゆる『聖句』は下位魔族語と共通点が多い」

魔術師「その為、より正しく神からの教えを得る為に、近縁語を研究しよう」

魔術師「ということで、神学校では下位魔族語も教えると思ったけど、違ったかしら?」

女「……いいんです。 私なんてオイルしか話せない落ちこぼれなのです……」



111:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/28(木) 22:06:14.61 ID:CCHGmAF/o

男「……ええと。 そうそう、祈祷師君の話だったね」

男「彼は幼い頃、故郷の村が全滅してね、以来魔族に育てられたんだそうだ」

格闘家「そんなバカなw魔族が人間を育てるとかwwwアリエンwwwww」

男「その辺りは、我々も似たり寄ったりだとは思う」

魔術師「どういうことかしら?」

女「人は善き人もいれば、咎人もおります。 魔族にも善き魔族がいるとおっしゃるのですか?」

男「ああ。 王を戴いてはいるが、王国は一枚岩ではない。 同じことが魔族でもあると思う」

格闘家「しwんwじwらwれwんwww」

男「信じる信じないは別として、祈祷師君曰く、魔族の夫婦に大切に育てられたそうだ」

男「魔族で言う成人になった時、人で言えば15歳頃に一人前と認められ、魔族の村から出たそうだ」

男「以来、方々を旅しながら、現在に至るそうだ」

魔術師「一緒のパーティになって、随分経つけど、知らなかったわ」

勇者「んー。 祈祷師がスゴイってことでいい?」

男「ははは、そうだね。 祈祷師さんはスゴイよ」



113:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/28(木) 22:30:28.55 ID:CCHGmAF/o

男「今はオイルも使えるそうなんだけど、考え事とかは下位魔族語だそうだ」

男「だから、つい下位魔族語で話してしまうことがあるけれど、寛容に見て欲しい」

勇者「うん。 僕、祈祷師さん大好きだからヘーキだよ!」

魔術師「あんたも苦労してるんだねぇ……」

祈祷師「すまない……」

魔術師「まー、確かに。 《勇者》パーティに元魔族とは聞こえが良くないけどね」

女「魔術師さん!」

魔術師「でも、謝ることはないんじゃない? キミが悪いわけじゃないもの」

勇者「うん。 気にしないよ」

女「そうですよ、祈祷師さん。 頑張って下さい!」

祈祷師「みんな、ありがとう……」


  ・・・・・・



120:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/29(金) 08:38:54.06 ID:wgwY3xn1o

おはようございます

まず、昨日の投下分のラストを修正します
眠すぎて文章が意味不明でした……



男「あの時は話さなかったけど、祈祷師はこうも言っていた」

男「『時々、スイッチが切れたみたいに意識がないことがある』」

男「多分、彼は《闇の因子》を埋め込まれている」

女「《闇の因子》ですか……魔界から発生している魔の想念に近いものですね」

男「ああ。 世の中を混沌で満たそうと、知らないうちに暗示がかかるそうだよ」

男「普通は、日曜典礼などで教会に通っていれば、発動せずに形骸化する」

男「ところが、彼は魔族が親代わりだったことで、教会に寄れていない」

男「だから、彼の精神は《闇の因子》の影響を受けやすいといってもいい」

女「ひょっとして、一連の事件も彼の仕業なのでしょうか?」

男「分らない。 でも、彼の《闇の因子》が暴走しつつあるのかもしれない」

女「自らの意思でないとしたら……非業というより他がありません。 どうしますか?」

男「とりあえず静観だな、確証もないしね。 情報を整理して一度王都へ報告しておこう」

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121:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/29(金) 08:50:04.01 ID:wgwY3xn1o

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【 西方辺境伯領 交易都市メルカド 東居住区 宿屋 】


魔術師「気に入らないね」

格闘家「おっ?wでたよwww魔術師の姉御の『気に入らない』wwwww」

祈祷師「……今度は、何が気に入らない?」

格闘家「アイツさ、今日の会った男とかいう奴」

格闘家「そこの元魔族と乳繰り合ってたニーチャンのことか?wwwww」

祈祷師「……乳繰り合ってはいない……だが、それもいいな……」

格闘家「うはwアッ──!!ってか?www ホント好きモンだなwおまえwwwww」

祈祷師「……五月蠅い、黙れ。 掘るぞ」

格闘家「マジカンベンwww」

魔術師「別にあんたらの趣味なんてどうでもいいけどね、狂ってんじゃないの?」



123:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/29(金) 08:59:11.18 ID:wgwY3xn1o

格闘家「はっw姉御にゃぁ言われたくねーなwww男狂いの淫乱色情魔がwwwww」

魔術師「ハッ、アンタも似たようなもんでしょうが」

格闘家「ちげーねーwwwww」

祈祷師「……それで? 彼のどこが?」

魔術師「アイツ、このアタシがモーション掛けてんのに、靡かないのよねー」

格闘家「それだけかよwwwww」

魔術師「まあ、それは冗談。 ……けど、なんかヤバい。 ずっとアタシらを見てた」

格闘家「自意識過剰wつーか、それなら靡いてんじゃね?www」

魔術師「そういう視線じゃないっていうか……観察してるみたいな感じ」

魔術師「ただ眺めてるみたいなんだけど……時々、スゴイ冷めた目で見てんのよ」

格闘家「でwwwアソコが塗れちゃったとwwww」

魔術師「そ、あの視線にゾクゾクしちゃって……ってそんなわけあるかー!」

格闘家「wwwwwwwwww」

祈祷師「……ふむ」



124:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/29(金) 09:01:19.92 ID:wgwY3xn1o

誤 - 格闘家「でwwwアソコが塗れちゃったとwwww」

正 - 格闘家「でwwwアソコが濡れちゃったとwwww」


誤字でビチョビチョだぜ(ぁ



125:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/29(金) 09:30:59.04 ID:wgwY3xn1o

格闘家「おいw祈祷師www」 ツンツン

祈祷師「……」

格闘家「うはw反応無いwww名人w長考に入りましたw残り時間30秒ですwwwww」

魔術師「この祈祷師の考え込む癖、どうにかならないのかしら?」

格闘家「無w理www俺寝るわwwwww」

魔術師「あら、今日は行かないの?」

格闘家「昨日wヌキ過ぎたwww」

魔術師「あははは、サイテー」

格闘家「何とでも言ってwwwじゃあのwwwww」

魔術師「……さってと、アタシはどうしよっかなー」

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126:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/29(金) 09:36:06.66 ID:wgwY3xn1o

As padaryti, kad vaikinas
  ──ふうん、アイツがそんなことをね

Tureti aiskumas prasme netiketai
  ──案外勘が冴えてるじゃないか

Toks, kad. Ciau gali prarasti, jei nebusime budrus?
  ──そういうこと。 気をつけないとね?

