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魔王「何?村から人間が?」側近「はい、可愛い女の子です」

1: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:16:02.72 ID:FKaujywo0

王「ふむ、そなたが彼の村から参った娘か。名は何と言う?」

村娘「わ、わたしは、村娘でございます」

魔王「して、そなたがここに参った理由は……?」

村娘「わたしが生け贄になれば、わたしの村を救っていただけるのですよね?」

魔王「……私が何時、そのようなことを?」

村娘「っで、でも、わたしは、お父様に……!」

魔王「何を勘違いしておるのかわからぬが、私はそなたの村を救うことなどできぬぞ。まあ、滅ぼすことなら容易いが?」

村娘「っひ、ぁ……」

魔王「全く人の世で何と言われているかわからんが……私のところに生け贄などやったとしてもどうにかなる話ではあるまい」

村娘「じゃあ、わたしは……何のために……」

魔王「人々の気休め、とでも言ったところか」

村娘「……ぁ、あ」ばたり

魔王「……気を失ってしまったのか?誠に人とは脆いものだな……。側近」

側近「はい?」

魔王「この娘に部屋を用意してやれ」

側近「食べちゃってもよろしいですか?」

魔王「駄目だ。この娘には今後どうするか聞かねばならんからな」

側近「残念。こんなに美味しそうだっていうのに……」

魔王「我慢しろ」

側近「……わかりました。はぁ」




引用元
魔王「何?村から人間が?」側近「はい、可愛い女の子です」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343052962/
2: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:17:05.18 ID:FKaujywo0

―――


村娘「う、ぅん……」

側近「目が覚めましたか?」

村娘「きゃああ!?」

側近「そんなに大声を出さないでくださいな。具合はいかが?」

村娘「わ、わたし……何で生きて……?」

側近「魔王様はむやみやたらに人間を[ピーーー]ような方ではありませんからね」

村娘「そう、なんですか……。あ、」ぐるるる……

側近「ふふふ、お腹が空いてるみたいですね。お食事を用意しましょう」

村娘「え!?いえ、そんな、わたし」

魔王「側近、娘の様子は……ああ、目が覚めたのだな」

村娘「ひっ!」

魔王「怯える元気があるのならよいか。食事の準備をさせよう。その間に湯浴みでもするといい」ぱちん

メイド「お呼びでしょうか?」

魔王「この娘を風呂に入れてやれ」

メイド「畏まりました」

村娘「え、な、なん……」

メイド「ご案内いたします」



3: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:18:13.82 ID:FKaujywo0

魔王「……して側近よ」

側近「何ですか魔王様?」

魔王「人間は何を口にするのか知っているか?」

側近「魔王様と同じものでよろしいのでは?」

魔王「そうか…ではそう伝えておいてくれ。食事まで私は執務の続きをしておこう」

側近「了解しました」


側近「村娘ちゃんのお風呂、覗きに行こうかな」





村娘「(薔薇の浮かんだミルク色の湯船)」

村娘「(お肌のつるつるになる石鹸に、髪もつやつやになるシャンプー、リンス)」

村娘「(ふわふわのバスタオルに、上質なシルクのドレス)」

村娘「(私は村を飢饉から救うために生け贄にされたはず……なのに)」

村娘「(こんな、まるでお姫様みたいな……)」

メイド1「よくお似合いですわ!」

メイド2「ええ、本当!魔王様も吃驚なさいますわね」

村娘「そ、そんな、あの……」かぁぁ

側近「できたかしら?」

メイド1「あ、側近様!」

側近「まあ!村娘ちゃんたら可愛い!本当食べちゃいたいくらいよ!」

メイド2「側近様ったら、私たちを差し置いてー!」

側近「うふふ、あなたちだって勿論可愛いわよ。さ、村娘ちゃんいらっしゃい。魔王様がお待ちよ」

村娘「(た、食べちゃいたいくらい……?わ、わたし食べられてしまうの?ま、魔王ってやっぱり人間を食べるのかしら……)」

村娘「(で、でもどうせ死ぬためにやって来たんだもの。食べられても、どっちみち同じだわ)」

側近「魔王様もお待ちかねよー。魔王様、つれて参りました」

魔王「ああ、入れ」



4: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:19:04.44 ID:FKaujywo0

村娘「(どんな恐ろしい料理が並んでいるのかしら。ああ……っ!)」

村娘「あ、ら?」

魔王「……やはり、気に入らないだろうか。人間が何を食べるかなど気にしたことがなかった故、私の食事と同じものを用意させた」

村娘「ば、薔薇の花……?」

魔王「私は植物を食べる種族なのだ。……そういえば人間は肉を食べるのだったか?悪かったな、思い出すのが遅かった。今料理人に言って……」

村娘「あ、あの!わたしは動物の肉は食べないので、大丈夫です!お気遣い、ありがとうございます」

魔王「ふむ、そうなのか」

村娘「わたしは基本的には菜食主義なので。……花は、食べたことはありませんが」

魔王「ほう、そなたも植物を食べるのか。人間でもそのようなものがいるのだな。まあ座るがよい。同席を許す」

村娘「(下手物がなかったのはよかったけど、魔王と夕食をとらなければいけないの……!?)」

村娘「えっと、ありがとう、ございます」

魔王「そなた、菜食主義と申したか?普段は何を口にしているのだ?」

村娘「わたしですか?わたしは家の畑で採れた野菜や豆のスープ、あとはパンと果物です。時には魚も食べますが……肉はほとんどありませんね」

魔王「成る程。あまり私と変わらぬのだな。最も、私は花を食べることの方が多いのだが」

側近「さあ、村娘ちゃん、遠慮せずに食べてちょうだい」

村娘「(……見た目は至って普通のレタスのサラダ。あえてあげるとすれば、その上に薔薇が乗っているのが普通じゃないだけ)」

村娘「(何か毒が入っていて、訳もわからず死ぬのかしら?)」

魔王「む、今日の花弁は柔らかくて美味いな」しゃくしゃく

村娘「(もう、どうでもいいわ。どうせ村になんて帰れないんだから)」しゃく

村娘「……?」



5: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:20:01.15 ID:FKaujywo0

村娘「(普通の薔薇、じゃないの?ドレッシングがかかっているわけでもないのに)」しゃくしゃく

村娘「(不思議と、甘い……)」しゃくしゃくしゃく

魔王「気に入ったのか?」

村娘「何だかこの薔薇、とっても甘くて美味しいです。不思議……」

魔王「そうか、そう言ってもらえると嬉しいものだな」

村娘「っ!!」

村娘「(わ、笑った)」

魔王「どうかしたか?」

村娘「いえ、なんでも、ないです」

村娘「(直ぐに無表情になってしまったけど、今の顔……)」どきどき

村娘「(どうしてこんな、どきどきするのかしら)」





村娘「御馳走様でした」

魔王「何だそれは?」

村娘「人間たちは、食事の後に食べた動植物、食事の作り手に感謝してこう言うんです。食べる前にもいただきます、と言うんですよ」

魔王「なるほどな。では、御馳走様でした。こうか?」

村娘「は、はい!」

側近「あらあら魔王様、随分村娘ちゃんが気に入ったのですね?」

魔王「この城でわたし以外に植物を主に食べるものはいないからな。仲間意識とでも言うのか?」

村娘「な、仲間意識……!?」

魔王「おっと、そなたのような娘は私のような魔王と仲間などと言われて喜ぶわけがなかったな。すまない」

魔王「さて、と。それでは本題に入ろうではないか」

村娘「っ!!」

魔王「そなたがこの城へやって来たのは、村の危機を救うための生け贄である、との理由だったな?」

村娘「は、はい」

魔王「何故、魔王のもとに生け贄を捧げたのだ?」



6: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:20:53.06 ID:FKaujywo0

村娘「……わたしの村では、農業が盛んです。村の者の殆どが農業で生計をたてております」

村娘「魔王、様の城とわたしの村が近いということもあって、昔から『村に何か災厄が起こるのは魔王が怒っているためだ。怒りを沈めるためには村の娘を生け贄に捧げねばならない』という言い伝えがあるのです」