Kas dirbo geriau uz mane taip pat?
  ──僕も動いたほうがいいかな?

Bet kas jums ?domu. Man neatrodo pabaigoje veikejas.
  ──でもそれじゃ面白くないか。 やっぱり、主役の登場は最後だよね



127:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/29(金) 09:45:59.10 ID:wgwY3xn1o

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【 西方辺境伯領 交易都市メルカド 路地裏 】


町人「ハァッ……ハァッ……も、もう……ぉあ……」 ビュルルッ ピュッ プッ

?「んぐっ……もっと…もっとおくれよ……さあっ」 

町人「も、もうカンベンしてくr……うあっ……ああっ」

?「ふふっ、ゲンキゲンキ。 あーん♪」 カプッ チュル チュパッ

町人「あ、あ、あ、ぁ、ぁ、ぁ、ぁ……、ぁ……」 ビュクッ ビュクビュクッ ビュルッ プッ

?「ふふっ 貴男の精液、美味しかったわよ。 ごちそうさま」

町人(ぐったり)

?「あら、悄々(しおしお)ね……こんなところでオチ●ポ出してると風邪引くわよ?」

?「……ま、下半身剥いたのはアタシだけどねー」 ケラケラ

  カタン……

?「誰っ!?」



128:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/29(金) 09:55:16.54 ID:wgwY3xn1o

男「まさか、こんな町中で魔族と出くわすとはね……」

?「! アンタはっ!?」

男「その翼、漂う甘い腐臭、妖艶な肢体。 サキュバス族の者とお見受けする」

サキュバス「ふふふ、ご明察。 ご褒美にアンタも私の虜にしてあげるわ」

男「謹んで遠慮しておく、よっ!」 ─キィン!

男「剣戟を鈎爪で弾くか……」

サキュバス「ベッドテクニックだけじゃないのよ、アタシは」

男「それはそれは。 じゃあコレならどうだっ!」

  キィン! カンッ! ガガッ! ガガガッ!! ギャリッ!! ガッ!! ズバァッ!!

サキュバス「ギャアアア!! あ、アタシの柔肌に傷っ、傷がああぁぁぁ!!」

男「手首のみ、踏み込みが浅かったか……次こそはっ!」

サキュバス「許さないっ! 許さないぃっ!! 覚えてなさいよ、男ぉっ!!」 バサッ!!

男「ま、待てっ! ……クッ、逃げられたか……。 ? ……あいつ何で僕の名を?」

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139:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/30(土) 17:53:12.72 ID:8FBkJPAMo

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【 西方辺境伯領 交易都市メルカド 東居住区 宿屋 】


女「おかえりなさいませ、男君」

男「……ただいま」

女「……顔が強張ってますけれども、何かあったのですか?」

男「さっき、魔族遭遇したんだ。 残念ながら逃してしまったけどね……」

女「お、お怪我はありませんか?」 アセアセ

男「ああ、問題ないよ」

女「よかった。 ご無事でなによりでした」 フゥ

男「それにしても、まさかこんな街中で活動してるとはね……」

女「……男君、実は気になることが……」



140:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/30(土) 17:54:35.12 ID:8FBkJPAMo

誤 - 男「さっき、魔族遭遇したんだ。 残念ながら逃してしまったけどね……」

正 - 男「さっき、魔族に遭遇したんだ。 残念ながら逃してしまったけどね……」


相変わらず、ミスが多くて申し訳ありませんorz



141:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/30(土) 18:09:09.10 ID:8FBkJPAMo

女「私達神職にある者は、修行を積むことで穢れを視ることが出来るようになります」

男「穢れ?」

女「はい、善くない出来事の兆しであったり、精霊力の乱れなどを、総じて穢れと呼びます」

男「なるほど。 見えないものを視る能力か……」

女「視えると言っても、かなり漠然としており、確実なものではありません」

女「この為、これまで口にはしていませんでしたが、この街には穢れが溢れています」

女「街のそこかしこに穢れが幾重にも澱み、街全体を包んでいます」

男「じゃあ、この街には孰(いず)れ善くないことが起る、と?」

女「その可能性が高い……いえ既に起きた事件の幾つかは、穢れに影響されたものでしょう」

女「そして、この穢れは元を絶たないと霽(は)れないと思います」

男「穢れの……元?」

女「禍を齎(もたら)すモノ──魔族です」



142:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/30(土) 18:37:54.78 ID:8FBkJPAMo

男「やはり魔族か……」

女「穢れには色があります。 精霊力の乱れの場合、赤い霧のように視えるのです」

女「そして、魔族による何か……例えば瘴気のようなものは、黒く映ります」

男「では、今この街は……」

女「はい、昼中でも薄暗く感じるほど、魔の気配に満ちています」

女「おそらく、魔族は1体では済まないでしょう……」

男「あの1体だけではないと言うのか……」

女「……魔族1体の穢れにしては、この街は穢れすぎているのです」

男「クソっ! 《勇者》の件もあるし、厄介だな……」

女「……最悪の場合、無関係ではないかもしれませんね」

男「サキュバスとはいえ、仕留め損なったのは痛かったか……」

女(!)



143:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/30(土) 18:58:53.07 ID:8FBkJPAMo

男(……)

女(……) ジー

男「……あ、あの、女さん?」

女「なんでしょう?」 ジー

男「なんで、僕の顔をじっと見つめているのでしょうか?」

女「いいえ、別になにもありませんよ」 ジー

男「いつになく視線を感じるのですが」

女「ええ、視えないかと思いまして」 ジー

男「な、何を?」

女「……ヒミツです」 ジー

男「ひょっとして、サキュバスに反応したんですか?」

女「……はい」 ジー

  ギュッ



144:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/30(土) 19:14:46.51 ID:8FBkJPAMo

女「──っ! 男君!?」 アタフタ

男「ああ、もうっ。 女は可愛いなあ」

女「ちょっ……はな、離して下さいませ」 ジタバタ

男「ああ、ごめんごめん。 女があんまりにも可愛いから」

女「なっ!」 カアァ //////

男「女、誓って言おう。 僕は決して誑かされたりはしていないよ」

女「……嘘を吐いていたら、ヒドイですよ?」 ウワメヅカイ

男「女に嘘なんて吐かないよ、決して」

女「ホント、にですか?」

男(…………よし。 決めた──) ガサゴソ

女「……男君?」

男「女、これを……」 スッ

女「……指輪?」

男「──好きです」



145:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/30(土) 19:27:37.56 ID:8FBkJPAMo

女「えっ……ええっ!?」 パニック

男「城に勤めてからもずっと、ずっと女を想っていた」

女「え、あ、で、でも、男君には姫様が……」

男「確かに王より、ご息女との縁談を持ちかけられてはいる」

女「そ、それなら、私などよりそちらを」

男「僕は、好きでもない女性と一緒になろうとは思わない。 王には悪いが断るつもりだよ」

女「でも、でも……わ、私は……せ、聖職者ですし……」

男「立場や地位なんてどうでもいい、僕は女が好きなんだ」

女「……男、君……」

男「女は、僕のことをどう想ってるんだい? 正直に聞かせて欲しい」

女「……そんなこと……好きよ、好きに決まってるじゃない!」

男「──僕と結婚してくれませんか?」

女「──はいっ!」 ギュッ

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146:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/30(土) 19:40:24.69 ID:8FBkJPAMo

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【 王都 内郭北離宮 王女個室 】


 『クソっ! 《勇者》の件もあるし、厄介だな……』

姫(うふふ、男様もまさか妾が、魔除けの首輪を通して話を聞いているとは思いますまい)

姫(《片想いの貴女必見、お買い得『番の宝珠』セット あの人のすべてが貴女に……》)

姫(魔除けの首輪に偽装するのには、ちょっと苦労しましたけれど……)

姫(流石、噂に聞こえし『番の宝珠』。 結構便利ですわね)

姫(ああ男様、早く帰ってきて下さいまし、妾は、妾は寂しゅうございます)

姫(任務など放っておいても構いませんことよ? 妾がお父様に言付けして差し上げます)

 『──好きです』

  バキィンッ!!

姫「……えっ?」



147:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/30(土) 19:53:18.38 ID:8FBkJPAMo

姫「……つ、番の宝珠が、割れた?」

姫(『──好きです』)

姫「くっ──。 まさか……」

姫「まさか妾は、妾は破れたというのですか……!?」

姫「妾は、こんなにも男様をお慕い申し上げているというのにっ!」

姫「あの女よりも、妾の方が男様をお慕い申し上げているというのにっ!!」

姫「それでもっ!」

姫「……それでも、男様はあの女を選ぶというのですかっ!?」

姫「妾を……」

姫「妾を想っては、くれないのですか、男様ぁっ!!」

  グスッ… ヒック… ウウ… ウワアアアァァァァッ!!

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148:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/30(土) 20:12:05.93 ID:8FBkJPAMo

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【 西方辺境伯領 交易都市メルカド 中央市場 宿屋 】


格闘家「おぃwおぃwおぃwwwその傷はどうしたんだ?wwwww」

魔術師「……五月蠅い」

格闘家「ヒューw殺気マジパネェwww落ち着けよwwwww」

魔術師「……五月蠅いってば」

格闘家「まあまあw傷を見せてみろよwww」

魔術師「触らないで!」

格闘家「いいからwいいからwwwあーwこんなモン唾付けときゃおkwww」

魔術師「ば、馬鹿っ、止め」

  レロレロ

魔術師「あ……ああ……あああっ」 ゾクゾク



149:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/30(土) 20:19:21.18 ID:8FBkJPAMo

魔術師「か、格闘家……あ……そ、そろそろ止めて……ああっ」 フルフル

  チュピ チュパ

格闘家「……うっしwこんなモンだろwww」

魔術師「……もうっ 馬鹿……」 ハァハァ

格闘家「ナニ感じまくってるんだw ……あ? あれ?」 ドクン ドクン

魔術師「あーもー。 ほら、部屋に行くわよ」

格闘家「ま、魔術師……」 ドクン ドクン

魔術師「どうなっても知らないんだから……」


  ・・・・・


勇者「あれ? 魔術師と格闘家は?」

祈祷師「Небеса, ад может(天国さ。 地獄かもしれないが)」

勇者(?)

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152:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/30(土) 22:30:40.01 ID:8FBkJPAMo

ちょっとだけ……


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【 西方辺境伯領 交易都市メルカド 中央市場 】


勇者「おねーさん!」

女「あら、《勇者》様じゃないですか。 お買い物ですか?」

勇者「ううん、今日は眺めてるだけなの」

女「そうですか。 何か良い品はありましたか?」

勇者「うん、あっちの市にカッコイイ剣があったよ」

女(《勇者》とはいえ、やっぱり『男の子』なのですね) クスクス

勇者「おねーさん。 なんか、とっても幸せそうだね」

女「え? ええ。 実は、ずっと好きだった人にプロポーズされたんです」 フフッ

勇者「! ……そうなんだ。 よかったね!」 ギリッ

女「ありがとうございます、《勇者》様」 ニコニコ



153:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/30(土) 22:39:02.00 ID:8FBkJPAMo

勇者「……なんでだよ……おねーさんは、ボクの『モノ』なのに……」 ボソッ

女(?)