村娘「馬鹿げている、とは思います。しかし、事実昔には、わたしと同じように生け贄として差し出された娘たちがおりました」

魔王「……そういえば、先先代の魔王の頃からそのような娘が来ていたと書物があったな。
といってもまあ、片手で足りる数だが」

村娘「……その娘たちが帰ってくることはなかったそうです」

側近「でも魔王様?その娘たちは直ぐに返したのではありませんでした?」

魔王「うむ、そのはずだ。先先代のときに一人、先代のときに二人だったか?生け贄と称して送られてきた娘たちは皆直ぐに好きなようにさせたはずだ」

村娘「え!?で、でも、村には誰一人として戻ってきていない、と……」

側近「最初の一人は、確か先先代様が見初めて嫁にもらったはずです」

魔王「先代の頃の一人は丁度良いときに来た勇者と共に行き、もう一人は一週間程滞在した後に旅に出たらしい、と手記に残っているが」

村娘「じゃ、じゃあ、娘たちが帰ってこなかったのは、魔王に殺されたわけではなく、自ら……」

側近「と、言うことになりますね」

魔王「まず娘よ。そなたは私たち魔族を誤解してはおらぬか?」

村娘「えっ?」

魔王「そなたたち人間は私たちを随分と恐れているようだが、私たちが自ら人間を襲ったことなどないのだぞ?」



7: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:22:19.78 ID:FKaujywo0

村娘「そ、そんな」

側近「本当ですよ、村娘ちゃん」

魔王「私たちは基本的に人との境界を越えることはない。先先代は例外だが 」

魔王「私の管轄下にある魔物たちも、無闇矢鱈と人を襲うようなものでもない」

村娘「で、でも、最初に村を滅ぼすのは容易い、と」

魔王「そなたたちが私たち魔族との境界を越えて侵攻してきた場合は勿論迎え撃つが、自分から攻撃するような質面倒なことは私は御免だな」

村娘「……」

魔王「まあ、魔王という存在が疎まれるのは初代魔王の所業が余りにも酷かったということもあるだろうな」

側近「魔王様は穏健派ですからね。今流行りの草食系男子ですよ」

村娘「そ、草食系……?」

魔王「して、そなたはどうする?」

魔王「今までの娘たちと同じように好きにするがよい」

村娘「わ、わたし……」

村娘「(村に、帰れる?でも帰ってどうするの?)」

村娘「(村に帰ったら、どうなるんだろう)」

村娘「(飢饉の人柱として生け贄にされたのに、帰ったら村の人々は何と言うだろうか)」

村娘「(……わたしは、生きて帰ることを、望まれてなんかいないんだわ)」



8: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:23:12.19 ID:FKaujywo0

魔王「ところでそなた」

村娘「え?」

魔王「もし考えあぐねているのなら、私の元で暫く生活するつもりはないか?」

村娘「え!?」

魔王「言ったであろう?私はそなたを存外気に入っておるのだ」

村娘「あ、の……」どきどき

魔王「まあ急に言い出したことだ。返事は明日で構わぬ。今夜はゆっくり体を休めよ」

魔王「慣れぬ土地で疲れたであろう?」

村娘「あ、い、いえ!」

魔王「側近、案内してやれ」

側近「はい。では行きましょうか」

魔王「そうだ、娘よ」

村娘「はい!?」

魔王「その格好、よく似合っているぞ」ふわり

村娘「っ!!」かあああ

側近「あらまあ」



9: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:23:59.41 ID:FKaujywo0

―――





側近「魔王様もたらしですねぇ」

魔王「タワシ?私は掃除用具ではないぞ」

側近「そんなボケはいりません」

魔王「はっ。だがまあ、あの娘は中々面白いな。怯えた顔が好みだ。赤くなった顔も愛らしい。泣いた顔にも興味があるんだが」

側近「魔王様、ロールキャベツ男子ですわねぇ」



10: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:24:57.94 ID:FKaujywo0

―――

村娘「いったい、何なんだろう」

村娘「悪逆非道の魔王だって言われてるはずなのに、全然違う……」

村娘「確かに冷たい目だし、着てる服も真っ黒だけど」

村娘「あんな、笑い方するなんて……」

村娘「あの人の笑顔を見たら体が熱くなって、心臓が煩くなって」

村娘「わたし、わたし」

あの人のことが、もっと知りたい――――



11: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:26:11.63 ID:FKaujywo0

―――

メイド「おはようございます、村娘様」

村娘「あ、……え!?朝!?」

村娘「(わたし考え事したまま寝てしまったのね)」

メイド「お召し物を変えさせていただきますね」

村娘「わたし、一人でも着替え……」

メイド「村娘様はお客様ですもの。お仕事させてくださいな」

村娘「えっ、でも」

メイド「……これは私の独り言でございますので、聞き流してくださって構いません」

村娘「え?」



12: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:28:44.36 ID:FKaujywo0

メイド「先先代様が人間を嫁にして以来、周辺の魔物たちの反発が生まれ始めました。

先先代様は力も手腕もおありでしたが、魔物たちは人間が魔王の妻ということが許せなかったのです。

奥様が亡くなり、先先代の力が衰えたとき、側近であった先代様が魔王を継承なさいました。

先代様は大変温厚な方で、荒れた魔物たちをご本人自ら出向いてお話しして回られました。

人との不可侵条約を魔物たちに広めたのも先代様です。先代様が治める土地の魔物たちは皆先代様を慕っておりました。

しかし、先代様の元から抜けた一部の魔物たちは、快く思っていなかったのです。

反旗を翻した魔物たちは、先代様の首を捕りました。


ご子息である、現魔王様の前で」

村娘「!」

メイド「魔王様の魔法が暴走してその者を討った後、魔王様は幼くして玉座に着かれました。

魔王様は自ら手をあげたりしません。やむを得ない場合のみ、あの御方はその絶大なパワーを解放なさるのです。

あの御方は、寂しい方なのですよ」

村娘「……」

メイド「ふふふ、この話は内緒ですわよ」

村娘「何故あなたは、わたしにこんな話を?」