勇者「……許せない。 ……見てろよ……」 ボソッ

女「あ、あの……《勇者》様?」

勇者「ふぇ? な、何?」

女「どこか、具合が悪いところでもおありになられるのですか?」

勇者「ううん、なんともないよ。 少し考え事してただけ」

女「そうですか。 それならばよいのですが……」

勇者「ね、おねーさん。 ちょっとだけ時間ある?」

女「時間ですか? ……ええ、少しなら大丈夫ですが」

勇者「じゃあ、付いてきて。 お祝いの代わりにイイモノ見せてあげる」 タッ!

女「イイモノ? あ、《勇者》様、待って下さいませ」 トトト…



154:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/30(土) 22:48:11.90 ID:8FBkJPAMo

勇者「ほら、ここだよ」

女「わあ……。 随分と遠くまで見えるのですね」

勇者「ここから見えるのは、メルカドのほぼ全域なんだって」

女「この広いメルカドの全域ですか!?」

勇者「うん、北の外壁が見えるから、多分間違いないよ。 ほら、あそこ」

女「あ、あんなに小さく見えるのが北の外壁……なんだかオモチャを見ているようです」

勇者「そうだね、ホントにオモチャみたい」

勇者「でも、ボク、夕方にここから見える景色が好きなんだ。 取って置きだよ」

女「綺麗な茜色、鳴り響く教会の鐘……素敵な光景をありがとうございます」

勇者「どういたしまして。 気に入って貰えてよかったよ、『女』」 キィィィン

女「あ……」(空の色も、《勇者》様の瞳も…なんて…なんて……朱紅……い……)

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159:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/30(土) 23:10:21.95 ID:8FBkJPAMo

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【 西方辺境伯領 交易都市メルカド 東居住区 宿屋 】


女「──っ! ……ここ、は?」

  コンコン

男「女、起きてるかい?」

女「男、君?」

男「よかった、目が覚めたんだね」

女「私は…」

男「覚えていないのかい?」

女 コクン

男「夕方過ぎに、凄い調子が悪そうな感じで帰ってきてね」

男「体調が優れないので少し寝ると言い残して、部屋に戻ったんだよ」



160:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/30(土) 23:17:27.87 ID:8FBkJPAMo

男「あの時は顔色も真っ青だったし心配したけど、どうやら、もう治ったみたいだね」

女「そうだったんですか。 心配かけてしまったみたいで、ごめんなさい」 シュン

男「気するなよ。 そうだ、厨房を借りて小粥を作ってみたけど、食べれそうかい?」

女「はい、大丈夫です。 いただきます」 グゥ~

女「あ……」 ////

男「ハハハ、じゃあ、持ってくるよ。 ちょっと待ってて」

女「はい、すみません。 男君」

女(……さっきのは、夢……だったのでしょうか?)

女(なんだろう……とても大事なことを忘れている気がします……)

女(男君……私、なんだか怖いです……)

男「はい、おまたせ。 味は保証しないけれどね」

女「ありがとうございます。 いただきますね、男……いえ。 ……あなた」 ////

男「──っ!」 ////

女「……おいしい、です」 フー フー ハムッ… ムギュ ムギュ コクン…



161:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/30(土) 23:18:27.68 ID:8FBkJPAMo

男「あの時は顔色も真っ青だったし心配したけど、どうやら、もう治ったみたいだね」

女「そうだったんですか。 心配かけてしまったみたいで、ごめんなさい」 シュン

男「気するなよ。 そうだ、厨房を借りて小粥を作ってみたけど、食べれそうかい?」

女「はい、大丈夫です。 いただきます」 グゥ~

女「あ……」 ////

男「ハハハ、じゃあ、持ってくるよ。 ちょっと待ってて」

女「はい、すみません。 男君」

女(……さっきのは、夢……だったのでしょうか?)

女(なんだろう……とても大事なことを忘れている気がします……)

女(男君……私、なんだか怖いです……)

男「はい、おまたせ。 味は保証しないけれどね」

女「ありがとうございます。 いただきますね、男……いえ。 ……あなた」 ////

男「──っ!」 ////

女「……おいしい、です」 ムギュ ムギュ コクン…



163:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/30(土) 23:36:25.64 ID:8FBkJPAMo

女「……ごちそうさまでした」

男「お粗末様でした」

女(……ど、どうしましょう。 急に恥ずかしくなってきました)////

男「女?」

女(わ、私ったら、なんて大胆なことを……あ、あなたって呼んでしまうなんて)////

男「女ってば」

女「ふぁ、ふぁい!」

男「……ぷっ」

女「わ、笑わないでください!」

男「あはははははは、ごめんごめん」

女「もー」

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179:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 12:32:43.66 ID:jM0FGz49o

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【 西方辺境伯領 交易都市メルカド 領主城塞 謁見の間 】


男「──お目通りをお許し戴き、誠に有難う御座います。 西方辺境伯爵殿」

女「教会より粗品を持参しております。 どうかお納め下さいませ」

辺境伯「んむ。 男殿、面を上げるがよい」

男「はっ」

辺境伯「国王陛下から話は聞いておる」

辺境伯「これより、そちには国王陛下の名代として、全権が委ねられる」

辺境伯「此度の件、朕の悩みの種でもある。 確と対応を頼むぞえ」

男「はっ」

辺境伯「して、男よ。 チミの横の麗しい女性は、誰かね?」 ニヤァ



180:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 12:45:27.25 ID:jM0FGz49o

男「は。 彼女は……」

女「女と申します、西方辺境伯様」

女「この度の事案について、教会から男様に協力をさせて戴いております」

辺境伯「ふむ。 そちにはちと勿体ないのぉ」

辺境伯「どうじゃその方。 教会には言伝しておく、朕の後宮へ参らぬか?」 ニヤニヤ

女「謹んでお断りさせて戴きます、西方辺境伯様」

辺境伯「なんじゃ、カタイのぉ。 おい男、お前からも言ってやれ」

男「……畏れながら。 彼女は、確かに教会からの協力者でございますが」

辺境伯「じゃから、教会には朕が言っておくと……」

男「彼女は私の婚約者でもあります。 どうか御寛恕(ごかんじょ)を」

辺境伯「……ふん、唾付きか。 つまらん、興が醒めた。 もうよい、下がれ」

男「は。 失礼致します」

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181:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 12:55:19.19 ID:jM0FGz49o