メイド「村娘様は魔王様のことを知りたいのでしょう?」

村娘「ええ!?」

メイド「うふふ、私、耳のいい種族ですのよ」

村娘「っっ!!」かあああ

メイド「では、準備も整いましたし、魔王様の元へ参りましょうか!」

村娘「……うう……」



13: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:29:46.86 ID:FKaujywo0

魔王「よく眠れたか?」

村娘「はい、ありがとうございます」

魔王「そなた、赤がよく似合うな」

村娘「っ!?」

魔王「うむ、やはり恥じらうその顔も良いものだ」

村娘「(この人わたしで遊んでる……)」

魔王「して、心は決まったか?」

村娘「……わたしが帰りたいと思えば、帰していただけるのですよね?」

魔王「ああ 」

村娘「……もう少し、魔王城を満喫していきたい、です」

魔王「そうか。

歓迎するぞ、村娘」

村娘「(その笑顔がまた見たい、と魔王相手に思うわたしは、変なんだろう)」

村娘「(でも、許されるのならば、わたしはここにいて、彼のことを見ていたい)」

村娘「よろしくお願いします、魔王様」

魔王「……!あ、ああ」

魔王「(恥じらう顔も怯えた顔も愛らしいとは思ったが、まさか)」

魔王「(笑顔がこんなにも惹き付けられるものとは)」





こうして村娘と魔王の変わった生活が始まる。



14: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:30:23.68 ID:FKaujywo0

村娘「(あら、薔薇園?)」

村娘「凄い、綺麗……!」

魔王「村娘、こんなところでどうした?」

村娘「ま、魔王様!ごめんなさい、勝手に入って……」

魔王「はは、気にするな。どうだ?気に入ったものはあるか?」

村娘「どれも素敵な薔薇ばかりです。これって普段食べているものなのですか?」

魔王「ああ。私が育てているのだ。気に入ったのなら部屋に飾らせようか」

村娘「……大変嬉しいですけど、遠慮しておきます。その為だけに刈り取るのも申し訳ないですし、こんな素敵な薔薇園があるんですもの」

魔王「……そうか。そなたが見たくなったときにいつでも来るといい」

村娘「いいんですか?」

魔王「ああ、愛らしい少女がいた方が薔薇たちも喜ぶだろうよ」

村娘「ありがとうございます!」


側近「魔王様、村娘ちゃんが本当に気に入ったみたいね」

メイド「そうですわね。あの薔薇園には普段誰も入れませんのに」



15: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:31:01.17 ID:FKaujywo0

魔王「今日は一日執務をこなさねばならん。悪いが構ってやれそうにない」

村娘「いいえ、お仕事頑張ってくださいね」

魔王「ああ、ありがとう。暇ならばメイドや側近にでも話しかけてみるとよい」

村娘「はい」



村娘「魔王様の本って、読んでも読んでも減ってる気がしないわ……あら?」

村娘「お菓子作りの本?随分古いようだけど」

村娘「……よし」



村娘「側近さん、側近さん」

側近「あら、村娘ちゃん!魔王様なんてやめて私にする気になった?」

村娘「??よくわからないけど、厨房を貸してほしいんです」

側近「厨房?お腹空いたの?」

村娘「ちょっと作りたいものがあるんです」

側近「その本……。わかったわ、ついてらっしゃい」



16: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:32:01.65 ID:FKaujywo0

魔王「……何か用か?」

村娘「ノックしていないのに、何故わかったのですか?」

魔王「人の気配など容易く察知できる。何かあったのか?」

村娘「その、執務も大事ですが、魔王様自身のお体も労ってください。お茶を用意したんです」

魔王「気を使わせたのか、すまぬ。さあ、入れ」がちゃ

村娘「あ、ありがとうございます」

魔王「この香り……」

村娘「魔王様は植物以外食べるのかわからなかったのですが、一応用意してみました」

魔王「何と言うものなのだ?」

村娘「カスタードプディング、というのです。わたしも村でよく作っていました!」

魔王「ほう」

村娘「卵とミルクと砂糖だけなのに、とっても美味しいんですよ」

魔王「成る程、至って簡素なのだな。……ん」ぱくり

村娘「……」

魔王「うむ、滑らかな舌触りとほろ苦いこの茶色の液体が美味いな」ぱくぱく

村娘「よかった……!あ、で、でも、植物以外を口にしても大丈夫なのですか?」

魔王「ああ、植物が主な食事であるだけで、他のものが消化できないわけではない」

魔王「この茶も美味い。そなた、料理の才があったのだな」

村娘「お口にあってよかったです!」

魔王「また頼めば私に作ってくれるか?」

村娘「も、勿論です!魔王様が望むのならいくらだって……あっ!

あの、その、あう……し、失礼します!お仕事頑張ってください!!」ばたばた

魔王「……」

魔王「そなたはあっという間に私の心の中に居座ってしまうのだな」ぎゅ……

魔王「私がもし、もうそなたを村に返したくない、などといったらどうするのだろうか」

魔王「……手放したく、ない」



17: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:33:08.98 ID:FKaujywo0

魔王「村娘」

村娘「魔王様、どうなさいました?」

魔王「この前新しい魔法の開発をしていたらこんなものができたのだ」

村娘「?薔薇、ですよね?」

魔王「これは枯れない花だ」

村娘「枯れない?そんなことが可能なのですか?」

魔王「ふふ、まあ、後々劣化はするだろうが。これは瞬間冷却乾燥させてあるのだ」

村娘「さわった感触は普通の薔薇と変わらないのですね」

魔王「これをそなたに」

村娘「え!?そ、そんな、魔王様から物を戴くだなんて」

魔王「じっとしておけ。……うむ、やはりそなたには赤い薔薇が良いな」

村娘「ま、魔王様っ……!」真っ赤

魔王「村娘、そなたは……」

村娘「魔王、様……?」

魔王「……いや、気にするな。ただの戯れ言だ。では、私は執務に戻る」

村娘「あ、まお……」

村娘「……魔王様は、赤い薔薇の花言葉を知っていらっしゃるのかしら」

村娘「……そんなはず、ないわよね」


村娘は赤い薔薇のコサージュを手に入れた!



18: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:34:08.92 ID:FKaujywo0

村娘「♪」

側近「村娘ちゃんはこのお花が本当に好きねぇ」

村娘「はい!魔王様の育てた薔薇は何だかとっても甘くて美味しいんです」

魔王「そう言ってもらえると育てた甲斐がある」

村娘「あ、でもこっちの小さなお花も甘酸っぱくて美味しいです」もしゃもしゃ

側近「あら、カスミソウね」

村娘「結構人間界にも咲いてる花を食べるんですね。魔界独特の植物とかはないんですか?」

魔王「いや、あるぞ。毎回サラダに入っているそれだ」

村娘「ベビーリーフじゃなかったんですか……全然味は変わりませんね」

側近「果物だと違うのが多いかもね。あ、これとか食べてみる?」

村娘「マンゴーに似てますが…うっ」

魔王「大丈夫か?こら側近、自分は食べないからといって適当に渡すんじゃない。

すまないな、村娘。それは魔族でも好みの別れる果物なのだ」

村娘「ちなみに魔王様は」

魔王「好んで食べる、とまではいかないが、そこそこに好きだな」

村娘「じゃあ残さず食べます……」

魔王「無理をする必要は……」

村娘「魔王様の好きなものは何でも挑戦してみたいんです」

魔王「……まったく、仕方がないやつだな」くすり



19: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:35:41.34 ID:FKaujywo0

村娘「ふぁあ」

側近「村娘ちゃん」

村娘「あ、側近さん。どうしたんです?こんな時間に」

側近「ふふふ、ちょっと村娘ちゃんに聞きたいことがあって」

村娘「どうかしたんですか?」

側近「単刀直入に聞くけど、魔王様のこと好きなんでしょ?」

村娘「っ!?っごほ、な、何をおっしゃるんですかっ!」

側近「真っ赤になっちゃって、可愛いわねぇ。本当に、可愛い。
食べちゃいたいくらいに、ね」

村娘「そ、側近さ……きゃっ!?」とさっ

側近「ねえ、魔王様に恋なんて無謀なことしないで。私にしておかない?」

村娘「い、いったいどうしたんです?いきなり……!」

側近「実は私初めて会ったときから村娘ちゃんのこと気になってたのよ」

村娘「え、で、でも、側近さんは女性じゃないですか……!」

側近「私は欲望に忠実なサキュバスなのよ?一族の中じゃハズレ者だけど、ね。私、欲しい物は力ずくでも奪いたい性質なの」

村娘「や、やめてください、側近さ、ひゃうぅ」

側近「あらあら、耳が弱いのね?ふっ」

村娘「あ、ぅあ、あ……だ、だめです!……ま、おう、さ……」

側近「……」

村娘「っふ、ぅう……」



20: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:36:31.97 ID:FKaujywo0

側近「はあ……ごめんなさい、村娘ちゃん、ちょっと悪戯が過ぎたわ」

村娘「ふ、へ?」

側近「村娘ちゃんが本当に魔王様のこと好きなのかしらって思ってね。ちょっと悪戯してみたんだけど。泣かせるつもりは無かったの。ごめんなさいね」

村娘「じゃ、じゃあ、今までのは」

側近「あ、私が村娘ちゃんを狙ってたっていうのは本当よ。村娘ちゃんったら可愛いんですもの」

村娘「!?」

側近「村娘ちゃんは人間でしょう?しかも最初は生贄になるつもりで来ていたし。だからちょっと心配だったのよ」

村娘「心配……?」

側近「城の魔物たちは魔王様を慕ってるし、穏健派だからかまわないけれど、城の外には魔王様に心からしたがっているわけではない者もいる。そいつらにあなたが目をつけられない可能性は無いわけではないの。

村娘ちゃんには、その覚悟をしておいてほしかったの。魔王様を好きになるということの覚悟を」

村娘「側近さん……」

側近「メイドが話しただろうけど、先々代の魔王様は人間を娶ったわ。それに反感を持った魔物は多かった。

今では先代様のおかげで皆大人しくなったとは言え、向こうの山を越えたところにいる奴らとか結構未だに逆らってたりするのよ。

だから、ね。気をつけなさい」

村娘「側近さん、ありがとうございます」

側近「ふふふ、じゃあこんな夜更けに悪かったわね。おやすみなさい」

村娘「はい、おやすみなさい」

側近「魔王様が嫌になったらいつでも私が貰ってあげるわよ?」

村娘「け、結構です!!」かああ



21: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:38:08.33 ID:FKaujywo0

魔王「おい、側近」

側近「はい?」

魔王「そなた、余計なことを言ってくれたな」

側近「ふふふ、申し訳ありません。でも、本当のことでしょう?」

魔王「……」

側近「あそこの地域の奴らが、村娘ちゃんのことを嗅ぎつけるのも時間の問題です。彼女をどうするのか、そろそろ決めたほうが良いと思います」

魔王「彼女がどうするかは、彼女自身が決めることだ」

側近「……ああまどろっこしい!さっさと抱きしめてキスの十や二十かましてベッドに引きずり込めばいいんですよ!」

魔王「そなた……あれが先ほど泣いていたのを見ただろう?それに確実に生娘だ」

側近「魔王様になら喜んで……身を捧げますわよ」

魔王「……股を開く、と下品な言い方をしそうだったな」

側近「私サキュバスですので、頭のほうは緩いんですの」

魔王「ほざけ。サキュバスの中では異例中の異例ではないか」

側近「私は明日にでも偵察に行ってまいります。その内にやることはやっておいてくださいよ」

魔王「その気になったらな」

側近「冗談がお上手ですね。いつでもその気じゃないですか、あなたは」

魔王「ふん、減らず口ばかり叩きよって」

側近「ではでは、失礼しますわ」


魔王「……手が出せたらこんなに苦労しないさ」



22: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:38:58.61 ID:FKaujywo0

村娘「……?」

メイド「どうなさいました?」

村娘「何だかよくわからないけど、体が変な感じなの」

メイド「まあ、もしや御懐妊ですか?」

村娘「わたしはそのような行為をしたことは無いのですが!!