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【 西方辺境伯領 交易都市メルカド 東居住区 宿屋 】


女「……まったく。 なんなのですか、あの領主はっ!」

男「まあまあ」

男「確かに女好きな方ではあるけれど、アレで一応辨(わきま)えてはいるんだよ」

女「どこが、ですか!?」

男「無類の女好きで《色情卿》と呼ばれてまでいるけど、彼には彼の拘りがあるんだ」

女「拘り……?」

男「曰く──他人の女に手を出すのは、まったく以て紳士ではない──だそうだ」

女「……あの方の紳士の基準が解りません。 それなら最初から声を掛けなければ……」

男「それには同意。 でも、まあ、そういう人なんだよ」



182:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 13:07:51.82 ID:jM0FGz49o

男「しかし、これでようやく本格的に活動できるな」

女「これまでは、王国法附則が厄介でしたからね」

男「仮に《勇者》達が悪事を働いているところを抑えても、何も出来なかった」

女「兵士の方々も、王国法附則によって対応を苦慮をされていましたからね」

男「でもこれからは、国王より授かった名代によって王国法附則を無効化できる」

女「……あ!」

男「どうした?」

女「……なんで、最初から名代を賜れなかったのでしょう?」

男「……陛下は、どこかしら抜けておられる。 それで民から人気を得ているんだ……」


   ・・・・・・


王「は……は……はぁっくしょおぉいぃぃ!! んむ、誰か噂しておるな……」

姫「……せめて、口を押さえて下さいませ、お父様」 ベッチョリ…

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184:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 13:19:17.30 ID:jM0FGz49o

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【 西方辺境伯領 交易都市メルカド 中央市場 宿屋 】


魔術師(まさか、このアタシがコイツとねぇ……)

魔術師(あーあ、ホントは男さんじゃなきゃダメだったのになぁ……)

魔術師(でも、コイツの……スンゴかったな……)

魔術師(意外に優しいところあるみたいだし……)

魔術師(……あ、ヤバい……アタシ本気になっちゃったかも……)

魔術師(……ね、アタシのこと……どう思ってる?)

魔術師(……アタシはね、好き、になっちゃった……)

魔術師(……ねぇ。 あくまでもあいしてくれる?)

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185:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 13:39:39.15 ID:jM0FGz49o

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【 西方辺境伯領 交易都市メルカド 裏路地 】


  ── !! ヤメロ! ヤメテクレッ!! ギャアアアァァァ!!
    ゴッ! アアッ!! ガッ! モ モウ… ヤメ… ウ ウウッ… ──

祈祷師「……? ……Здесь?(ここは?)」

町人「……だ……だれ……か……たす……」 ゼヒュー ゼヒュー

祈祷師「む? お、おいっ! 大丈夫か?」

町人「ひ……よ……よるな……も……もう……かんべんしてく……れ……」 ゼヒュー ゼヒュー

祈祷師(……Ни в коем случае я?(……まさか俺が?))

祈祷師(А также ли……(また、なのか……))

兵士「おい、凄い悲鳴が聞こえたが──おまえっ!」

祈祷師「くっ──」 ダッ!

兵士「あっ! 待てっ!」 タッ!



186:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 13:48:12.56 ID:jM0FGz49o

祈祷師「ハァッハァッ──Выкл или облегчение?(撒いたか?)」

兵士「居たぞ、追えっ!」

祈祷師「ебать!(クソっ!)」

格闘家「祈祷師wwwこっちだ!wwwww」

祈祷師(!)

魔術師「まったくもう、なにやってんのよ」

魔術師「そこの路地を左に曲がって、ひとつ目の樽の陰に隠れてて」

祈祷師「……すまない」

格闘家「早くしろwww礼は後だっwwwww」

祈祷師「あ、ああっ」 サッ!

魔術師「格闘家」

格闘家「おうっwww任せとけwwwww」



187:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 13:55:28.84 ID:jM0FGz49o

兵士「クソッ! どこだ?」 ダダダッ

  ドンッ ──!

格闘家「おわっ!www」 / 兵士「オブっ!」

兵士「す、すまない。 大丈夫か?」

格闘家「ってぇーw なんなんだよwクソっ!www」

兵士「申し訳ない、急いでいたので確認を怠ってしまった」

格闘家「んだよwwwちゃんと前見て走れよなぁwwwww」

兵士「本当に申し訳ない。 ……ところで、こちらに奇術師風の男がこなかったか?」

格闘家「んあw男ぉ?www うんにゃw見てねーなwwwww」

兵士「そうか。 何処行ったんだろうな……? わかった、すまない有難う」 タッタッタッ

格闘家「あっwおいっw待てよwww ……クソっw行っちまいやがったwwwww」

格闘家「……だってよ?www」

祈祷師「……ありがとう、助かった」

魔術師「あら。 あんたらしくないわね、感謝の言葉なんて。 何があったの?」



188:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 14:09:01.96 ID:jM0FGz49o

魔術師「……ふうん、なるほどね。 自分が自分でない時がある、か……」

格闘家「とか言ってwなんちゃって記憶喪失じゃねーの?www」

魔術師「アンタはチャチャ入れないの」

格闘家「へぇーいwww でもよwそれでも逃げる必要はなかったんじゃね?www」

魔術師「そうね、私達には王国法附則があるわけだし……」

格闘家「おうwそれそれwww それ見せてwこの紋所が目に入らぬかwwwww」

魔術師「こら、東洋の寓話じゃないんだから」

格闘家「おうふwwwスマンwwwww」

祈祷師「В тот момент был расстроен(咄嗟の事で……)」

魔術師「ま、確かに。 いきなり目の前に血みどろの半死体があれば、動転するわよね」

格闘家「あれ?w 魔術師www祈祷師の言葉判るの?wwwww」

魔術師「判るわよ? だって私は……」

女「魔族だから、ですね?」

  ──!?



189:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 14:19:25.22 ID:jM0FGz49o

男「申し訳ありません、兵士達が騒いでいるのを見かけまして。 跟けさせて貰いました」

女「この街は穢れに溢れています。 そして、その一部は貴女から……」

男「それに、その手首の疵。 前に僕が負わせたものですね?」

魔術師「ふふふ、まいったわね。 はい降参、降参。 そう、私は魔族よ」 バサッ!!