なんだかだるい、気もするのですが……」

メイド「具合が悪いようでしたらもうお休みになりますか?」

村娘「……いえ、大丈夫だと思います。あ……」

魔王「村娘、具合が悪いのか?」

村娘「魔王様!いえ、大丈夫です。体が重いような気もするんですけど、不思議と力は漲っている感じなんです」

魔王「そうか……何かあったらすぐに私に言え。良いな?」

村娘「……はい、ありがとうございます!」

魔王「そうだ、そなたに教えたいものがあったのだ」

村娘「なんでしょうか?」

魔王「魔王の城にいるのだ。どうせなら魔法を使ってみたいと思わないか?」

村娘「ええ!?わ、わたしがですか!?で、でも、わたしは普通の人間ですし……」

魔王「何、簡単だ。少しやってみないか?」

メイド「村娘様、何事も挑戦ですわよ!」

村娘「……じゃあ、少しだけ」

魔王「そうか、よかった」にこり

村娘「……っ」真っ赤



23: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:39:59.24 ID:FKaujywo0

魔王「魔法の基本は小さな火の玉だ」

村娘「それが出せれば暗い夜道も安心ですし、お料理も簡単ですね」

魔王「ははは、そうだな。ではまず、私のを見てみろ」ごっ

村娘「きゃっ!」

魔王「すまない、加減を見誤った。……これくらいか?」ぽわっ

村娘「凄い……!」

魔王「精神を集中させて、頭の中で炎が揺らめくのを想像するのだ」

村娘「炎が、揺らめく……」

魔王「……!?(村娘の魔翌力が、どんどん上がっている。まさか―――)」

村娘「ん、んん……っはあ、中々出ませんね」

魔王「始めてやって出るはずが無い。まずは精神を一つに集中するんだ。毎日やっていればできるようになるだろう」

村娘「じゃあ急に豚の丸焼きが食べたい!って人がいても、わたしが火の玉を出せれば直ぐに食べてもらえるんですね!」

魔王「果たしてここに豚の丸焼きを急に食べたいという奴がいるかが甚だ疑問だが、まあそうなるな」

村娘「わあ、頑張ります!いつかもっと凄い魔法も使ってみたいです!」

魔王「暇なときは練習してみるといい。だが、必ず私か側近、メイドのいるところで練習するのだぞ」

村娘「はい!」

魔王「さあ、初めて精神をこんなに酷使したのだ、疲れているだろう?」

村娘「いえ、不思議とさっきよりも体が軽いんです。どうしてでしょうか?」

魔王「そうなのか?ならいいんだが……」

魔王「(村娘の体はこの魔界に順応していっている。……体に害が無ければいが)」



24: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:41:00.56 ID:FKaujywo0

村娘「魔王様!」

魔王「どうしたのだ、そんなに慌てて」

村娘「火の玉、出せたんです!」

魔王「何だと?」

魔王「(教えてから3日も経っていないぞ……早すぎやしないか?村娘の体で、何かが……)」

村娘「魔王様にぜひ見てもらいたいんです!」

魔王「ああ、わかった。では庭に出よう」

村娘「はい!」



村娘「じゃあ、やってみますね」

魔王「ああ」

村娘「すぅ…はあ…」

魔王「(水面のように静かだ……そして早い。村娘が魔界の食べ物を食べ続けていることによって体が変わり始めている、のか?)」

村娘「やぁ!」ごおっ

魔王「!!」

村娘「きゃあ!ご、ごめんなさい、魔王様!」

魔王「ああ、気にするな。直ぐに消す」ばしゃっ

魔王「(初級の火の玉、では無いな、アレは。庭を炎上させるほど……)」

魔王「(村娘よ、そなたがこれ以上ここにいたら……)」

村娘「魔王様……?」

魔王「見違えるほどの成長だな。そなた、魔法の才もあるようだ」

村娘「ほ、本当ですか……!!嬉しい」

魔王「ああ、もしかしたら、私よりも強くなるかも知れん」

村娘「ご冗談を。わたしは魔王様をお助けできたらいいんです」

魔王「嬉しいことを言ってくれるな」

魔王「(すまない、村娘。そなたの体で何か起きているかも知れないというのに、私は……。

私は、そなたを手放す気はもう無いのだ)」



25: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:41:49.14 ID:FKaujywo0

村娘「(何だか魔王様に魔法を習い始めてから体の調子がいい。ちょっと前は体が重たかったのに……。

でも、沢山魔法も覚えて、魔王様の役に立てるかもしれないわ!魔王様が怪我をしたときとか、これで直してあげられるもの)」

村娘「……やだ、わたしったら。怪我なんて、するはずない、じゃない」

村娘「魔王様は、とっても強いんだから……」



26: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:42:44.15 ID:FKaujywo0

??「そんなことが……!」

村長「はい、そうなのです。我々の村は魔界との境に在ります故……。

魔王は私の娘を攫って行き、村はこの有様です」

??「酷いな……だが安心して欲しい、俺が絶対にあなたの娘を救ってみせる!」

村長「おお、なんと心強い!流石は……


流石は、勇者様だ」

勇者「任せておいてくれ!」


側近「何てこと……!」



28: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:43:45.44 ID:FKaujywo0

魔王「(村娘は枯れた土に水をやったかのようにどんどん知識を吸収していっている。そしてそれに伴って魔翌力も上昇している)」

魔王「(…きちんと、本人と話すべき、だろうな……)」

側近「魔王様!」

魔王「ん?側近、やっと帰ったのか。遅かったな」

側近「ご報告申し上げます」

魔王「ああ、あっちの魔物たちはどうだった?」

側近「……全滅、です」

魔王「……何?」

側近「勇者が突如現れました。急速に力をつけた彼はあそこの魔物も蹴散らして、先ほど村娘ちゃんの村に辿り着いたようです」

魔王「!!」

側近「村長―――村娘ちゃんの父親でしょうか、彼は『魔王が娘を攫い、村を半壊させた』と言っておりました」

魔王「……」ぎり

側近「勇者は明日にでも城へ着くでしょう」

魔王「……迎え撃つぞ」

側近「村娘ちゃんはどうしますか?」

魔王「……彼女をここへ」

側近「はっ」



29: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:44:50.52 ID:FKaujywo0

村娘「大事な話って何だろう……?」

魔王「ああ、来たか」

村娘「魔王様、どうなさったんですか?」

魔王「そなた、故郷に未練はあるか?」

村娘「……何故、いきなりそんな……?」

魔王「……すまない、もしそなたが帰りたいといっても、私はもうそなたを帰すつもりはとうにないのだ」

村娘「魔王様?」

魔王「明日は一日中部屋にこもっていろ。絶対に部屋から出てはならぬ」

村娘「な、何故です?」

魔王「……そなたを愛しているからだ」トンっ

村娘「まお……っう」とさっ

魔王「すまない、村娘。明日まで、おやすみ」

メイド「魔王様」

魔王「メイド、村娘を頼む」

メイド「……御武運を」





魔王「さあ、勇者を迎える準備をしろ!」

魔物「「「はっ!」」」



30: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:45:42.14 ID:FKaujywo0

勇者「ここが、魔王城か……」

勇者「攫われた村長の娘を救い、魔王を倒す!」



31: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:47:01.30 ID:FKaujywo0

―――

村娘「……んん……」

メイド「おはようございます、村娘様」

村娘「……あ、ま、魔王様は!」

メイド「魔王様はただ今お仕事中ですわ」

村娘「魔王様、昨夜様子がおかしかったんです!ずっと部屋にいろとか、その、わ、わたしを、あい、あい……」

メイド「落ち着いてくださいませ。とりあえず魔王様の薔薇でも食べて脳に栄養をあげましょう」

村娘「そ、そうですね。
ああ、相変わらず魔王様の薔薇は不思議な甘みがあって美味しい」

メイド「(今頃、魔王様は……)」





勇者「魔王!」

側近「そこから動くな小僧」

魔王「勇者か、よく来たな」

勇者「貴様、罪無き村の少女を攫い、その村を破壊していくなど、何処まで悪なんだ!」

魔王「……話にならんな」

側近「魔王様には指一本触れさせはしない」

勇者「淫夢を従え村娘に乱暴を働く……この俺が、貴様を消してやる!」

魔王「全く、血の気の多い奴だな。だがまあいい。私も少し腹が立っていたんだ。何処からでも来るがいい」

勇者「く、魔王、随分余裕だな!はああああっ!」どん!

側近「爆発魔法ですか」

魔王「甘いな。これなら彼女のほうが……」

勇者「何をぶつぶつ言ってるんだ!」

魔王「まだまだだな、と言ったんだ」ごおっ

勇者「な、くっ!」



32: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:48:03.77 ID:FKaujywo0

どん!

ごおっ

がらがら

がん!


村娘「!?な、何なの?」

メイド「始まった……」

村娘「な、何が始まったんですか?」

メイド「ここでじっとしていてくださいね。結界を張ってあるので大丈夫だとは思いますが……」

村娘「ねえ、メイドさん、魔王様に何かあったんですか?」

メイド「……勇者が来ているようです」

村娘「ゆ、うしゃ……?」

メイド「はい。あなたを救うため、らしいです」

村娘「な、何、それ……。わたしは、わたしは自分の意思で……!」

メイド「ええ、どうやら村長が『娘が魔王に攫われた』と勇者に証言したようですね」

村娘「そんな!と、止めに行かなくちゃ……」

メイド「お通しできません。魔王様からの命令です」

村娘「でも、魔王様は何も悪くないのに!」

メイド「……ここを通すことはできませんが、会話は教えて差し上げられます」

村娘「え……」

メイド「言ったでしょう?私は耳が良いんです」にっこり



33: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:49:18.32 ID:FKaujywo0

―――

側近「ごほっ」

魔王「側近、そなたは下がっていろ」

側近「ですが!」

魔王「側近よ、私の右腕はそなた以外に据える気は無いのだ」

側近「……はっ」

勇者「っ、く……」

魔王「あの村の村長に言われたことを鵜呑みにしてやってきたのだな」

勇者「どういうことだ?何も間違ってはいないだろ!」

魔王「いつ、私が村娘を攫ったのか教えて欲しいくらいだな」

勇者「よくもまあそんなことが……!」

魔王「だがまあ、私も村娘を返すつもりはさらさらないがな」

勇者「貴様、か弱い乙女に何をしたんだ!」

魔王「何もしてないさ、まだな」

勇者「うをおおおおお!」

魔王「……はあっ!」


きぃん!


勇者「魔法以外も随分と達者なようだな……っ!」

魔王「魔法だけでやっていけるとは思っていないからな」

勇者「だが、これくらいで負ける俺ではない!はあああ!」

魔王「っち」

側近「魔王様!」

魔王「かすり傷だ」

勇者「さあ、娘を何処に監禁している」

魔王「誰が勇者なんぞに教えるか」

勇者「娘を返せぇええ!」

魔王「断る!手放すものか!」





「魔王様ぁあああ!!」



34: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:50:22.71 ID:FKaujywo0

魔王「っ!?」

勇者「今だっ!」

魔王「く、」

村娘「させません!」

勇者「なっ……!」ざくっ

魔王「……っ!!」

村娘「は、あ、ああ……」

魔王「馬鹿者!何をしているんだ!」

勇者「な、何で、俺は、俺は、人間を……」

村娘「げほっ、ごほっ、心配ないです。回復魔法も、覚えましたから」

魔王「だからと言って戦闘に割り込む奴がいるか!」

村娘「ん、んん、うっ、は、あ」ずぼっ

魔王「!!」

村娘「はあ、はあ、はあ、はあ」ぽわあああ

側近「傷が、治って……!」

村娘「魔王様が怪我したときに使おうと思ってたのに、まさか自分に真っ先に使うことになるとは思いませんでした。……いっ」

魔王「馬鹿者、が……!」ぎゅう

村娘「……ごめんなさい、魔王様。でも、わたし、あなたを守りたいんです」

勇者「何故、なんだ」



35: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:51:33.84 ID:FKaujywo0

村娘「……わたしが、魔王様を愛しているからです」

勇者「なっ!?」

魔王「村娘……」

村娘「生贄としてお父様から捨てられたわたしを住まわせてくれたのは魔王様です。いろいろなことを教えてくれて、わたしに沢山の幸せをくれた」

勇者「生贄、だと?」

村娘「村の飢饉を魔王様の所為にして、わたしは生贄として魔界に捨てられました。魔王様は何も悪くないのに」

勇者「だ、だが、村長は!」

村娘「あの人の、嘘ですね。わたしだって村にいたときはお父様が話していることが本当だと思っていました」

魔王「村娘、いくら傷をふさいだとは言え、流れた血はもどりはしないのだ。少し黙っておけ」

村娘「そう、ですね。ちょっとふらふらします」

魔王「無理をするな。……私はそなたを傷つけたくなかったからあそこに閉じ込めておいたというのに」

村娘「……ごめんなさい」しゅん…

魔王「……わかってくれれば良いのだ」

メイド「はあ、村娘様、私は止めたのですよ?」

村娘「あ、メイドさん……ごめんなさい」

魔王「ぼろぼろじゃないか。何があったのだ?」

メイド「村娘様の火炎魔法が結界諸共壁を破壊したのですよ」

勇者「な、ありえない!魔法使いでもないただの人間の女の子が、そんな力!」

村娘「魔王様と練習しましたから!」

魔王「……長い話になる。お互い休戦しようじゃないか」

勇者「……全て、話してくれるのか?」

魔王「約束しよう」

勇者「わかった」



36: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:53:16.97 ID:FKaujywo0

―――

側近「魔王様、お持ちしました」

魔王「ご苦労。さて、これが何かわかるか、勇者よ」

勇者「ただの薔薇の花……じゃないのか?」

魔王「これは私が育てている薔薇だ。まあ食用だが。村娘はこの城に来てからずっとこの薔薇を食べている」

勇者「はあ!?」

村娘「わたしベジタリアンなんです」

魔王「そしておそらく、村娘はもう人間ではない」

勇者「ど、どういうことだ!?貴様、何か魔法をかけたのか!」

魔王「落ち着いて話を聞け。魔界の空気と水を養分とするこの花を食べ続けたことにより、村娘の中に大量の魔界の物質が吸収されたのだろう」

魔王「村娘の魔翌力は格段に上がった。まあもともと素養があったのだろうがな。そして―――」

村娘「体の中身も、魔物に近づいた、ということですか」

魔王「ああ、すまない。このような場で話すことになってしまったな」

村娘「いえ、かまいません。わたしもなんとなく変な感じはしていたんです」

勇者「じゃあ、彼女を元に戻す方法はないのか?」

魔王「ない、だろう。外見的には変わりはないが、村娘の自己治癒力と魔翌力は格段に上がっている。私たち魔族とほぼ同じ存在だろう」

勇者「そんな……!じゃあ村娘さんはどうやって村で暮らしていくんだ?」

村娘「心配はありませんよ」

勇者「え……?」



37: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:54:29.36 ID:FKaujywo0

村娘「わたしはこれからもずっと、魔王様が許してくださる限りここで生活しますから」

勇者「何を言ってるんだ!村長だって君の帰りを待って……」

村娘「待ってるわけないじゃないですか」

勇者「!?」ぞくり

勇者「(何で、何でこんな風に笑ってそんなこと言うんだ……)」

村娘「わたしのことを必要としているなら、最初から生贄なんかに捧げませんよ」

村娘「あの人には跡継ぎの息子が一人いればそれで十分なんですから」

魔王「それに私ももう帰すつもりはないしな」

勇者「……」

村娘「ですので、勇者様は帰ってくださって結構です。魔王様も何もなさっていませんし」

側近「そうですね。大方他の地域を荒らしていたのも魔王様に反した魔物たちでしょう。その魔物もあなたが殺したというなら、これから魔界と人間界が関わることも減るでしょうね」

勇者「じゃあ、俺はいったい何のために……」

村娘「それは……」

魔王「そうだな」

村娘・魔王「「人々の気休め、とでも言ったところか」」

村娘「ふふふっ」

魔王「ふ……」

側近「さあ、お分かりいただけたならお帰りいただきましょうか」

魔王「そうだな。これから城の修復も行わなければ」

勇者「……邪魔したな」

村娘「お父様と弟にお伝えいただけますか?」

勇者「何だ?」

村娘「あなたがわたしを捨ててくれたおかげで、今とっても幸せですわ、と」

勇者「……承った」



38: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/23(月) 23:55:37.58 ID:FKaujywo0

魔王「村娘」

村娘「はい、何ですか?」

魔王「先ほどはごたごたしていて言いそびれたが」

魔王「そなた、私の妻にならないか」

村娘「……」

村娘「断る理由が何処にありますか?」

魔王「ふ、そうだな」

魔王は村娘をそっと抱き寄せると、彼女の旋毛に口付けを一つ落とし、耳元で囁いた。
その言葉に村娘は魔王の背中に腕を回して、厚い胸板に顔を押し付ける。
ぎゅっと閉じた目の端には涙が浮かぶ。だがそれはけして悲しみの涙ではない。
愛した人に愛されているという喜びによる、涙だった。

fin



40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/23(月) 23:59:58.00 ID:a1oCUHHSO

乙乙

凄く楽しかったよー
また読みたい



44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/24(火) 00:02:50.34 ID:N4yFPVRp0


良かった!
もっと読みたい



52: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/24(火) 00:28:04.69 ID:dGuiCW5n0

それでは寝る前に後日談一つ

村娘「ううん……」

側近「あら、村娘ちゃん、どうかしたの?」

村娘「あ、側近さん!ちょっと悩み事があるんです」

側近「悩み事?魔王様にはできない相談事かしら?」

村娘「はい。魔王様本人に関する話ですので……」





側近「で、どうしたの?」

村娘「その、実は……」ごにょごにょ

側近「ふんふん、ふんふん」

村娘「というわけなのですが」

側近「ぷっ…む、村娘ちゃん可愛い…っ!」

村娘「わ、笑わないでください!わたしは真剣なんですよ!」

側近「ごめんごめん、そうねえ、じゃあこんなのはどうかしら?」こしょこ

しょ

村娘「ええ!?は、恥ずかしいですよ、そんなの……!」

側近「いいからいいから!」



53: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/24(火) 00:28:59.52 ID:dGuiCW5n0

側近「魔王様~」

魔王「何だ、側近。村娘をあまりからかうなよ」

側近「はいはい。用があるのは私じゃないんで。じゃあ邪魔者は退散します



村娘「あ、あのっ!」

魔王「?どうしたのだ、そんなに硬くなって」

村娘「……っお疲れでしょうからお茶の用意をします、


……旦那様」

魔王「……」ぽかん

村娘「うあああああ」カアアア

魔王「……とびっきりのを頼むよ、奥さん」

村娘「は、はいっ!!」



旦那様呼びに萌えます。



56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/07/24(火) 00:53:04.81 ID:S4c4U6MKo