女「蝙蝠の様な翼、尖った耳、蠱惑的な肢体……サキュバスの一門ですね?」

魔術師「ご名答」

女「まさか《勇者》の一行に魔族がいるとは……」

魔術師「確かに予想外よねぇ……。 それで、私をどうするつもり?」

女「主の御名の下、貴女を討ち滅ぼさねばなりません」

男「待つんだ女」

女「男君!?」

男「彼女は、僕達に敵対する気はないようだよ」



190:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 14:28:23.82 ID:jM0FGz49o

魔術師「ふふふ、流石は男さん」

男「魔族が《勇者》の一行に加わって、一体何をするつもりだったんだ?」

魔術師「《魔王》様に弓引くため、じゃダメかしら?」

女「ちゃかさないで下さい!」

魔術師「別にちゃかしてるつもりはないわよ? 魔族だって一枚岩じゃないもの」

魔術師「人間と共存すべきだっていう派閥と、滅ぼすべきだって派閥に大きく分れているの」

魔術師「私は共存派ね。 もっとも私の上司は主戦派だけども」

魔術師「最近は主戦派が幅を利かせて、嫌になっちゃうわ」

男「だとしても、《勇者》パーティに加わる意味が分らないが……」

魔術師「存外鈍いのね。 私達、サキュバス族の生態は知ってるかしら?」

女「人間の男性の精液を糧とする。 雄性体は存在せず、人間の男と交配して子孫を……」

魔術師「当たり。 じゃあ、人間が滅んでしまったら?」

女「……糧もなく、子孫も残せず……滅んでしまわれるのですね?」

魔術師「そう。 集団自殺に手を貸す愚か者は居ないわ。 それに、私達は人間を愛しているの。」

魔術師「例えば、私達は生涯でたった一人の男を愛するようにね」



191:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 14:41:02.05 ID:jM0FGz49o

女「ありえません! 貴女方は数多の男達を魅了し、媾(まぐわ)うじゃないですか!?」

魔術師「確かに、一時は沢山の男性と媾(まぐわ)うわ。 相性を確認する為にね」

女「あ、相性?」

魔術師「そう。 生涯愛する旦那様ですもの、しっかりと選ばないとね? アッチのほうも」

女(……!) カー ////

男「それじゃあ……」

魔術師「そう、王国法附則。 私はこの特権が欲しかったの。 どんな殿方とも巡り逢えるように」

魔術師「相手に既に伴侶がいようとも関係ないわ、この私が全身全霊をかけて愛し添い遂げるもの」

魔術師「でも、ちょっと残念。 男さんの味見、する前に『ダーリン』見つけちゃったの」

女「味見って……」 カー ////

魔術師「愛してるわよ、格闘家。 あなたのすべてを」

格闘家「おいおいwww面と向かって言われると恥ずかしいぞwwwww」

魔術師「何よ、もうアンナコトもコンナコトもしたくせに」

格闘家「ちょwまてwwwこんなところでwwwww」



192:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 15:04:31.60 ID:jM0FGz49o

魔術師「というわけで素敵な旦那様も見つかったし、王国法附則はもういらないわ」

魔術師「《勇者》パーティに居る意味もなくなったんだけど、そうはいかないかしらね?」

格闘家「祈祷師の奴をどうにかしないといけないしなwww」

魔術師「あら、仲間想いなのね。 そういうところも好きよ?」

格闘家「甘々だなwwwww」

魔術師「ふふふ、アンタだからよ」

女「……なんだか、頭が痛くなってきました」

男「……とりあえず。 これ以上、王国法附則は悪用されないと考えていいのかな?」

魔術師「そうね、少なくともアタシには必要ないわ」

格闘家「俺にもコイツがいるからなwwwもういらねーわwwwww」

祈祷師『なラば、ソのすベてヲ、命をモ貰ヒ受けマしょウ!』 ブワッ!!

魔術師「キャア!」 バシィッ!
格闘家「ぐっ…」 ドカッ!
女「ううっ!」 ドサッ
男「くっ!」 キィン!



193:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 15:18:30.14 ID:jM0FGz49o

男「女! 大丈夫か!?」

女「はい! それよりあれを!?」

魔術師「い、一体何が!?」

格闘家「畜生っ!w祈祷師はどうしちまったんだ!?www」

祈祷師『URrrr...』 コオォ

男「な、何だあれはっ!?」

魔術師「朱紅い影! まさか、アレはっ!?」

女「穢れに汚染されています! 《闇の因子》の影響もあるかもしれません!!」

格闘家「クソっw正気に戻れよwww」 タッ

魔術師「いけない!?」

格闘家「オラぁwコイツで目を覚ませぇー!」 オオォ!!

祈祷師『ウるさイ』

  バキャッ!

格闘家「グハッ……」

魔術師「格闘家!?」



194:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 15:28:23.81 ID:jM0FGz49o

祈祷師『愚かナ』 コオォ

格闘家「へへへ…… しくっちまったぜ……」

魔術師「格闘家、格闘家ぁ」 ポロポロ

女「男君、暫く時間を稼げますか?」

男「わかった。 征くぞっ!」

祈祷師『無駄ダ』 コオォ

  ──キィン! キン! カァン! ガッ! ガガッ!!
   ヒュンヒュンヒュン! ブワッ! キィィィン! キュウウゥゥゥ!! ──

   我 、 偉 大 な る 父 の 御 名 の 下 に 願 い 奉 る
女『O dan enw yr Arglwydd yn dymuno ymgorffori』 ィン イィン イィィン

   彼 の 者 に 秩 序 と 安 寧 を も た ら し 給 え
女『Pearl yn dod a gorchymyn a heddwch i'r rhai oedd』 イィィィン イィィィ!!

女「男!」 イィィィィ!!