イイじゃん



60: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/24(火) 12:22:49.33 ID:dGuiCW5n0

子供と村娘と魔王
子供「あー?」


魔王「……」

子供「うー、う!」

魔王「……」

村娘「どうなさいました?」

魔王「いや、そのだな」

子供「まー、あー」

村娘「はあい、ママですよー」

子供「きゃあうー」

魔王「私が触っても、大丈夫か?」

村娘「いったいそれいつまで聞くおつもりですか?もう耳にたこができちゃいますよ」

魔王「……子供」ナデナデ

子供「きゃはは」

魔王「(きゅん)」

村娘「パパに撫でてもらって良かったねえ。よしよし」

魔王「ぱ、パパ…か……」

村娘「はい、パパです」

側近「」ニヨニヨ

魔王「側近は子供の教育に悪影響与えそうだから当分近寄るな」

側近「あらあら、酷い方ですわねぇ」

村娘「側近さんは露出が多すぎなんですよ……」カアア

側近「村娘ちゃん可愛いっ!育児に疲れたらいくらでも私が癒してあげるからね」

子供「う?」

側近「大人のお話に興味津々だなんて殿下ったらおマセさん」

魔王「お前の脳味噌は一度洗ってきたほうがいいぞ」



61: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/24(火) 12:25:18.17 ID:dGuiCW5n0

魔王と村娘ほのぼのいちゃらぶ

魔王「ん……」

村娘「旦那様?」

魔王「ああ、村娘か。こちらへ来い」

村娘「?きゃっ」

魔王「そなたは柔らかくて抱き心地がいいな」スリスリ

村娘「だ、だだだ旦那様!?」

魔王「もう少しだけこうさせてくれ」

村娘「……お疲れなのですか?」

魔王「まあ少し、な」

村娘「たまにはゆっくり休んでくださいね」

魔王「今休んでいる」

村娘「もう、そういうことじゃなくて……!」

魔王「何だ?そなた、一緒に寝られないのがそんなに寂しかったのか?」

村娘「なっ!?意地の悪い笑顔で言わないでください!」

魔王「で、どうなのだ?寂しいのか?」

村娘「……寂しいに決まってるじゃないですか」

魔王「そうか、ではできるだけ眠るときはそなたの傍で寝るとする」

村娘「え!」

魔王「嬉しくないのか?」ニヤニヤ

村娘「だからもう……嬉しいです!」ギュッ

魔王「素直でよろしい」



63: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/24(火) 15:38:52.37 ID:dGuiCW5n0

魔王と娘の話。

娘「おとうさまー」

魔王「ん?どうした、娘」

娘「おかあさまがねえ、かみのけむすんでくれたの!かわいい?」

魔王「ああ、可愛いぞ」ナデナデ

娘「やったー!
かわいかったらしょうらいおとうさまみたいにかっこよくって、
おかあさまみたいにやさしい人とけっこんできる?」

魔王「!?」

娘「おかあさまにね、しょうらいおとうさまとけっこんするっていったら『あげません!』っておこられちゃったの」

魔王「……そうか、そうだな、私にはもう村娘がいるが、
お前にも将来……考えたくはないが、お前にぴったりの良い伴侶がみつかるよ」

娘「ほんとう?じゃあむすめもっとおべんきょうとかがんばるね!」

魔王「ああ、励むのだぞ」

むすめ「そうするといいおとこをゲットできるかくりつがあがるってそっきんがいってた!」

魔王「おい側近!!!」



64: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/24(火) 16:32:24.39 ID:dGuiCW5n0

海に行く話。

村娘「はあ……」

魔王「どうした?」

村娘「魔界も結構暑いんですね」

魔王「ああ、そろそろ暑くなる時期だな」

側近「海でも行きますか?」

村娘「海、ですか。わたし、海って行ったことがないのですが」

魔王「村は内陸の山の麓だったしな。
だが側近、魔界の海は人間たちの海と同じようなものなのか?」

側近「うーん、そうですわねぇ。あ、だったら人間たちの領域の海に行けばいいじゃないですか」

村娘「わたしは外見的には問題ないですけど…旦那様や側近さんはどうするんですか?」

魔王「うむ、私も角があるからな」

側近「私は羽と尻尾をしまえばただの美女ですわ」

魔王「露出狂の間違いじゃないか?」

側近「ま、酷い方」

村娘「ではそれで行ってみましょうか?」

魔王「そうだな、城の留守は魔物たちに任せておこう」

側近「城に攻めてくる馬鹿ももういませんものね」

村娘「平和ですねぇ」



65: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/24(火) 16:32:52.68 ID:dGuiCW5n0

村娘「わ、わたし無理です!!」

側近「あら、でもそうしないと海に入れないわよ?」

村娘「み、水着を着なくちゃいけないのはわかりますけど、そ、そんな面積の少ない布なんて当てになりません!」

側近「じゃあ全裸になる?私はある程度隠れていたほうが扇情的でいいかと思うけど、そういう開放的なのだってもちろん好きよ」

村娘「そういう問題じゃ……!」

魔王「村娘」

村娘「だ、旦那様!?」

魔王「そなたの水着なら私が用意してある。そちらに着替えろ」

村娘「……旦那様のえっち」

魔王「……何故そうなる」

村娘「どうして私の体のサイズがわかるんです!?」

魔王「魔王だからな」ドヤ

村娘「ううう……」



66: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/24(火) 16:33:55.20 ID:dGuiCW5n0

村娘「よりによってどうしてこんな派手な色なんですか……」ガックリ

魔王「やはりそなたは赤が似合うな」

側近「やだぁ魔王様ったら、むっつりすけべね」

魔王「草食系だのロールキャベツだのむっつりすけべだの、そなたは好き勝手言ってくれるものだな」

側近「そんなに褒めても何も出ませんわよ」

村娘「わあ、旦那様、見てください、とっても青いですよ!」

魔王「こら、村娘、そんなに走ると砂に足をとられるぞ」

村娘「……気をつけます」

側近「白い薔薇柄のパレオから覗く足が大変素晴らしいわね」

魔王「そなた、誰に説明しているのだ……?」

側近「今全力で脳内REC中よ」

魔王「……」

村娘「旦那様、冷たくて気持ち良いですよ!」

魔王「どれ。ああ、そうだな」



67: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/24(火) 16:34:40.60 ID:dGuiCW5n0

男1「おい、あそこ見てみろよ」

男2「おお、すっげー美人!」

男1「美人の横の女の子も超可憐じゃね?」

男2「これは声をかけないわけにゃいかねーな!」ニヤニヤ


村娘「いいんですか?旦那様に飲み物買いに行かせるなんて」

側近「ここでは私たちは「魔王」でも「側近」でも「魔王の后」でもないんだから、いいのいいの」

村娘「一人で大丈夫ですかね……」

男1「お姉さんたち、もしかして暇?」

側近「ん?」

男2「よかったら俺たちと向こうでカキ氷でも食べながらおしゃべりしない?」

村娘「ええ?あのう……」

側近「あらあら、私たちに話しかけるなんて良い目をしてるじゃない。でも残念だったわね、わたしたち連れがいるのよ」

男1「連れ?女の子?」

側近「ざーんねん、男の人よ」

男2「いいじゃんそんな奴ほっといたら。どうせ使いっぱしりなんだろ?」

側近「……はぁ、しつこい男は嫌われるわよ?」

村娘「(旦那様、早く帰ってきて……!)」



68: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/24(火) 16:35:20.55 ID:dGuiCW5n0