男「頼む!」

   《や す ら ぎ》
女『Yma heddwch』 シャアアァァン────



195:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 15:35:40.15 ID:jM0FGz49o

祈祷師『URr...r......r.........』 ドサッ

魔術師「止まった……?」

格闘家「へっ…… 手間を掛けさせやがって……」

男「……やったか?」

女「まだです……」

女「彼を戻すことには成功しましたが……このどす黒い穢れは霽れておりません」

女「寧ろ、どんどんと渦を巻き、より濃くより強く……」

女「……そして、その中心は……穢れの根源はっ──!」

女「──《勇者》様、あなたですっ!!」

魔術師「《勇者》!?」

格闘家「……マジかよ……」

男「……」

勇者「……ハハッ。 ここまでか」



202:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 19:04:00.99 ID:jM0FGz49o

勇者「まさか、高位の神職者がいるとはネ。 予想外だったヨ」

魔術師「……《勇者》、いつの間に……」

勇者「ン? ずっと居たヨ、姿隠しの魔術は使わせて貰ったけどネ」

勇者「それにしても、こんなに早く終わっちゃうとはネ」

勇者「もう少し、愉しめるもんだと思ってたヨ」

勇者「そこの肉が、穢れなんてものを見れるとは思わなかったしナ」

男「言うに殊を欠いて、肉だと?」

勇者「違うのかイ? 人も動物も同じだロ? じゃあ、貴殿らもただの肉の塊じゃないカ」

勇者「ああ、そうそう。 魔術師、格闘家、そして祈祷師。 今まで有難ウ」

勇者「君達が好き放題してくれたおかげデ、また世の中が破滅に少しだけ近づいたヨ」

勇者「これは、少しばかりのお礼だヨ。 受け取りなさイ」 ニヤァ

     《電撃》
  ── zaibas ──

魔術師「キャアァァァ!」 バリバリ!
格闘家「グアァァァ!」 ビリビリ!
祈祷師「……っ!」 ジジジ!



203:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 19:12:52.55 ID:jM0FGz49o

魔術師「……か、格闘家……」 プスプス
格闘家「……へっ……やられぱなしは……カッコ悪ぃ……な……」 プスプス
祈祷師「……」 プスプス

勇者「ほうら、こんがり焼けましたヨ? 生焼けだけどネ」

男「……なんてことを……」

女「……貴男の、貴男のその雷呪は、魔を祓うものではないのですか?」

女「人に向けて撃って良いものでは無いはずです。 ……何故、何故ですか《勇者》!?」

勇者「……ククク。 アーッハッハッハ!」

女「な、何が可笑しいのですか!?」

男「女、アレはもう《勇者》じゃない。 《勇者》の姿をした悪魔だ」

    その通り
勇者「Exactly! ボクは《勇者》なんかじゃないイ」

                                   Euska
魔族「魔族主戦派 《魔王》様直属筆頭家臣 《犠躰》のユーシャとは、ボクのことだヨ」

女「そんな……」

魔族「いいねェ、その絶望に満ち満ちた顔……ご褒美をあげよウ」 コォォォオ

男「何をするつもりだっ!」 トスッ



204:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 19:18:51.56 ID:jM0FGz49o

男「──ガハっ! ……お、んな……?」

女「男君! ……い……いやっ……やめて……どうして……身体が勝手に……」

魔族「クヒヒヒ、いいねいいネ。 男は愛した女に殺されル。 すばらしイ」 コォォォオ

女「い……いや……わたし……助けて……男君……」

男「貴様ぁ! 女に、女に何をしたぁ!」

魔族「何っテ? 彼女にはボクのオモチャになって貰っただけだヨ」

魔族「可愛い可愛いマリオネット。 最も、意識は残ってるけどネ」

魔族「ふふふ、ボクは優しいからネ。 肉を切り裂く感触を体験させてあげるのサ」

魔族「ほうラ、いくヨ」

女「いやぁ!」 ブンッ!

男「くっ!」 サッ!

魔族「どこまで避けれるかなァ?」 ニヤァ

魔術師「そうはいかないわよ?」

      《 絡 み つ く 触 手 》
  ── Tentacles valksnumas ──



205:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 19:25:45.61 ID:jM0FGz49o

魔族「チッ──邪魔だヨ」 ズバァ!

魔術師「流石に触手じゃあ、アンタは捕らえられないか」

                         Mage
魔族「愚かだネ。 共存派魔族《肉壷》のマージュ」

魔術師「私の二つ名は、そんな卑猥なもんじゃ無いわよっ」 ブゥン!

魔族「おやおや、違ったかイ? お詫びにキミもオモチャにしてあげるヨ」 コォォオ

魔術師(今のうちよ、男さん)

男(すまない。 女、大丈夫か?)

女(怖かった。 もう少しで、男君を……私は、私は)

魔族「何をそこでコソコソしてるかナ!」 ズアアァァ!!

魔術師「くっ、させるかっ!」 ギュウウゥゥゥ!!

男(くそっ。 何か手は、手はないか!?)


  ── 覚 醒 メ ヨ ──


男(!?)



206:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 19:32:14.60 ID:jM0FGz49o

  ── 覚 醒 メ ヨ  旧 キ 血 ヲ 受 ケ 継 ギ シ 者 ヨ ──

男(誰だっ!)

  ── 我 ガ 力 ノ 源 ハ 人 ヲ 想 フ 心 デ ニ ア リ ──

男(いや、誰だって構わない、僕に力を貸してくれ!)

  ── 誠 ニ 人 ヲ 想 ヒ シ 刻  其 ハ 汝 ヲ 助 ク モ ノ 也 ──

男(あいつを、女を、皆を助ける力を!)

  ── ナ ラ バ 掲 ゲ ヨ  汝 ノ 其 ノ 左 腕 ヲ ! ──

男「僕に力を──女を、皆を守る力を──!!」 バリッ! バリバリバリッ!!

女「男君!?」

   《 迅 雷 》
男『βροντ?』  カッ──!!


  ────────


  ┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”



207:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 19:41:20.62 ID:jM0FGz49o

  ┣”┣”┣”┣”┣”┣”┣”


魔族「GYYYAAAAMMMNNN!!」 ズシャアアアァァァ!!