魔王「村娘、待たせたな」

村娘「旦那様!お帰りなさい、一人で行かせてごめんなさい」

魔王「そなたに行かせるわけにもいくまい。
ん?何だその男たちは。側近、そなた久々に男を食う気になったのか?」

側近「残念ながら違いますわ。私男は一人で十分ですもの。
女の子には満足してるしねぇ」

男1「な、何だよこいつ」

男2「何かすげえ威圧感だけど」

魔王「……もしや貴様ら、その汚い手で私の妻に触ったりしたのか?」

男1「つ、妻!?」

男2「ちなみにどっちが妻……」

村娘「あ、わたしです」テレテレ

男1「……」ガーン

男2「いや、えーっと、なんでもないです!いやあ、美人が二人もいるから目の保養だなって!!!」

魔王「そうか、まあ側近も普通にしていれば見目だけはよいからな。ふらふらと小蝿のように群がる気持ちもわからなくもない」

側近「素直にナイスバディって褒めてくださってかまわないんですのよ?」

村娘「な、ナイスバディ!」

側近「やっぱり村娘ちゃん可愛いわあ」スリスリ

魔王「ではそろそろ目のほうも癒されただろう?これ以上見ていると逆に目の毒だろうからさっさと行ったほうが身のためだが?」

男1「は、はい!」

男2「そうします!」



69: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/24(火) 16:36:04.59 ID:dGuiCW5n0

村娘「ああ、びっくりしました」

側近「あら、村娘ちゃん、もしかしてナンパされたの初めて?」

村娘「ナンパだなんて!わたしの村にはまず人があまり来ませんでしたし、声をかける様な方はいませんでしたよ」

魔王「それより村娘、大丈夫だったか?本当に何もされていないな?」

村娘「あたりまえです。何かされたら燃やしてますよ!」

魔王「そうか、それならいい。いいか?危なくなったときは容赦せずやるんだぞ」

側近「なんて怖い会話かしら」



70: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/24(火) 16:38:13.17 ID:dGuiCW5n0

―――

魔物「あ、魔王様のお帰りだ!」

魔物「おお陛下!奥様も側近様も、お帰りなさいませ」

魔王「留守番ご苦労。何かあったか?」

魔物「特にこれといったことは…ああ、伝言を受けています」

側近「あら、誰かしら?」

魔物「以前やってきた勇者からです。ええと……
『暑中見舞いもうしあげます。お中元寄越してくれてかまわないぞ。宛先は―――』」

村娘「勇者さん……」

魔王「食人植物でも送りつけてやれ」

側近「さあて、お留守番してた可愛い子達にご褒美でもあげてくるわ」

魔王「はあ、仕方がない奴だな。やるなら静かにしろ」

側近「はあい」

村娘「あの、ご褒美って?」

魔王「……欲しいならそのうち私がやるよ」

村娘「?」



74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/07/26(木) 18:51:55.73 ID:PoiIK6/f0

村娘可愛いな



75: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/27(金) 23:15:57.05 ID:OCgAr0bz0

>>74

村娘「か、かわ……っ!?」カアアッ

魔王「村娘が可愛い?当たり前だろう」

村娘「だ、旦那様!」

魔王「私の妻だからな!」ドヤァ

村娘「もうっ」テレテレ

側近「村娘ちゃんが来てから魔王様変わりましたねぇ」

魔王「そうか?私にはわからないが」

側近「以前よりなんていうか…ドヤ顔が増えましたね」

魔王「魔王なんだからいいじゃないか」

側近「いいですけどー」

村娘「自信満々って感じでとってもかっこいいです!」

魔王「うむ、そなたは可愛いぞ」ナデナデ

魔物「げほっ」バタンッ

側近「魔王様のあまりの甘さに部下が倒れた!?」

魔王「」ドヤァ

側近「ちょっとウザいやなんでもないです」

魔王「よし、側近は偵察に行ってくるといい」

側近「左遷?それ左遷ですか?」

魔王「魔王ジョークだ」

側近「貴方本当にかわりましたわね……」



76: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/27(金) 23:33:31.68 ID:OCgAr0bz0

魔王たちが海へ行っているころの勇者

勇者「暑いな……」

勇者「……魔界って涼しいのかな……」

勇者「魔王城、寄ったら麦茶とか出してくれるかな」

勇者「スイカとか、食べたいな……」

勇者「……よし、行くか!!」



77: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/27(金) 23:34:04.23 ID:OCgAr0bz0

勇者「たのもーう!」

魔物「……ん?もしかして、貴様勇者か!?何故魔界へ来たのだ!」

勇者「あ、物騒なものはしまってくれ。俺はもう戦いに来たわけじゃないんだ」

魔物「(どうする、今陛下たちは留守だ。もし勇者がこの城を攻略しに来ているのだとしたら、まずいぞ)」

勇者「俺は一応魔王とは折り合いをつけた気でいる。浅からぬ縁があるわけだし、今日はちょっと遊びに来たんだ」

魔物「遊びに、だと?」

勇者「ああ。麦茶とスイカなんて出してくれないかな、と」

魔物「……」

勇者「一応手土産もあるんだが、通してもらえない、か?」

魔物「……はぁ。
悪いが陛下は奥様と海へ行っていらっしゃる」

勇者「海ぃ?むむ、そうか……俺も行こうかな」

魔物「さあ、陛下がいないとわかったらさっさと帰れ」

勇者「あ、じゃあ伝言だけ頼む」

魔物「仕方がないな」



78: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/27(金) 23:34:39.85 ID:OCgAr0bz0

勇者「残念。魔王たちは夫婦仲睦まじく海水浴か」

勇者「手土産も持って帰ってきてしまったし」

勇者「……一人で食べるか」モグモグ

勇者「あー、水羊羹うまい。甘い」モグモグ

勇者「……」モグ、モグ……

勇者「俺は一人か」

勇者「……へへ、何かしょっぱいや……」



79: ◆vGI6DlX1Rs:2012/07/27(金) 23:35:21.03 ID:OCgAr0bz0

村娘「?」

魔王「どうした?」

村娘「いえ、何だか知っている人が一人涙を流しているような気が……」

側近「あら、でもこの辺に知り合いはいないでしょう?」

村娘「はい。気のせいでしょうか?」

側近「気のせいよ気のせい!」

魔王「ああ、気のせいだろう」

村娘「そうですよね、気のせいですよね」

側近「それよりちょっとビーチバレーやってみましょうよ」

魔王「よし、村娘、私と組もう」

側近「ちょっと待ってくださいよ、それは不公平ですわ。
村娘ちゃん、私と組みましょうね」

村娘「三人で平和にやりましょうよ、平和に」

キャッキャウフフ



81:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/28(土) 01:02:25.97 ID:kJ66URwxo

おつ
何か知らんが勇者に対して異様に同情してしまった



82:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/28(土) 20:55:43.81 ID:+teDxDpSO

勇者カワイソス



84:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/07/29(日) 01:34:40.59 ID:ARfr4dfmo





引用元
魔王「何?村から人間が?」側近「はい、可愛い女の子です」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343052962/
[ 2012/07/29 12:00 ] 魔王勇者SS | TB(0) | CM(2)
名無しさん
読みやすくて、とても良い話
素晴らしいです
ずっと読んでたいですw
2012年07月29日 14時47分
名無しさん
???「俺の主食も薔薇だぜ。まぁ、俺はノンケだって喰っちまう肉食系だけどな」
2012年07月29日 23時05分
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