  ────────


祈祷師「……舞い降りる、断罪の天使が見える……」

女「……これは……ひょっとして……」

魔術師「ふふふ、まさか「また」本物を見ることになるとはねぇ……」

格闘家「……パネェ……」


  ────────


男「ハアッ、ハアッ、……あいつは!?」

魔族「…………」 シュウゥ…

男「……は、ははっ。 斃した、のか?」 トサッ

男「ははっ、はははっ。 やった、やったぞぉ、あははは」



209:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 19:47:10.34 ID:jM0FGz49o

女「男君!」

男「女! 怖かっただろ、大丈夫か?」

女「うん、うん、怖かった、怖かったけど……男君、今のは……?」

男「さて…? なんだろうね? 実は僕にもよく分らないんだ」

魔術師「『其ノ者、同胞(はらから)ノ想ヒヲ束ネ、天カラ雷霆ヲ喚ビ示ス』」

男「うん?」

魔術師「本物よ、男さん。 いえ、ここはこう言うべきかしら、《勇者》様?」

女「じゃあ、やっぱり……」

魔術師「ええ、今のが正真正銘の雷呪のひとつ、《迅雷》ね」

男「え、えーっと? どういうことだ?」

女「男君が、当代の《勇者》様ってことだよ!」

男「うぇ!? えええぇぇっ!!」

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210:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 19:52:52.72 ID:jM0FGz49o

 偽《勇者》こと魔族を用いた魔族主戦派による人間側への破壊工作は、
 図らずも本物の《勇者》男の登場により、こうして潰えることとなった。

 魔術師、格闘家、祈祷師の旧《勇者》一向のそれまでの悪行は、
 本人達の意向により公正に裁かれることとなったが、
 偽《勇者》騒動への最終的な協力が認められ、特別恩赦が下りることになった。
 この為、一時的な身柄の拘束と、幾らかの罰金の支払いに刑罰は留まったらしい。

 当代の《勇者》として目覚めた男は、女と結婚。
 その後、魔術師ら魔族共存派閥と人間側との橋渡しを行い、
 終には、人間と魔族間の不可侵条約と通商条約が結ばれることになった。

 男は、その数々の功績を認められ、大公爵位に序せられることになる。
 これは、異例中の異例であり、その功績が比類無いものであることを物語っている。



212:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 19:57:44.58 ID:jM0FGz49o

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【 王都郊外 大公爵邸宅 】


男「……実はね、何故この僕が《勇者》なのか、ずっと疑問だったんだ」

女「あら、そんなことを気にされていたのですか? あなた」

男「今でこそ大公爵位を賜っているが、僕は孤児だったんだ。 不思議に思うだろ?」

女「確かに、私と同じ孤児院で育ちましたし、不思議には思いますけれど」

女「でも、いつだってあなたは私の『勇者』様なんですよ」

男「そこは、『騎士』様じゃないのかい?」

女「ふふふ。 それで、何故あなたが《勇者》様なのかは判ったのですか?」

男「ああ、なんのことはない。 蓋を開けてみれば至極簡単なことだったよ」

女「あらあら、それはそれは。 それじゃあ、当てて見せましょうか?」

男「ほう。 それでは、どんな理由だったと思うんだい?」



214:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 20:03:51.35 ID:jM0FGz49o

女「そうですね、王家の何方かの落とし胤だったのではないですか?」

男「……」

女「どうなさいました?」

男「……いや、ちょっと驚いた。 当たりだよ、僕は現王の弟君の妾の子になるそうだ」

女「まあ。 それでは男さんは、《勇者》様で大公爵様で、王子様なんですね」

男「いや、一応王家との関係は絶たれてるから、王子ではないのだが」

女「ふふふ、冗談ですよ」 クスクス

男「それにしても、よく分ったね」

女「……実は、ズルをしました」

男「ズル?」

女「私達が過ごしたあの孤児院。 その書庫に記録が残っていたんですよ」

男「……なんとまあ。 答えは身近な場所にあったんだな」

女「ええ」

────
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215:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 20:16:05.90 ID:jM0FGz49o

 偽《勇者》の一連の事件で明らかとなったのは、
 人間と魔族は種族こそ違えど、その考え方や心情に大きな差は無いということだった。

 人間にも善人と悪人が存在するように、魔族にもまた善き者、悪しき者が存在する。
 違いが無いからこそ、少しの違いで争うようこともあり、
 また、互いの手と手を取り合って、未来を歩むことも出来るのだ。

 先日、《魔王》の嫡男、第三魔王子が、なんと人間界の王国の姫君に求婚。
 最初こそ、ギクシャクとした関係だったものの、今ではすっかり仲が佳くなっており、
 両世界に祝賀ムードが流れている。

 不可侵条約の結ばれた魔界と人間界は、着実に手と手を取り合い未来を紡いでいるようだ。

 この世に悪があるとすれば、それは、彼らの『心』の闇なのかもしれない。
 しかし、闇を祓うのもまた、『心』の光なのだ。
 願わくば、彼らの行く末に幸溢れんことを──



 勇者「……ハハッ。 ここまでか」 - FIN-



 Script wrote by つくね ◆GC8Yph5hbiqT
 I hope that seeing tour somewhere. Thank you!!



216:つくね ◆GC8Yph5hbiqT:2011/07/31(日) 20:23:38.40 ID:jM0FGz49o

以上です。
ご愛読ありがとうございました。



217:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/31(日) 20:28:41.26 ID:WX9mW8hSO

>>216
面白かった乙!
少しあっけなかった気もするがそれを上回って展開が良かった



223:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/31(日) 22:01:50.63 ID:SRgKoiqbo

おつかれさん



224:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/31(日) 22:04:20.27 ID:PQJxBpyIO

おつー



引用元
勇者「……ハハッ。 ここまでか」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1311597235/
[ 2012/08/08 12:00 ] 魔王勇者SS | TB(0) | CM(5)
名無しさん
前振り長い、専門用語をわざわざ使う
長い
2012年08月08日 13時29分
名無しさん
勇者だと思った人がマユリ様でただの男が勇者様だった…なにをいっているかわから(ry
2012年08月08日 14時21分
名無しさん
廚二すぎたのだけ、それだけが…
2012年10月21日 12時21分
名無しさん
シンプルにきもい
2012年11月18日 07時12分
名無しさん
孤高のなんとかかんとかで、読む気うせた
きもすぎ
2012年12月21日 02時38分
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